「ハイブリッドの次のトヨタのエコカーの本命は、PHVです!」
聖バレンタインデーの翌日の2月15日、お台場は近未来のクルマで盛り上がりを見せた。科学未来館1階ホールには、ざっと1000人ほどの関係者が集まり、新型プリウスPHVがお披露目したのだ。冒頭は、20年前に発売した初代プリウスの開発責任者で現トヨタの会長である内山田竹志さん(70歳:父の亀男氏は1967年デビューの3代目クラウンの開発責任者!)のメインメッセージである。
トヨタではEV研究部署を昨年末立ち上げてはいるが、EVには走行距離や充電機の課題が依然ある。FCV(燃料電池車)も水素ステーションがいまのところ100軒と心細い。となると≪エコカーのさらなる普及の要(かなめ)になるクルマがPHV≫というのだ。少し「そう言い切っていいの?」という感じを受ける。が、着実に消費者に訴えるのは、PHVであるのは必然!?
でも、でも、である。2代目プリウスPHVのすごいところは、初代がプリウスベースだったのとは違い専用ボディに、いまある新技術を注入しつくしている点だ。具体的には、EV走行が2倍の68.2km、時速135キロまでEVのまま引っ張れる。つまりEV走行を飛躍的に伸ばした。しかも、駆動用のモーターに加え、発電機用のモーター(ジェネレーター)を駆動に使うデュアルドライブ方式で、力強い加速が味わえるというのだ。さらに、驚いたことに、ルーフにソーラーパネルを取り付け、一日最大で6kmほど走れる電気量を充電できるというのだ。電気工事なしで、普通のACコンセントからも充電できるのも好感が持てる。
価格も、326万円台からと、FCVのミライにくらべるとバカ安に近い。
ところが、カタログをよくよく眺めると、ルーフに取り付くソーラーパネル(部品メ-カーはガラスが旭硝子で、ソーラー本体がパナソニック)は、税込み28万円もするという。しかも、この単体重量が、プラス17kgとかなり重い。だいたい、車両重量は、電池の容量を増やしたので、従来車より200kgも重たくなって、しかも定員が5名から4名に減っているのである。4人乗りのクルマが、今後1万台も売れるのか? と心配になり、月販目標を調べると、2500台とトヨタとしては少し控えめな台数。今後PHVを増やし徐々にPHV率を高める戦略だという。
昨年の税制改正で、それまで右肩上がりだった軽自動車の売り上げに陰りがみえた、というエコノミストの声はあるけど、どっこい日本の軽自動車市場は活気がある印象である。
とにかく、いまや200万円近くになったとはいえ維持費の安いカテゴリーのクルマにしては、ハイテクがガンガン投入されているので目が離せない。たとえば、先日フルモデルチェンジしたスズキのワゴンRは、軽自動車初のハイブリッドが投入された。いわゆるマイルドハイブリッドだが、燃費が、かるく30キロ越えの33.4km/lというから恐れ入る。動力系だけでなく、シートからシャシーから、そこいらじゅうを見直し、車両重量を20kgも軽くしたことも効果を上げているようだ。
自動ブレーキだって、ひところのカメラひとつで障害物を見つける「なんちゃって自動ブレーキ!」ではない。単眼カメラと赤外線レーダーで前方のクルマや歩行者をとらえ、ブレーキによって衝突を回避、または衝突時の被害を軽減する本格派なのだ。たとえば、時速約5キロから時速約100キロなら、自動ブレーキが働くので、よほどの悪条件でない限り、前方にある障害物とぶつかる可能性が少ない。もちろん、車線逸脱警報やフラツキ警報などの安全機能が付いている。ヘッドライトのローとハイを自動で切り替えてくれる「ハイビームアシスト機能」まで付く。
ただ、個人的に気にいらないのが、エクステリアだ。前モデルが営業的に成功しているので、イメージを踏襲しすぎた。なんだか、学食の定食を前にした気分になる。いくら食材が滋味豊かでも、これでは食欲がわかないのだ。質実剛健なスズキと言えばいえるが、眺めればながめるほど退屈な外観である。いちおうスティングレーというスポーツ版があるが、フロントグリルのオメカシを少し替えているだけで、いまどき、こんなのでユーザーを騙せない!
価格は、ハイブリッド仕様で117万円台から。
VWのコンパクトSUV「ティグアン(TIGUAN)」がフルモデルチェンジしたというので、その発表会に出かけてみた。
会場の有楽町国際フォーラムの中庭にはすでに一般ユーザー向けの展示コーナーを設け、なかなかチカラ瘤を入れているようだ。
ティグアンと聞いてもピンとこない読者が多いはず。その上の大型高級SUV「トゥアレグ」(ポルシェのSUVカイエンとプラットフォームが共通)とゴチャゴチャになっている人も少なくない。かくいう筆者もこの口で、馴染みがない。調べると、このティグアン、グローバルでは280万台以上販売していてVWの主力車種ナンバー4だそうだ。
だが、日本では約8年で、わずか1万2000台しか売れていない。ゴルフが年間約2万台にくらべとトホホ状態。地味すぎるエクステリアが、その原因と見た。
そこで今回フルチェンジした2代目は、全高を35ミリ下げ、全長・全幅・ホイールベースともに伸ばし、より大きく居住性向上だけでなくスタイリッシュに努力。でも旧モデル同様、セクシーさは微塵も感じさせない。エンジンが1400cc直噴ターボで気筒休止システムを導入するなどで、燃費も10%改善し、16.3km/l。カーナビがより便利になるなどインターネットにつなげられる仕掛けがあり、このクラストップクラスを自慢する安全装備を備えるという。
それにしても、旧モデル同様とあまり変わり映えしないエクステリアは、逆に質実剛健が大好きなまじめな人には、受けるかもしれない。価格は360万円台から。
ちなみに、ティグアンという車名の由来は、タイガーTIGERと爬虫類イグアナのドイツ語LEGUANの2つの単語からの造語だそうだ。この車名から眺めると違って見える!?
従来型のスズキ・スイフトに乗ったとき、思わずこんな本音を漏らしてしまったことを今も覚えている。「これが、欧州車のバッチを付けていたら、2倍は売れるのに・・・でも、乗り心地の堅いクルマは日本ではなかなか苦戦する・・・」日本車なら堅い乗り心地も欧州車なら許せる、そんな日本人ユーザーの一筋縄ではない評価基準があるからだ。
2004年というから、すでにデビュー13年目を迎えたスイフトは世界販売の累計530万台。でも、日本では50万台に過ぎない。ならしてみると月3000台程度。10位以内には入るものの、アクアやフィットなどに比べ大きく水を開けられている。このデータを踏まえ3代目も月に3000台が販売目標台数と控えめ。
競合がひしめきあうコンパクトカーの市場が、いかに厳しいかということだ。
今回のウリは、プラットフォーム(土台)を一新することなどで、車両重量を約1割も軽くし、車両重量を1トン未満に抑えた。ボディ剛性も大幅に改善したという。単眼カメラとレーザーレーダーによる衝突軽減ブレーキシステムも進化したようだ。入念なCAE解析と吸遮音材の採用などで、静粛性の向上にも気を配ったと胸を張る。
1.2リッターのマイルドハイブリッドをラインアップすることで、燃費は27.4km/lとライバルとタメをはるし、今後より燃費に有利なストロング・ハイブリッド版も投入するという。面白いのは、走り重視の1リッター直噴3気筒ターボユニットのダウンサイジング版(こちらはリッター20km/lで、価格も170万円台とやや高い!)もある点だ。
この世界戦略車、「今後インドにも投入する一方、スズキの国内年間小型車販売の新記録樹立(昨年は10万台)を更新したい」(鈴木社長)という。価格は130万円台から。
今年は平成29年だが、これが30年前の昭和時代にもどったら、「すげっ、クルマじゃん!」と褒めちぎられていたハズ。世界のカーオブ・ザ・イヤーを総なめ間違いなし。
昨年10月にデビューした新型スバル・インプレッサのことだ。このクルマに乗って3ブロックも走らないうちに思わず冒頭のツブヤキを発してしまった。おじさんの心をぐっと掴むのだ!
前を走るクルマのブレーキランプを識別して、さらに性能向上したアイサイトのバージョン3や歩行者エアバックを標準装備。これらの安全装備は、21世紀のハイテクであることは認める。ステッチ入りの小洒落れたシートデザインは、乗るたびにオーナーに満足感を与えることもわかる。それでもこのクルマはハンドリング・ファーストを標榜している。なにがなんでもハンドリング!
操る喜びを重視のクルマづくりは、昭和時代からスバルが追い求めてきた一大テーマ。
「上州生まれのスバルのモノづくり」がここに結実した! てな感じ。おちょくっているわけではない。イマドキの自動車メーカーは、「燃費ファースト」と「広さファースト」に血道を上げているが、このクルマはそうした流行には背を向け「究極のハンドリング・ファースト」なのだ。
先日、近くのスバルディーラーで試乗して、このことがよく確認できた。10分ほど走っただけで、遊びのないシャープなハンドリング、ボディの剛性感の高さ、ググッとくる直噴2リッターNAエンジンの加速力で、走りの実力はすぐわかる。ふだんダルな6人乗車のファミリーカーのオーナーを自分の選択にほぞを噛む?! こんなクルマに乗っていれば世界観まで変わるかも。やはりクルマは“官能に訴える乗り物”と再認識させられた。
面白いことに、客が押し寄せているという。たぶん昭和時代にいいクルマに恋焦がれたおじさんたちに違いない。燃費と広さを追求するだけのクルマに日本の一部のユーザーは飽きつつあるのだろうか? ちなみに試乗した2.0ⅰ-Sアイサイトは258万円台から。けっして安くはない。しかも燃費はJC08で、17.0km/l、横浜市内走行で約8~9km/lとけっして誉められたものではない。筆者のシエンタHVは、この2倍の好燃費なんだから。
一瞬の走りの鋭さに感動するか、GSでお金を払うときに思わず笑みを浮かべるのを優先するか、それが問題だ。どっちも欲しいのが人間だけど。
若い読者には信じられないかもしれないが、かつてトヨタと日産は互角の争いを繰り返していた。バトルを物語るものとして、1964年(昭和39年)に、社会現象とまでいわれたブルーバード・コロナ(BC)戦争まで起きた。
ところが、いまやトヨタは世界に冠たる自動車メーカーとなり、かたや日産は、経営不振からフランス・ルノー傘下の外資系自動車メーカーに凋落。国内販売ではいつの間にかダイハツにも抜かれ5位定着。国内では売れるクルマは、セレナくらいの弱小メーカーと成り果てた。
ところが、11月の月間車種別販売数ランキングに異変が! 何度も目をこすって確認。コンパクトカーのノートがアクアやプリウスを抜いてトップに踊り出たのだ。2位のプリウスに2451台多い1万6000台近くも売れたという。ハイブリッドカーがスタンバイしているのが秘密らしい。
押っ取り刀で、この秘密を探るべく、近くの日産ディーラーに出かけた。
元メカニックだったというセールスマンを取材。カタログを交互にながめた結論は、電気自動車リーフの部品を上手く使ったところにあった。リーフのモーターとインバーターをエンジンルームに載せ、駆動用のリチウムイオンバッテリーを前席下に押し込んだレイアウト。あくまでもモーター駆動で、1200ccエンジンは、発電専用に徹している。
発電用エンジンは、ロードノイズに紛れさせるため、あえて中速領域で発電させる。だから、人の耳には静かな印象を抱かせ、燃費も37.4km/lとアクア並み。車重も1200kg台に押さえている。リーフの部品を流用していることもあり、価格も、195万円台(売れ筋のe-POWER X)に抑え、戦略的プライスも販売にプラスしているようだ。セールスマンに言わせるとタンク容量は41リッターなので、満タンで900キロは走るというからプリウスPHV並み。燃費のよさも売れた要件のようだ。日産は、このいい流れを持続できるかが課題だ。
軽自動車が約半数のシェアとなったいま、ジャパニーズカーはどこにいくのか? かつて勢いがあったハイソカーも消え、重厚長大のクロカンもブームが去って久しく、SUVという名を変えたクルマは一部の富裕層の好みで、一般庶民はKカーかコンパクトカーに絞り込まれつつある。
そんななか、一台の1リッターコンパクトカーが登場した。
ダイハツの「トール」と「トールカスタム」である。実はこのクルマ、トヨタでは「ルーミー」もしくは「タンク」という名で、スバルでは懐かしい車名の「ジャスティ」で販売された。車名こそみな異なるが、みな同じクルマである。5つの名前を持つクルマとしてたぶん歴史に名が残る!?
このクルマ、調べてみると、ダイハツが企画から開発、製造(ダイハツの池田工場)を担っていて、トヨタとスバルにOEM(相手先ブランド)として供給する商品。販売予定台数は、ダイハツの1000台(月)に対し、トヨタサイドは9000台近くを予定している。初めから儲かる仕組みだ。
これだけ聞くと、「ひとを馬鹿にするにもほどがある。メーカー側の論理ではなく、もっと消費者側に立った個性的な製品作りをしてほしい!」といいたくもなる。そんな腹にイチモツ持った状態で、近くのトヨタの販売店にクルマを見にいった。写真は、トヨペット店があつかう「タンク」である。
ところが、このクルマ、走りこそ不明だが触れてみると、悪くない感じなのである。
全長と全幅は、シエンタなどにくらべると小さいが、1735ミリの全高が効いていて、車内はカタログが謳うどおりルーミーな感じ。運転席回りもチープ感がまるでないつくり。乗車定員も軽の4人にくらべ1名多い5名なので、現在NボックスやスズキのワゴンR,スペーシアに乗るユーザーは心動かされる要素がちりばめられている。トヨタの場合、広くて居心地がいいという意味を込めて、「1LDカー」という昭和の匂いがするキャッチコピーで販売するのが可笑しい。
税制の改正で軽自動車はかつてほど、お得感が薄れているところから、リッターカーが今後コンパクトカー市場に割って入るということらしい。ちなみに、価格は、ベースは140万円台だが、中心は180万円前後。NAとターボ車があり、燃費はそれぞれ24.6km/l、21.8km/lだ。4WD仕様もある。
年を重ねると、なかなか新しい世界に踏み出せない。理由はいくつか挙げられる。
身体が若いときにくらべ反応速度が鈍くなり、観察力も悪くなり、たぶん好奇心も薄れてきているのかもしれない。守りの精神構造になっているため、とくにリスキーと思うことに挑戦できない傾向にある。昨日と同じことをするのが心地いいから、さらにこの傾向は加速する。
10数年前のクルマを後生大事に使い続けているのは、そんなところにあるのでは? と先日ふと気づき、少しの勇気を振るいイマドキのクルマに乗り換えることにした。本当はこういうとき、破産を覚悟で1000万円以上のベンツかレクサスに乗り換えるのがかっこいいのだが、差額でフルコースのフレンチが何回楽しめるかと思うと、イマドキの売れているクルマに食指を伸ばした。安直と思われそうだが、トヨタのシエンタである。ハイブリッド仕様の6人乗りだ。普段づかいで、1000キロほど走ったので、気づいたことを報告しよう。
乗り心地と静粛性は、20年前の高級車にせまる。エンジニアたちの絶えざる努力だ。燃費はハイブリッドなので、街中で約17~18km/l。車重が1.7トンなので、同じエンジンを載せる車重1トンそこそこのアクアのモード燃費37.0km/lには遠くおよばない。
バツ(×)なところは、リアビュー。イマドキのクルマはリアビューモニターが付くので、デザイナーがこれに甘えて、ドライバーが後ろを振り向いての視界確保に手を抜き、そのぶんエクステリア・デザインを重視していることがわかる。もうひとつの×は、このクルマ3列シートなのだが、3列目に座ると運転席との会話がとてもやりづらいことに気づいた。思わず・・・「糸電話」で会話しようかとジョークを飛ばしたほど。レシーバーとスピーカーを追加するといいかもしれない。いまのところ、100点満点中85点。今後気づいたことがあればリポートしたい。
ちなみに、ひさびさに自分で車庫証明をとり陸運事務所に足を運び、登録もしてみた。車庫証明には土地台帳の証明が不要になっていたり、登録はむかしとほとんど変わらなかったが、体験自体は手続きの内実がリアルにわかり、新鮮だった。
実はあまり知られていないが、今年5月に「自動運転標準化研究所(NTSEL)」が、国土交通省のもとに設立されている。これは来るべき“全自動運転システム投入”を見越して、オールジャパンで対応するため、官民あげて取り組もうという体制固め。早い話、日本の自動運転技術を国際標準とするための、基準づくりや調整作業が狙い。もし日本の自動車メーカーが構想する技術が、世界標準と大きくかけ離れたり、イニシャティブを取れない事態となれば、国益が大きく損なわれるという危惧が、その背景にある。
ところで各国の「自動運転技術」の統合についてはどうか? 驚いたことに、言葉(用語)の統一がなされていない。それだけでなく、「自動運転技術」の評価について、ほとんどなにも決まっていないという。技術だけが先行している状態といえる。
「自動運転は、高度運転支援の先にある技術であるとは、ほぼ共通した認識ですが、たとえば日産の矢沢永吉を使ったTVCMでは“やっちゃえ、ニッサン!”で運転中手放しシーンをお茶の間の向こうにいるユーザーに見せ、自動運転技術をユーザーに示しています。一方トヨタは、馬車に乗った御者が“馬は道をはみ出さないが、御者は手綱を握っている”というTVCMを流していました(写真)。完全自動化の前の運転支援システムを訴えている。このように自動車メーカー自体も統一が取れていないので、ユーザーは混乱している」(NTSELの河合英直さん)
これを受けて、「実はアメリカでもほとんど同じです」というのはIIHSのエイドリアン・ランド氏。「世界を駆け巡った例のテスラモーターの自動運転車における死亡事故は、自動運転技術に冷水を浴びせた印象です。でも、一部にはオートパイロットという言葉でこのシステムを説明したメーカー側に非があるという意見もあります」自動運転に限らず、新しいメカニズムというものは、当初さまざまな説明不足や製品の完成度不足などで、初期トラブルが起きる。ABSなど、運転の上手なひとから“機械にまかせるより人の感性のほうが優れている”と強い拒否反応があったが、今では、ごく当たり前の装備となっている。いつの時代も新しい技術は、いくらかの誤解をともないながら浸透する!?
この8月、都内で2日間にわたり開かれたNCAPフォーラムは、欧州、アメリカ、日本、アセアンのスピーカーを軸に、自動車メーカーの技術者だけでなく部品メーカーや保険会社の関係者を集め、熱い勉強会となった。NCAPとはいうまでもなく“ニュー・カー・アセスメント・プログラム(新車評価プログラム)”のことで、第3者機関がニューモデルの安全を評価し、ユーザーに安全に関する有益な情報を提供する役目。
3回目を迎えたフォーラムの注目は、やはり近い将来公道に乗り出すことになる「自動運転車」についてだ。完全自律タイプのクルマが早晩量産される。そのXデーはいつなのか? その安全性の担保についての情報が知りたい。NCAPは地域や国ごとに取りまとめているだけに、「完全自動運転車」の安全評価はどういう枠組みとなるのか? 現在、世界の自動車メーカーだけでなく、ボッシュやコンチネンタル社といったメガ・サプライヤー、異業種であるGOOGLEそれに新興自動車メーカー・テスラモーターなどが鎬(しのぎ)をけずっている。次世代自動車ビジネスを左右するものだけに、確たる答えを求めて耳をそばだてた。
碁の世界でコンピューターが勝利を収めたことが象徴するように、人工知能(AI:アーティフィシャル・インテリジェンス)の進化は著しい。AIが高度化され、その上の知能を持ったシステムをロボットみずから考え出すのが、約30年後の2045年だといわれる。つまり、人間はロボットに支配される日が来るということ!?
2016年8月の時点で、日産は、2020年までに「フル自動走行車両」を開発すると明言している。ホンダも「2030年の早い段階までに自律走行車両を世に送り出す」と表明。そしてよく知られるように、「グーグルの自動運転車両はすでに100万マイルの走行実験を終えている」。このグーグルカーは、ハンドルもペダルも持たない完全な自動運転車両だ。
自動車の≪自動運転化プロセス≫は4段階で考えられている。段階的に無人化カーが進化し、世の中に登場するということだ。この夏ステージ2のクルマがデビューするとして、話題になっている。ハンドルから手を離すと警告されるシステムが組み込まれている。自動車みずからが自律し、ドライバーなしに走行することができない。完全自動運転車との間にはまだ距離がある。(次回に続く)
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