ベンツとかBMWといったドイツの高級車の取材にはほとんど縁がない筆者だが、なぜか東京・木場にできたBMW整備拠点「BMWサービスセンター」の取材が舞い込んだ。早い話、難しい不具合などを修理する整備の司令塔みたいなもので、どこの自動車ブランドでも持っているのが一般的。なにしろ日本市場における輸入車比率は全部合わせて10%前後。そんな日本市場にもようやく本腰を入れてカービジネスをやろうという意欲の表れだと分析できる。ユーザーには、“遅きに逸した”という感は否めない。
整備の司令塔もさることながら、注目なのが、同じ日に取材した「BMWグループ・東京ベイ」である。今年7月にお台場にオープンするというものだ。いまのところ7割ほどしか完成していないが、隣の公園との一体感を持たせるなど注目すべきショーケースになるに違いない。狙いは、BMWとミニの2つのブランドを東京の臨海副都心でカッコよく見せようという常設展示場。しかも体験型という形容詞付き。(写真は完成予想図)
何が体験型かというと、BMW28台、ミニ11台それにBMWモトラッド(バイク)を10台並べ展示するだけでなく、直線で最大130メートルの路面のドライビング・エリアを持つ点だ。F1で知られるFIAの緩衝材を採用しているので、万が一にも安全性が高いという。
ここで、販売車両の試乗だけでなく、基本的な運転トレーニングができたり、急ブレーキ試験や加速フィーリングを試したりできるという。BMWのお決りのキャッチコピーである「駆け抜ける喜び」を感じることができる(かどうか知らないが)。
延べ床面積7176㎡というから、東京ドームの広さに較べるとかわいそうな広さ(15%ほど)だが、輸入車としては、なんだか新時代を開きそうなキッカケになるかもしれない。
かれこれ20回以上にはなるのだろうか? 他でもない、筆者のユーザー車検の体験数だ。
だからといって何度やっても、慣れないところが残る。そもそも2年に一度の車検だが、人間2年前のことはほとんど忘れている面もあるが、もともと決められたことをきちんとおこなうことは苦手な性分だからだ。
前日、メンテナンスノート(定期点検記録簿)に従い、できうる限り点検したつもり。だが、2人一組でやらないとできないところがあることに気づいたのは、車検当日のこと。迂闊にもウインカーなどの灯火類のチェックを抜かしていたのだ。でも、車検で不具合があれば直せばいい。そもそも,先回りして不具合でないところまで部品交換するのは理屈に合わない。検査してから修理、というのでもOKなのだからと、自分でも驚くほどの陽性反応。
書類を揃え、車検ラインに突入。まっすぐ走らせるだけで判定するサイドスリップ試験は合格。次のローラーの上に乗せ時速40キロでパッシングすることで、速度計が正しいかの関門もすんなり合格。ブレーキテストも問題なし! よしよし・・ところが、ヘッドライトテスターでバツが出た。ロアビーム状態でのバツだった。ハイビームでは両方ともに○。「ロービームは来年からおこなう新テストで、現在たいていのクルマはバツになります」との係員。だから、今回は○だという。驚かせないでよ! ホゥッと胸をなでおろしたのも束の間、次の排ガス試験で、COは大丈夫だったが、なんとHCが500ppm近くも出た。係官がやってきて、すこしエンジンを空吹かししてもういちどとアドバイス。それでも、規定値の300ppm以下にはならず。
やむなく、近くの修理工場に飛び込み事情を説明すると・・・「それは触媒が暖まっておらず、反応しなかったからですよ。もう一度、コースに入る前に十分空吹かししておけば大丈夫」と。そういえば、かつてエンジン開発者にインタビューした際、エンジン直下型触媒の効用を聞いた覚えがある。早期暖機に苦労していたという歴史。触媒は暖まらないと機能しないのだ。
勇気百倍で、再検に臨んだところ、今度は、限りなく0ppmに近かった。“オントシ15歳、走行18万キロ以上をあとにしたクルマ”でも、充分イマを走れるのである。費用は? 重量税3万4200円、自賠責2年間2万7840円、検査費1700円、申請書類代20円、計6万3760円。これでガソリンさえ入れれば、この先、2年間公道を走れるのだ。
三菱ふそうから、川崎工場の見学会の案内が舞い込んだ。≪昨年から中型大型トラックの車両ラインをストレート化して、より効率的になり、エンジン組み付け工場も一新したので見て欲しい≫というものだ。
量産工場についてのプロでもなんでもないが、工場見学ほど面白いものはない。根っこは小学生の社会化見学と同じノリで、取材した。1941年創業だから、すでに75年もたつ工場だけに、『ツギハギだらけだったラインを、約100億円をかけて、10年がかりで少しずつストレート化しました』(担当者)というだけに、500メートルほどの中型と大型トラックの組み立てラインは、以前見たときに較べ、わかりやすく壮観だった。
何が驚いたかというと、逆転の発想をしているのである。トラックはフレームにアクスルをまず取り付け、エンジン+トランスミッションを組み、さらにキャブと呼ばれる運転席ボックスを取り付けるのだが、フレームにアクスルと取り付ける段階で、フレームを反転していた。この方が作業者にとり高さをアジャストしやすく、作業性がいいという。エンジンを載せる前に太いチェーンを巻き付け、ゆっくりゆっくりフレームを正対に戻すのである(写真)。ちなみに、となりの小型トラックのほうは、従来通り正対のまま作業していた。
エンジンとトランスミッションを組み付け、ラジエーターなどの冷却系部品を取り付ける工程は、かつてのごみごみした感じから、コア生産といって少人数で、コンパクトに仕上げていくラインに変貌していた。ただ、残念なこともわかった。三菱ふそうは、ダイムラーグループの一員になっているため、小型から大型エンジンまで一貫してつくっていたかつての姿から、国内需要中心の中型エンジンだけを造り、小型はイタリアから大型はダイムラーから購入しているカタチ。国際的な相互依存構造である。これを裏付ける数字もある。国内需要の長引く冷え込みで、輸出比率が90年代から伸び、いまでは75%が輸出だという。自動車メーカーとして向き合うのは、どうも海外のようだ。
トヨタの燃料電池車MIRAIの登場が、いまから2年前の2014年12月だから、それから1年3カ月近くたった2016年3月10日に、ホンダの「CLARITY FUEL SELL(クラリティ・フーエルセル)」が発売された。
いわゆる“後出しジャンケン”ということもあり、5人乗りで、ミライより定員がひとり多いだけでなく、だんぜんホンダのFCVのほうが性能的にすぐれたところが多い印象だ。一充填走行キロ数が750km、一回あたりの水素充填時間は3分程度。しかも、水素タンクと駆動用のリチウムイオン電池以外の部品(モーターや燃料電池スタックと呼ばれる反応モジュール)はすべてエンジンルーム内に納められているのだ。これはモーター部を90度傾け、その上にコンパクト設計した燃料電池スタックとFC昇圧コンバーターを載せたレイアウトゆえだという。その背景には、スタックのセルの厚みを20%薄くし、しかも1.5倍の高出力化することで、従来より33%も小型化できたからだという。全体で、V6エンジンほどの大きさだという。
このことは、従来の製造ラインを活用してFCVをつくれるという意味で、ホンダの本気度が見て取れる。しかも、同じプラットフォームをプラグイン・ハイブリッドにも流用するというのだ。イマドキのモノづくりはどれだけ互換性を持たせ(流用できるという意味)少しでもコストを下げることが至上命令なのだ。
リアエアカーテン・ダクトやリアタイヤ・カバーを備えることで、空力特性を高め、スタイル上の大きなポイントとするなど、ひと目でそれと分かるココロ憎いエクステリアデザインも悪くない。価格は766万円で、当初は自治体や企業を中心にリース販売だが、1年ちょっとで個人ユーザーにも販売するという。なお、写真横にあるのは外部給電機(価格が118万円)。これと組み合わせることで「走る電源」としてこのクルマが活用でき、一般家庭の7日分の電力を供給できるという。もちろんアウトドアでも活躍できる。
ちなみに、ホンダではFCVの本格普及は、2025年を予測しているようだ。
「ひとには、深く付きあわないと心底理解できたとはいえない・・・クルマは使ってみないとその表情は読み取れない!」。そこで一番気になるPHEV(プラグイン・ハイブリッド)車のハンドルを握ることにした。いまや、三菱の顔になりつつある「アウトランダーPHEV」である。定員5名ながら車両重量が1.8トンオーバーのSUVだ。2.0リッター4気筒SOHC16バルブをフロントのエンジンルームに載せ、前後に60kWのモーターを付け、床下にはリチウムイオンバッテリーを搭載したハイブリッドカーである。近場を走るときはほとんど電気自動車として走り、休日の遠出では電気ときどきガソリンをエネルギーにして、どこまでも走れるという触れ込みの新時代のクルマだ。シフトモードはプリウスとほぼ同じであまり違和感はない。ツインモーター駆動による大きな初動トルクを発揮、滑らかな加速と発進性を味わえる。下り坂では、回生ブレーキが働き、バッテリーに電気を蓄えられるなど電気エネルギーが運転席から見える。回生レベルとハンドル近くのパドルスイッチで選択できるので、エコランをする楽しみもある。
今回横浜を起点に三重県の伊勢志摩、青梅、幕張メッセなど各往復など、比較的ロングドライブをおこない、ゆく先々で充電しまくった。驚くべきことに、ちょっと気のきいたホテルや旅館、ショッピングモールでは必ず「普通充電器」が備えられ、4時間でほぼ満充電できるし、コードも比較的細くて抵抗ない。でも、高速道路にある急速充電器は、充電時間こそ30分と短いが8割ほどしか電気を蓄えられない。しかも、大蛇を思わす太くて黒いコードを動かすのは非力な女性では厳しい。雨の日はとくに大変。しかも、静岡のとあるパーキングエリアでは充電器が故障で使えなかったことも。電気が空欠でも不自由なく走れるが、燃費を気にすると電気とガソリン2つのエネルギーをたえず考え、やや頭が重くなった。気になる燃費は、1300キロほど走り13.7km/lだった。車両価格は350万円~450万円台。
鉛蓄電池は、重くてかさばることから、技術革新がなかなか進んでいない自動車部品に思われている。ところが、電気の受け入れ特性を高めたり、見えないところで、鉛バッテリーは意外な進化を遂げ、21世紀の乗り物燃料電池車にもプラグイン・ハイブリッド車でも欠かせない部品なのである。ライトやカーオーディオ、ホーンなどボディ電装品のエネルギーで機器として鉛バッテリーは、今後も活躍しつつけることは間違いない。
その鉛蓄電池だが、筆者が小学生のころ、身近で意外な使われ方をしていた。理容業を営む親父は、唯一の趣味が魚取りだった。それも川魚である鰻(うなぎ)。道具はすべて手づくりだった。直径7ミリほどの真鍮棒を丸くタモ(網)のフレームにし、節を貫通させた竹棒をひとつの極に、もうひとつは、やはり真鍮棒から同じく節をくり貫いた竹のインナーを通したところにボタン・スイッチを取り付け、逆側の極としていた。電源は、オートバイの12V鉛バッテリーで、トランスで変圧して、ちょうど石垣の奥やコンクリートの裂け目に潜んでいる鰻にショックを与えるに適した電圧としていた。バッテリーとトランスを入れる箱は木工で自作し、ベルトは幅広のパラシュートの緑色をしたベルトを再利用。近くに戦時中飛行場があり、そこからの調達品だった。充電具合いをみるのは、いまのような専用機器がないので、正負の極同士を一瞬つなげ、火花の散り具合で見るという、なんとも野蛮で、危ない(水素ガスが漂っている!)手法だった。
休日になると、自転車で1時間ほど走った河川に出かけ10匹近くは捕獲してきた。使い込んだ専用の長い俎板と包丁を使い、鰻を2枚下ろしにすると、電気ショックで骨が途中で折れ、鮮血が滲んでいた。子供心に残酷だとは思ったが、蒲焼にして口に入れるとそんな仏心は霧消した。ときには30匹40匹も捕まえ、家族の腹に収まりきれないと近所の人を集めて鰻パーティを催したのである。
そんな親父が生涯で、しょぼくれるときが2回ほどあった。漁獲法違反で(電気で魚を捕ることは違反なようだ)2回もつかまっているのである。にもかかわらず、趣味と実益を兼ねた彼の趣味は30年ほど続いた。何しろ当時は貴重なタンパク源だったのだ。もうひとつの「ALWAYS 三丁目の夕日」のような光景だが、筆者がいまも鰻をこよなく愛し、一家言もつのも、こんな親父がいたからに違いない。恥ずかしくも、なんとも懐かしいエピソードだ。
前回取り上げた≪18万キロをあとにした愛車ファンカーゴのビビリ音トラブル!≫は、発生源がわかり、意外とすんなり解決。メデタシ・メデタシだったのだが、意外なところから反響をいただいた。騒音は物理学でいえば波なので、反響があってもなんら不思議ではないが、ふだん近所の用足しなどでクルマのハンドルを握ってはいるものの、クルマの仕組みには不案内と思われるシニアの女性から、こんな意見が舞い込んだ。
「ブログを大変興味深く読ませていただきました。ただ、TOP NEWSのビビリ音については、広田さんって耳がよくないのかも? クルマの構造が解らなくても目の前のミラーがガタガタいう音なら素人の私にもわかる・・・」というものだ。
う~ん、なるほど。子供のころから、頭が悪い男と数えきれないほど言われ続けてきたが、耳まで悪かったとは、さすがの筆者も恐れいった。むろん、加齢による難聴症状は起きてはいるが。あまりにストレートすぎる切り口に一瞬返す言葉もない感じ。
手元にトヨタ自動車が整備士向けに編集した技術テキストがある。『振動騒音』の基礎知識からトラブル・シューティング法までを70ページほどにもわたり縷々(るる)解説している上級プロ向けの指南書。ライバルメーカーのクルマにくらべこの部門で劣るとしたら、売り上げを左右することにもなるため、傘下の整備士への懇切丁寧なメッセージが展開されている。このことからもわかるように、クルマの不具合のなかで一番厄介なトラブルは実は振動騒音なのである。
この本によると「左右の耳で聞いた音の差、つまり音の強さと周波数の位相差で、音の発生源を探ることができる。上あるいは下からの音の発生源を探るのは苦手なのである」。つまり、人間の耳は水平方向(X軸)の音源には比較的正確にその発生源を探れるが、上または下にあるY軸の音源の特定は苦手だということのようだ。だから、今回の騒音を聞かせた私を除く3名も、「右のメーターから音が出ている!」「いやインパネの中央からでは?」はたまた「グローブボックスの奥からでは?」というテンデンバラバラにその音源を指差した。誰もが水平方向に真犯人がいると決め付け、頭上から出ている! とは気づかなかった。
ヒトの認識のあやふやさという現象にひどく気づかされた事件だった。五感をテーマにした、ドイツ人作家・パトリック・ジュースキンの嗅覚をめぐる「パヒューム」(文春文庫)にも似た、よくできた推理小説を読んだ感じ、といえなくもない。(ちなみに表は、横軸が周波数、縦軸が音圧レベル。人間の音に対する感度をグラフ化したもので、先の技術テキストに掲載されている)
2週間ほど前から、愛車ファンカーゴのインパネ付近から突如としてビビリ音が発生した。
当初は、よくあるグローブボックスの内容物が踊っているのかと思いきや、どうもそうではない。インパネからのビビリ音と疑い、走行中左手で疑わしいところに手を当て、音が消えるかどうかを見るも、音源がつかめない。ならば、インパネ内のワイヤーハーネスが路面の突き上げで上下動しそれが音として、伝わっていると推理し、グローブボックスを取り外し、覗いてみたり、浸透潤滑剤をメクラめっぽう塗布。それでもいっこうに音が消えない日々が続き、「18万キロも走ってきたから、いよいよ駄目なのか」とまるで片腕をなくした気になった。大げさに聞こえるかもしれないが、このままでは発狂するかもしれない!
こんなときは知恵袋に頼むしかない。トヨタ系ディーラーに勤める友人の1級整備士Kさんに連絡。仕事帰りのKさんを助手席に乗せ、いざ試験走行。ところが、医者の前では骨折した足も急に痛くなくなるのと同じで、ビビリ音が出ない。「ビビリ音を出してくださいよ」とKさん。ココロのなかで「出せと言われてもこれだけは・・・」と思ったとき、下り坂のトンネル内で、待望のビビリ音が出てくれたのだ。このときほどホッとしたことはなかった!? 自分が狼少年になりかけたからだ。音が出てからのKさんはすごかった。あちこちを触り始め、耳を近づけ、5分も走るかは知らないうちに音源を特定したのだ。意外や意外! 後付のワイドミラーが犯人だった。ルームミラーにワンタッチでくわえ込みとめるタイプの室内後方鏡が音源だった。
10年以上も使っていてこれまで何のトラブルもなかっただけに、まさかワイドミラーからとは予想だにしなかった。左の耳から40センチほどしか離れていないワイドミラーから出ているとは? てっきりインパネからの音だと信じ込んでいたのだ。人間の聴力のいい加減さを痛いほど教えられた。Kさんがいうのは、大部分こうしたトラブルは後付のカーナビ、ETCホルダーなどが原因だという。ワイドミラーの4つの爪のゴムが劣化して硬くなっていたのと、冬場でより硬くなっていたのが原因のようだ。純正ミラーと少し離して取り付けることもビビリ音発生の予防になる、とKさんは教えてくれた。まさに“泰山鳴動してねずみ一匹”とはこのことである。
年に一度東京ビッグサイトでおこなわれる「エコプロダクツ」は、今年で17回目。主催者に聞くと、入場者数が減り気味で,わずか17万人ほど。ひとつには、エコという言葉が当たり前になり,人々の頭の中でスルーしているからだという分析もできる。
ということはわれわれ庶民、一人一人がもっとエコ意識を持つことが大切。
エコの製品を追い求めるのもひとつなのだ。というわけで、今回はフォークリフトに注目した。
フォークリフトの動力は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、液化天然ガス・エンジン、それにバッテリーなど多岐にわたる。でも環境問題で、いまやバッテリー・フォークリフトが主流派になりつつあるという。ところが、バッテリーは充電時間が8時間も必要だ。ちなみに、その世界市場は年間約100万台、日本だけでも7万8000台に過ぎないという。トヨタブランドのフォークリフトはうち約2割。
そこで、理想のパワーソースはやはり燃料電池であるFCフォークリフト。
豊田自動織機では、2.5トンタイプのフォークリフトを展示。『ミライ』などFCクルマは、70MPa(メガパスカル)の高圧で水素をクルマに注入するのだが、フォークリフトはその半分の35MPaで大丈夫なので、水素ステーションも約半分(それでも2億5000億円)で済むという。発売は2016年の秋ごろだというが、当初は公共の市場などでの活躍になる。広くいきわたるには人々のエコ意識にかかっているようだ。
エコカーの代表選手・ハイブリッドカーの先頭を走るトヨタのプリウスがこのほどフルモデルチェンジされた。
従来型車の32.6km/lからリッター40.8km/lへ大きくジャンプしたのも魅力(メイン車種は37.2km/lだけど!)だが、もうひとつの注目はE-Fourが登場したことだ。リアにモーターを付け、ときどき4WDになる“電気式4輪駆動車”である。
どんなとき有効かというと、濡れた路面での発進時、雪道などだ。とにかく路面の摩擦抵抗が低いときに安定して走れるのである。たとえば、冬の早朝など幹線道路から自宅の駐車場に向かうとき、路面が凍結した坂道で、スリップして登れなかった経験のある読者なら痛いほどわかると思う。
樹脂シートのうえに洗剤を吹き付け、意図的に摩擦抵抗0.1ほどにした路面で発進したところ、通常の2WDではリアタイヤはふらつき不安定となった。ところが、E-Fourだと、多少荒いアクセルワークでも、ごく自然に安定して前に進むことができた。駆動の状態をリアルタイムにインパネのディスプレイに表示するのもうれしい。乾燥路面での発進時にも、このディスプレイにより、後輪駆動が得られていることがわかり、発見である。
開発者に聞くと、モーターを狭いスペースに収めることが一番の難題だったという。リアサスがダブルウッシュボーン・タイプなので、ロアアームがセンナ-に張り出しているから余計だったようだ。ちなみにE-Fourだとノーマルの2WDにくらべ重量で約70kg重くなり、価格ではおよそ20万円アップ。なお、新型プリウスの車両価格は、242万円台からだ。
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