2013年11 月 1日 (金曜日)
東日本大震災で活躍したウニモグに乗る
ウニモグ(UNIMOG)、というクルマをご存知だろうか?
第2次世界大戦終了後の1945年に、ダイムラー・ベンツ社の航空エンジン開発エンジニアが、農業用多目的装置としてウニモグの原型を作り出し、そののち小変更が加えられ、いまでは3000種類ほどのアタッチメントが用意される。“多目的動力装置”というドイツ語の頭文字をとったのがウニモグだ。悪路走行車両として飛びぬけた走破性をもつ車両。全長5600ミリ、全幅2300ミリ、全高2875ミリで、車両重量が約9.5トン! ホイールベースは、全長にくらべ3600ミリと短いのは、アプローチアングルを稼ぐためとみた。
この車両、ハイウエイの壁面清掃、NTTでの通信車、はたまたタイヤの代わりに鉄輪を履かせ線路上を走らせる作業車としても活躍しているが、2011年3月11日の東日本大震災時の被災地支援車両として、ダイムラー社から計4台のウニモグが送られ、三菱ふそうトラックバスが現在管理を受け持っており、その1台にこのほど栃木で試乗できたのだ。
ウニモグは、ダカール・ラリーなどでも活躍しているだけに、一度乗りたかったクルマ。ワクワク感は高まる。左ハンドルだ。ハンドルを持たせてくれなかったので、ハンドリングについてはいえないが、高い目線で、ゆっくりゆっくり走り出す。排気量4.3リッターの4気筒ディーゼルエンジンは、わずか2100rpmからイエローゾーン、2700rpmからレッドゾーンで、通常走行回転域は、1200~1800rpmの低速。タコメーターの色分けしてあるのはそれがわかった。走行中の振動とノイズは、まことにすさまじい。とてもじゃないが、長距離ドライブは無理だ。その意味では、フラストレーションが溜まるが、なにしろ斜度45度、水深1.2メートルというのは凄い。震災時には、大活躍したことが想像できる。わずか10分ほどの試乗だったが、このクルマに揺られるうちに、はるかアマゾンの流域か、サハラ砂漠の真っ只中にいる気分になっていた。クルマが持つ空気感にあらためて、興味を抱いた。
2013年10 月15日 (火曜日)
ガソリン、ディーゼル、ハイブリッド、3つのパワーソースで選べる新型アクセラ
もうすぐ発売となる新型アクセラは、スタイルからパワーソース、走りの性能、インテリア、安全性どこを切っても21世紀型乗用車。マツダの持てる力をフルに投入した車両ともいえる。
そこで、ここでは少し異色な側面でこのクルマを眺めてみよう。
アクセラは、実は、マツダの稼ぎ頭。発売から10年で、グローバルで370万台を超え、マツダの販売実績の約3割を占める。このクルマ、スポーツコンパクトと謳いながら、実は、3ナンバーなのである。車幅が1795ミリで、5ナンバー車幅枠の1700ミリ未満という条件を超えるのだ。(ちなみに全長と全高は5ナンバー内だが、ひとつでも超えると3ナンバー)
あまり強く認識していなかったが、マツダの乗用車で5ナンバーに収まるのは、デミオしかない。実はマツダは3ナンバー車でのビジネスを大きく軸足をかけているということだ。
2つ目はエクステリア。つまり外観。マツダの新世代商品共通のデザインテーマである「魂動(こどう)―SOUL OF MOTION」。デザイン哲学めいた、ダイナミックで生命感あふれるスタイル。欧州や最近世界シェアを増加させている韓国車に迫るカッコよさ。好き嫌いはあるが、たぶん多くのユーザーに受けるスタイルだ。
3つ目のポイントは、日本車初の3つのパワーソースを選択できる点への疑問。ガソリン1.5と2リッター、2.2リッター・ディーゼル、それにハイブリッド。いずれを選択してもらっても「マツダ車らしい走りを楽しめる」と社長以下エンジニアが自負する。とくに1・5リッターガソリン車は、170万円台からと手に入れやすい。高くても300万円止まり。細かくいえば、このパワーソース4つは、ユーザーの選択肢が広がり喜ばしいことにつながるのか、はたまた政治家が耳障りのいい公約を並べるような希薄さに結びつくのか?
ちなみに、このクルマのコンペティターは、スバル・インプレッサ、カローラフィールダー、プリウス、それにゴルフあたりだが、バトルの激しい日本市場でさらなる橋頭堡を築くことができるかが注目だ。
2013年10 月 1日 (火曜日)
岡山の地元企業の底力! 魅力あるEV参上
一大ブームを巻き起こした朝の連続TVドラマ「あまちゃん」のメッセージのひとつは、≪地方の底力、地方の魅力再発見≫だったように思う。長いあいだ東京を中心にした一極集中の文化、産業をイメージしていたが、実は地方にこそ高い技術力の潜在能力を持っている。考えてみれば、明治維新だって長州(山口)、薩摩(鹿児島)の青年が核になって成し遂げられた。
都会の閉塞感は、地方のチカラが打ち破るのかもしれない。この電気自動車を見て、あまり根拠はないが、ふとそんなことを考えた。
岡山県にある自動車関連企業、要するに部品工場16社と地元大学と三菱自動車工業などの英知で創り上げた最新型の電気自動車である。EVというと、日産リーフの売り上げが思うように伸びない。2016年までに世界でEV150万台販売をめざしていたが、あまりの売れ行きの悪さに2020年と4年も達成目標を遅らせるほど。その背景には1充電での走行キロ数があまりに少なすぎるのと、充電設備が少ないのと充電時間が急速でも30分かかる、高価な車両価格、この4重苦があるからだ。
この『OVEC-ONE』(OVECは岡山ビークル・エンジニアリング・センター)は、ギャラン・フォルティスをベースとしてはいるが、今後の技術革新が見込まれるホイールインモーター。つまり4つの車輪の内部にモーターが組み込まれている。20世紀初頭ポルシェ博士が24歳の時に数台作り上げたものが起源とする斬新なものだ。最高時速160キロ。しかもフロントにストラット、リアにマルチリンクと走りと量産性を意識したものだ。屋根には、鋼板よりも40%も軽いソーラーパネルを装着し、発電量を70Wとしている。バッテリーはリチウムイオン電池2台分。ブレーキは電子式だ。一充電の走行キロ数は不明だが、すでにナンバーを取得し、街中を走れるという。最大出力180kW,最大トルク1800Nm。車両重量は1650kg。
このプロジェクトが、今後どんな具合に進化するのか大いに注目したい。
2013年9 月15日 (日曜日)
旧きクルマに乗って新しきを知る!?
先日千葉のテストコースでおこなわれたメガサプライヤー・コンチネンタルの試乗会で、笑えるクルマのハンドルを握ることができた。
現在中国で販売している初期型ワゴンRの1.4リッター版だ。左ハンドルで5速トランスミッション。スズキのクルマだが、スズキはこのクルマの開発には関わっていないことがすぐ分かった。何しろ、アクセルペダルは、まるでスイッチのようにON/OFFフィーリング。中間のじわりじわりがまるでないのである。ブレーキもスカスカで、正体不明。ハンドリングは、それこそ初期型のカローラやホンダZを思い出す昭和40年代フィーリング。おまけにエアコンを付けると1400cc4気筒エンジンなのにパワーダウンが顕著。遮音材がまったく施していないらしく、アクセルを踏むと車内はすさまじい騒音に包まれる。間違いじゃないかと思うくらいだが、このクルマ上海のディーラーから手に入れ、日本に運び込んだものだという。現地のナンバープレートを付けた中国製まんまの庶民車。
少し弁護すると、チャイニーズドライバーは、こうした味付けを好むという。アクセルフィーリングは、ON/OFFが好まれるという。騒音の浸入も気にならないという。多少のショックも気にならないのだ。
メガサプライヤーのコンチネンタル(本社はドイツのハノーバー)は、このクルマのエンジンマネージメント、つまりエンジンコンピューターやインジェクターなど心臓部を供給している。格安で、高性能で、しかもその市場にあうチューニングを求められるという。インドやアフリカ諸国など今後の需要が見込める・・・。
ところが、このクルマのハンドルを握っているうちになんだか、隣国中国人の気持ちが、ますますわからなくなってきた。尖閣諸島の問題以上の難問を、この中国製ワゴンRで認識できた。
2013年9 月 1日 (日曜日)
新型フィットのリッター36.4キロの秘密とは?
「コンパクトカー、クラストップの燃費チャンピオン」となるクルマが9月はじめに登場する。
ホンダのフィットハイブリッドだ。燃費は、JC08モードで、36.4km/l。トヨタのアクアが35.4km/lだから、リッターあたり1キロ上回る。確実に軽自動車の燃費を上回ったことになる。
次世代型ホンダのハイブリッドシステムは、すでに発売早々好調を維持するアコード(こちらはリッター30キロ!)と基本的には同じだが、アコードが2つのモーターだったのがフィットハイブリッドは1個のモーターと1500ccのアトキンソンサイクル・エンジンとの組み合わせ。
燃費合戦は、ただ単にハイブリッドだけで勝負という時代は過ぎ去った。とにかく“合わせワザ”で重箱の隅をつつくがごとく燃費を高めているのである。1.3と1.5のノンハイブリッド・フィットはトランスミッションにホンダ製のCVTを搭載しているが、ハイブリッドには、なんとデュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)を採用。マニュアル・トランスミッションの伝達効率に限りなく近く、ゴルフなど欧州車に多く採用しているタイプ。DCTは、下り坂などでギアの切り換え時にエンジンブレーキの利きが不足がちになるので、電動サーボブレーキ(写真)を採用している。これによりエネルギーの回生量も飛躍的に高まり燃費に貢献しているという。
もちろんイマドキのエコカーなので、アイドリングストップはお約束の仕様。エンジン停止中にもエアコンを効かせたいので、エンジン補機類であるエアコンのコンプレッサーは電動化され、ウォーターポンプも電動化。ちなみに、電池は、GSユアサとホンダの2社で立ち上げたブルーエナジー製のリチウムイオン電池だ。いつの間にか、クルマは電動化の道をどんどん押し進んでいることは間違いない。
2013年8 月15日 (木曜日)
ジャパニーズツールメーカーの逆襲!?
ハンドツールの単行本を来春発売めざして、現在ツールメーカーの取材をしている最中だ。
約20年ぶりに再訪する日本の工具メーカーは、大きく装いを変えつつあるところが少なくない。かなり前から飽和気味の日本市場に、安くて品質もそこそこの台湾ツールが入り込み、ある意味市場は戦国時代。クルマにくらべ単価が安いため、自動車市場の輸入車比率以上に台湾ツールのシェアは高いのではなかろうか?
今回の取材の大きなポイントは、「ジャパニーズツールはいかにグローバル時代を生き抜いていくか?」だ。体力のない工具メーカーは、家電メーカー同様に海外メーカーの傘下にくだる運命になる可能性が高い。経営者の危機感の抱き方の大小で、生き残れるかどうかは分かれる!?
そんな中、先日TONE(前田金属)の大阪・河内長野につくった新工場に出向いた。自動倉庫を備えた進んだロジスチックス(物流)にはさほど驚きはしなかったが、仕事のすすめ方というか仕事のスタイルには驚かされた。企画、開発、設計、生産技術などの技術端のフロアが同じフロアにある。しかも、100名ほどいるモノづくりの工員たちは、オールラウンドプレーヤーを目指しているのだ。どういうことかというと、先月まで鍛造部門にいた工員が来月は電動工具の組立部門で仕事をしている、ということだ。スタッフの能力を高めることで、フレキシブルなモノ作り工場を目指すという。製造部長の権限でスタッフのシフトを自在に変更できる。社員の意識を変革し、一人一人に責任を持たせることで、生産性を高めるという手法のようだ。
一昔前までは、TONEの工具というと、デザインされておらず、退屈で魅力の薄いものだったが、ごく最近の製品はなかなか侮れない製品が少なくない。おそらく今後さらに魅力ある製品を作り出すと思われる。注目していきたい。
2013年8 月 1日 (木曜日)
ハンマー造りの老舗で見たものは?
いわゆるハンマーは、トンカチ、金槌、ゲンノウ、ナグリ・・・さまざまな名称で呼ばれ、それこそいろいろな種類がある。自動車の修理にも大いに使われているだけでなく、釘を打ったり、工場の金型設置で活躍したり・・・現代でもさまざまな場所でなくてはならない道具のひとつ。おそらく人間が発明した最初の道具のひとつであることは間違いない。調べてみると、ハンマーという道具は、モノをつくるためだけのものではなかった。狩や戦争でも活躍している。この場合は“破壊の道具”と言い換えてもいい。
仕事柄さまざまなモノづくり工場や修理工場をこれまで見てきたが、ハンマー造り半世紀の企業は、とてもユニークだ。奈良の生駒山が近くに見える東大阪市にある工場が『オーエッチ工業』。オーエッチ(OH)というのは「大阪ハンマー」の略。ハンマーといえば鉄ハンマー、ウッドハンマー、プラスチックハンマー(ショックレスハンマー)などがすぐ思い浮かぶが、この会社のカタログを見るとそう単純ではない。非鉄系のハンマー群では、ゴムハンマー、ウレタンハンマー、塩ビハンマー、ナイロンハンマーなど。金属系では、鉛ハンマー、アルミハンマー、真鍮ハンマー、銅ハンマー、軟鉄ハンマーなどがある。打撃力の差で選択されるようだ。
終戦直後から15年ほどは、ハンマー、ツルハシ、シャベル(スコップ)が、道路工事、建築工事などで活躍する3点セットだった。そのため、鍛造設備のある工場は、ほとんどみなハンマーを造っていて、日本で何百というハンマー工場があったという。でも99%の工場が、ほかのモノづくりとの兼務で、やがて社会が落ち着くと少数のハンマー工場しか残らなかった。そのひとつが、OH(オーエッチ)ということのようだ。もちろん、建具や案や大工さんがもっぱら使うのがゴムハンマー、機械・木工などで使われる塩ビハンマー、ジェットタービンのホイルを修正するとき使う鉛ハンマー、振動打撃でシャフトを抜くとき必須のアルミハンマー、金型の修正位置決めで活躍する銅ハンマー、キャタピラのピンを抜くとき重宝する軟鉄ハンマーなど、時代が移るにつれ細分化していったハンマー需要にきめ細かく対応できたのも、生き残れた理由のひとつといえそうだ。
2013年7 月15日 (月曜日)
7年後、2020年の乗用車はこんな感じ!?
「7年後の乗用車は、こんな感じになる!」
そんなキャッチフレーズの一台のクルマが、マスコミに公開された。ビステオンという部品メーカーの「e-Bee」という名のコンセプトカー。ベースのクルマは電気自動車の日産リーフ。エクステリアはノーマルのリーフとまったく同じだが、車内に入ると、あっと驚く。通常のスピードメーターの替わりに「ヘッドアップディスプレー」。その両翼、つまりステアリングの左右にはミニⅰPad風の小型ディスプレイが2個装着。左はクルマの情報を表示し、右のパネルはソーシャルネットワークにつながるモニターだ。ルームミラーはない。リアビューカメラがとらえた180度パノラマ映像がモニター画面に映し出されるからだ。
面白いのは、エアの噴出し口が見えない。インパネが2重構造になっていて、楽屋から顔を出すように、冷風もしくは温風が周辺から出てくる仕掛けなのだ。空調は、エネルギー効率の高いヒートポンプを組み込んだ空調ユニットで空調機自体がインパネ下部ではなくキャビンの外に設置することで、居住空間を劇的に増やしているという。もっと面白いのは、インテリアのカラーが即座に変更できるところ。カラーだけでなく、収納スペースと内装の質感まで変えられる。欧州向け、アメリカ仕様、中国仕様・・・という地域ごとの味付けの変更だけでなく、所有者ごとの変更、ドライバーごとの変更も可能だという。内装をそんなにコロコロ変えられるという背景には、2020年には、≪クルマの所有のあり方≫に大変革がおよび、個人所有が減り、カーシェアリング、短期レンタルなどが多くなるということのようだ。
2020年には、ボッシュによると自動運転システムも組み込まれるクルマが登場、動力の電動化率も高くなる・・・どうやら、われわれはクルマという個人の自由な移動手段の大きな変革期をリアルタイムで見ることができる幸運のなかにあるようだ。
2013年7 月 1日 (月曜日)
ホンダの本気モードのハイブリッドカー第1弾はアコード
プリウスやアクアをはじめトヨタのハイブリッドカー攻勢でかなり水を開けられていたホンダのハイブリッドカー。先日デビューした新型アコードは、リッター30キロ(JC08モードで)という軽自動車並みの低燃費と胸をときめかす(?)加速感を得られる味付けで、いっきにトヨタハイブリッドの牙城に迫ろうとしている!?
その中身とはなんなのか?
発電用のモーターと走行用のモーターの計2つのモーターをエンジン近くにレイアウトした「2モーター・ハイブリッド」タイプということだ。発進や街中でのクルージングはバッテリーからの電力により走行用モーターで“EVドライブモード”をおこなう。力強い加速が必要な場合は、エンジンを始動して発電用モーターを駆動。その電力を走行用モーターに供給する“ハイブリッド・ドライブ・モード”で走行する。高速クルージング時はエンジンの動力でタイヤを直接駆動する「エンジン・ドライブ・モード」に移行し、エンジンの高効率領域を生かしての走行をおこなう。減速時にはもちろん走行用モーターが活躍し、エネルギーを溜め込む。これらの切り換えはすべて電子制御で、スムーズにおこなわれるところがミソだ。ウォーターポンプ、エアコンの2つが電動化することで、補機ベルトがなくなり、その面でのフリクションも低減している。
ちなみに、ホンダでは動力をミックスさせるための複雑な機構や、トランスミッションなどの変速機構を使わない分トヨタのハイブリッドシステムよりアドバンテージが高いと暗に謳っている。
軽量化作戦では、ハイテンションスチール使用率を55.8%まで高め、さらにサブフレーム、エンジンフードにアルミ合金を採用している。車両重量は1620kg。価格は356万円から。
なお、今後ホンダでは1モータータイプの新型ハイブリッドシステムをフィットに、3モーターの四輪駆動タイプをオデッセイあたりに採用していくという。
2013年6 月15日 (土曜日)
10年または10万キロの特別保証付き新型eKワゴンは買いか?
劣勢が続く三菱自動車は、日産と組んで新会社NMKV(日産・三菱・軽・ビークルの略)という新会社を2011年6月に立ち上げた。その第1弾として登場したのが、新型eKワゴン(日産ではDAYSデイズの名前で販売)である。
ダイハツ、スズキ、ホンダの三つ巴、過激な競争が展開される軽自動車市場への戦いに挑むカタチだ。女性を意識したUVカットガラスの多用、軽量化のためにハイテンションスチールを重量比56%まで採用、時速13キロ以下でアイドリングストップする機構を組み込むなどで、燃費をJC08モード29.2km/l(ただしターボ車は23.4km/l)と、かなり力こぶを入れたクルマ造りと見た。
競争の激しい世界ではどこでもそうだが、平凡で退屈なクルマは埋没し敗走する。
女性ユーザーにとくにうけるアピールポイントを作り、クオリティ感のあるクルマ造りを目指したようだ。たしかに、ドアトリムのアームレストなど高級車然とした加飾あり、リアドアなどは4段階式に開くなど「ほほ~ッ」となる部位もある。エクステリアも悪くない。ちなみに、エンジンは軽のアイ(ⅰ)でミッドシップ(車体の中心にエンジンを載せリアを駆動する駆動スタイルのこと)だったエンジンをベースに、エンジン内部の摺動部の抵抗を軽減するなどのファインチューニングを施している。結果として軽自動車初の後方排気(前方に吸気系がくる)で排気系に無理が少ないタイプ。外観やエクステリアなど見えるところはたしかに、美しく仕上がっているようだが、エンジンルームやトランクなどあまりユーザーが気に留めないところをチェックすると、コストを考慮した造りといわざるを得ない。ちなみに、価格は、105万円台から。
このクルマの最大の注目は、じつは「最長10年または10万キロ特別保証」を軽ではじめてつけた点。以前に比べ給料も上がるわけではなく、早々クルマを買い換えられないため、長期に乗るユーザーが増えている。だからといって、これはひとつのアドバンテージになるのかどうか? かつて韓国車が、同じようなキャンペーンで日本市場に定着を図ったが、見事に失敗している。長期保証がユーザーに訴求するのかどうか。大いに注目したい。
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