2013年6 月 1日 (土曜日)
パイクス・ピークに三菱のEVがチャレンジ!
坂を駆け上がるレースとして有名なアメリカ・コロラド州にあるパイクス・ピーク山で、毎年アメリカ独立記念日の前後におこなわれるレースがある。「パイクス・ピーク(Pikes Peak)」である。標高2862メートルから頂上に向かって、標高差1439メートルをいっきに駆け上がる単純なレースだ。コーナーの数が156個、平均勾配7%。距離としてはわずか19.99km。だが、フィニッシュ地点手前はすでに富士山の標高を超えるため、気圧・気温・天候が刻一刻と変化する過酷このうえないレースといえる。
このレースには4輪ガソリン車、電気自動車、2輪部門などのカテゴリーがあるが、電気自動車は、気圧の変化や気温の変化にあまり左右されないためだんぜん有利とされている。昨年は、ヒュンダイ車が9秒47秒で優勝し、今年もプジョー、トヨタなどが参戦する。このなかに軽自動車ベースの三菱のEV「アイミーブ」をベースにした『ミーブ・エボリューションⅡ』が2台参戦する。パリダカール・ラリーで知られる増岡浩(ますおか・ひろし)選手と2輪部門で過去6度パイクス・ピークで優勝経験を持つアメリカのグレッグ・トレーシーの2人がドライブする。
市販車ベースとはいえ、実はフロントに2個、リアの2個の計4個のモーターを装着した四輪駆動方式。しかも、ランサーエボリューションなどに採用された車両運動統合制御「S-AWC」を組み込んだフルチューン。昨年、クラッシュで終わった増岡選手は「すべてのコーナーを覚えていたはずだったのですが、記憶違いが原因でヘアピンコーナーでのコースアウトを余儀なくされた・・・」とのこと。平均時速120キロのなかで、100以上のコーナーの様子を頭に叩き込んでないと勝てない。これだけで、いかにすごいレースかがわかる。レーサーのEVが、市販EVとどう結びつくのかは不明だが、とにかく決勝戦の6月30日に注目だ。
2013年5 月15日 (水曜日)
隣の国・韓国のクルマ事情とは!?
日本から見て一番近い国といえば、とりあえず韓国だ。その韓国のクルマが現在、大いに世界で活躍していることは日本では意外と認識されていない。
ひところの、信頼性に疑問を抱くというクルマから脱して、欧州車並みに洗練したエクステリアと日本車に迫るハイテクテクノロジー投入。しかも価格はリーズナブルなだけに、受けないはずがない。ただ、日本市場では、まだまだクルマがイメージ商品という側面が強くはたらき、幾度となく市場投入されたものの不首尾に終わり、韓国乗用車は現在販売していないと聞く(観光バスのみ)。
そこで、韓国自動車工業会(KOMA)のエグゼクティブ・マネージャーフー・ワンさんにソウルモーターショーを機会に、インタビューしてみた。「ソウルモーターショーの一番の自慢は、東京モーターショーを抜き、いまやフランクフルト、上海に次いで世界で3番目の広さで展開していることです」。会場の広さだけでなく、欧米のメーカーがこぞって出品している点も東京モーターショーを凌駕している感じ。「韓国の輸入車比率は約10%。日本は6%しかないのがその原因では」というワンさんの分析を待つまでもなく、日本の地盤沈下のイメージが強い!? ところが、ソウルのショーでは、いわゆるワールドプレミアム・カー(世界初お披露目)の自動車がほとんどなかった。そこがソウルショーの課題だ。
ソウルの町並みはクルマが走りやすいとはいえ、一歩街中に入ると東京以上に狭い路地がある。街づくりとクルマ社会の折り合いは、大きな悩みと見る。「今後、韓国の自動車市場もハイブリッド車が増えます。でも電気自動車はインフラが未整備のため、2030年ごろになると見ています」とのことだ。ますますグローバル化しつつある自動車ビジネスのなかで、韓国のメガ自動車メーカー・ヒュンダイ(現代自動車)のチカラが今後どう伸びるかにかかっているといえる。
2013年5 月 1日 (水曜日)
今年の夏発売予定のスバルのハイブリッドカーは燃費20km/lでやや期待薄!?
このところ販売が好調のスバルから、この夏新しいハイブリッドカーが発売される。
スバル初のハイブリッドカーは、インプレッサXVをベースにしたもので、スバル独自のオリジナルハイブリッドシステムを搭載したという。
親会社のトヨタとは一線を画す、ハイブリッドシステムを簡単にいうと・・・排気量2リッターの水平対向エンジン、ドイツのシェフラー製の縦置きCVTの内部にモーターを組み込み、リアのトランクルームにニッケル水素バッテリーとインバーター、コンバーターなどの制御装置を詰め込んでいる。とはいえトランク室の荷室面積がさほど犠牲になってはいないものの、車両重量は約130kgの増加。うちCVTが35kg重くなっている。
気になる燃費は、ノーマルのガソリン車の15.8km/lに対して20.0km/lと約30%の燃費向上(いずれもJC08モード)。同じハイブリッド車のプリウスなどにくらべると、かなり引けをとる。ただし、走りはスバルらしいというのが富士重工業の自負するところだ。ハイブリッド特有の振動・騒音対策も万全だという。
石橋を叩く、そんなイメージのスバルのモノづくりらしく、いくつもの点で、メカニカルな重荷を背負っている。たとえば、エンジンルームには、2つの鉛バッテリー。ひとつは、再始動用だ。フランスのバレオ製のオルタネーターは、再始動時の活躍するスターター機能を持ち、通常のものより2割り増しで、でかく重い。しかも通常のスターターも備わる。補機ベルトの山数は6山から7山にしている。CVTのオイルポンプも、機械式と電動タイプの2つだ。いまや乗用車の国内販売の3割のいきおいのハイブリッド車の中で、スバルのハイブリッド車がすんなり食い込めるかどうか? 価格などは現在お預け中だ。
2013年4 月15日 (月曜日)
トヨタの次世代スモール・ハイブリッドカーは50km/lを目指す!
昨年3月スイス・ジュネーブショーですでに世界デビューしたとはいえ、先月3月27日にソウル・モーターショー会場でぼくの前に現れたトヨタの次世代スモール・ハイブリッドカー「FT-Bh」は、やはりぜひ乗ってみたいクルマの一台として魅力を振りまいていた。包み込むようなフォルムは近未来を予感してなんともいえない!?
全長3985ミリ×全幅1695ミリ×全高1400ミリ。同じハイブリッドカーのアクアにくらべると全幅こそ同じだが、全長と全高がそれぞれ10ミリ、45ミリ小さい。車名のFT-Bhというのは「フューチャー・トヨタBセグメント・ハイブリッドカー」という意味だ。Bセグメントというのは排気量1~1.5リッタークラスのスモールカーのカテゴリー。驚くべきは車両重量が800kgを切る786kg(アクアは1050kg)。コスト高になるカーボン素材を使わずに、ハイテンションスチール(高張力鋼板)を多用したというところも本気モードを感じる。空気抵抗をぐんと下げ、CD値が0.235(アクアは0.28)。エンジンは、1リッター2気筒でモーターとリチウムイオン電池の組み合わせ。タイヤは145/55R18。価格などはまったくの未定だという。
このクルマ、2010年代の末にデビュー予定と噂される。つまり、5~7年後に発売にこぎつけるらしい。それまでにはより進化しているかもしれないし、逆に重量増になっている可能性もないわけではないが・・・。 東進ハイスクールの現代文の講師・林修さんではないが、「いつ本気で勉強する? 今でしょ!」をもじった「いつ次のクルマを買う? 今でしょ!」という言葉とは裏腹に、買い替えのタイミングがどんどん先延ばしされる!?
2013年4 月 1日 (月曜日)
アルミの切削加工にモノづくりの極意を見た!?
「120kgものアルミのカタマリから、これを作り上げたのです」
先日東京ビッグサイトのとある展示会で、不思議な造形物に足を止めた! モノづくりメーカーから出品されたシルバーに輝くダミーのフルフェイスのヘルメットだ。聞けば、アルミのインゴットから削り出して造型したという。
この企業は、ホンダなどの自動車メーカーからの依頼で、レース用の部品や自動車やバイクの量産部品をつくるうえでの試作と呼ばれる一品モノの部品を造るプロフェッショナル。二足歩行ロボット「ASIMO(アシモ)」の部品試作も担った。小惑星探査機「はやぶさ」で有名になった宇宙航空研究開発機構のJAZA(ジャクサ)からの依頼部品もある。この企業は、もともとは半世紀前の1960年に生粋の職人だった創業者・大町實氏が東京・板橋で起こした事業からスタート。現在の本社は埼玉県朝霞市。いまでは、最先端の同時5軸加工で高精度な複雑形状の限界や超軽量薄肉加工の限界を見極めることなどを通して、さまざまな金属切削限界にチャレンジしてきたという。
そのひとつが、今回公開したフルフェイスのヘルメットということだ。
120kgあったアルミ合金塊を5軸加工技術を使い、はじめは大きな刃物で、次に細部をどんどんけずり、メッシュ加工や薄肉加工をほどこし、最終的には総重量がわずか3.6kgまで削りこんでいる。最小肉厚は口元部であり、なんと0.3ミリ。使用した一番小さな刃物は、半径0.1ミリのボールエンドミルと呼ばれるミニマムサイズ。この高い技術で、「切削ドリームコンテスト」の金賞を受賞するなどさまざまな受賞を勝ち得ている。世界が認めたこの技術をYou Tubeでもたのしめる。使用する機械は、マシンイングセンターなどで、手作業は、せいぜいバリ取りぐらい。アルミはリサイクル性が高いので、削りカスをまた集めて、もとの素材に戻せるのはいとも容易。その面では環境にやさしい企業といえそうだ。㈱大槇精機(だいしんせいき)。
http://www.disn.co.jp
2013年3 月15日 (金曜日)
リッター30キロでせめぎ合う! Kカー戦争
やはり技術というのは、熾烈な競争下でないと高められないものなのだろうか?
いま、日本の軽自動車の世界は、ホンダのN-BOX,N-ONEの参戦で、三つ巴の戦いを念じている。少し前まで、スズキとダイハツの軽ビッグ2の戦いだったものの、ホンダが軽市場に殴り込みをかける感じで参戦したからだ。早い話、ダイハツタントは、N-BOXがデビューする前はわが世の春を満喫していたのだが、いまやホンダN-BOXの後塵を拝している。
現在日本の新車販売では、軽自動車が全体の36.9%を占めているという。3台のうち1台が確実に軽自動車。なんと半数を占めている県が7県もあり、40%を占めている県なら半数以上の30県もあるという。エンジン性能、安全性、耐久性、見栄えなどクルマを評価するポイントは少なくないが、イマドキの軽はコンパクトカーとさほど見劣りがしないばかりか、選択肢も増えている。コンパクトカーと決定的な差異は、室内空間だ。
ワンボックスタイプの軽が、がぜん張り切るのはそうした背景もあるようだ。
先日デビューしたスズキの「スペーシア」は、これまでのパレットをちゃぶ台返しでもした感じのスペース系ベストワンを狙ったものだ。何しろホイールベースを25ミリ伸ばし、さらに前後のピラーを立てるなど涙ぐましい努力でクラストップの室内長を獲得。ハイテンションスチールを重量比42%も採用するなどで車両重量を90kgも軽くしクラス最軽量の840kg。燃費(JC08モード)を22.2km/lから29km/lとこれまたクラストップをマークしてしまった。
価格は122万円台からで、最上級車は150万円を超える。クルマに触れてみると、やはりというべきなのか、エクステリアが平凡で、プレミアムなフィールはない。プレミアム感で勝負しているのはホンダのN-ONEだが、軽にプレミアム感が必要なのか? と考えると思考はまたモトに戻る!?
2013年3 月 1日 (金曜日)
ボルボのコンパクトカーに世界初の歩行者エアバッグが登場!
よく知られるようにクルマの安全性には、2つある。乗員安全保護とほかの交通や歩行者への安全性だ。とくに歩行者と衝突したさいに大きなダメージになるのは、歩行者の頭部。フロントガラスの根元やフロントピラーといった固い部位に頭をぶつけ重大な被害をこうむるケースだ。これを防ぐため、ボンネットが持ち上がり衝撃をやわらげる装置が高級車の一部には装着されている。
でも、これだけでは不十分だ、とばかりのクルマが登場した。ボルボのプレミアム・コンパクトカーV40(ブイ・フォーティ)がそれ。歩行者用のエアバッグをボルボ・ファミリーで一番小さなクルマに採用することで、ボルボは安全への取り組みの先進を走っているイメージ造りに成功したようだ。
車両が歩行者との衝突を感知すると、エアバッグが緩衝材としてアルミ製のボンネットを持ち上げ、フロントウインドウに向けてエアバッグが展開。ただ単にボンネットを持ち上げるだけではなく、気体入りエアバッグでよりやさしく歩行者の頭部を受け止めるというわけだ。世界の自動車メーカーはこぞってこの歩行者用エアバックの開発をおこなってきたが、ボルボが世界に先駆け商品化させたというわけだ。気になる価格は、メーカーオプションでプラス6万円。
ちなみに、このV40は、作動速度域を時速50キロまでに高めた自動ブレーキシステム「シティーセーフティ」を標準装備するなどそのほかの安全装備も充実。エンジンは、1.6リッター直噴ガソリン・エンジン+ターボチャージャー付きで、従来比約4割アップの好燃費16.2km/lをマークしている。価格は、戦略的ともいえる269万円からだという。
2013年2 月15日 (金曜日)
発見! クリーンディーゼルの落とし穴
輸入車だとメルセデスベンツEクラス320CDI、国産車だとマツダ・アテンザとCX-5,日産エクストレイル、三菱アウトランダーにデリカD:5と、ここにきてにわかに“ディーゼルエンジン乗用車”が再浮上の様相を見せつつある。背景には、日本人のディーゼルアレルギーが和らぎつつあるのと、車両価格がやや高いものの、やはり燃費がよく、従来の固定観念をくつがえす静粛性や走りの良さが見直されているからだ。
ところが、ディーゼルを取り巻くトラブルを取材したところ、ガソリン車にはない深刻なトラブルが見え隠れしていることが判明した。といっても上記のクリーンディーゼル車そのものの“トラブル例”そのものではなく、トラックディーゼルだ。働くクルマのトラックは、一足先にクリーンディーゼル化されているので、今後予測される乗用車のクリーンディーゼルの不具合をリアルに教えてくれるのだ。一番心配なのは、ガソリン車よりより緻密に燃料を制御するインジェクターが不具合を起こしたケース。たとえば、幼稚園バスのように高速走行はいっさいせず、ごく低速走行99%のような使い方。まぎれもなくヘビーコンディション状態である。インジェクターの噴射部周辺に汚れが溜まり、DPFと呼ばれるフィルターを駄目にし、インジェクターの交換を含め修理代100万円台となるケースも少なくないという。
インジェクターの汚れをモニターする装置は運転席には付いていないので、こうしたトラブルを事前に防ぐには、走行4万キロごとにスキャンツールと呼ばれるコンピューター診断機にかけインジェクターの健康具合をジャッジするしかない。基本的にクリーンディーゼル乗用車も、同じ構造なので、こうしたことを頭においてイマドキのディーゼル車と付き合うしあないようだ。写真は、インジェクターの不具合が原因で、インテークマニホールドに付着した鍾乳洞のようになったスラッジ。
2013年2 月 1日 (金曜日)
1/fのゆらぎを搭載しようとしたマツダ・アテンザ!?
クルマの開発エンジニアにインタビューしていると、時々思わぬところから矢が放たれ、ドキッとするときがある。マツダ・アテンザのNVH担当エンジニアに向き合ったときが、まさにそれだった。
NVHとは、ノイズ・バイブレーション・ハーシュネス、つまり騒音・振動・荒々しさ。自動車100年の歴史は、この3つをいかに小さくするかの技術者たちの血が滲む努力の世紀だと読み変えてもいい。彼の任務はその最前線といえる。ところが、ここ数年のトレンドは、静粛性や振動の少なさの追求だけでなく、心地のいい振動を求めて研究を進めているという。永年目の上のタンコブの『ざわめき』のいいところだけを引き出す、あるいは“出来の悪い息子にも意外といいところがある”そんな見直しに近いのかもしれない。
そのひとつが、数年前から、欧州の自動車メーカーなどが水面下で研究している『1/fゆらぎ』という。『1/fゆらぎ』と聞いて、パナソニックの扇風機を思い出す人もいるかもしれない。一定のパターンの風を送るのではなく、自然の風の動きに近い、不規則な風を送る・・・。人間の心拍のリズムや音楽のなかにもあるといわれる、快適性をもたらす『1/fゆらぎ』。小川のせせらぎを聞いていると、なぜかしら心地よくなるのもこれだ。このコンセプトをクルマにも取り込み、より心地いいエンジン音をドライバーに伝え、感性に訴える一味違った上質なクルマ作りを目指すというものだ。
では具体的にはどんなチューニングが施されているのか?
人間の心拍数から、「1/fゆらぎ」を取り出すのは比較的簡単だという。だが、クルマのような工業製品から「1/fゆらぎ」を追加するとなると、まだまだ分かっていないことが多いともいう。そもそも、機械的に大量生産された製品である自動車は、「1/fゆらぎ」とはまったく縁のない代物だからだ。でも逆に言えば、それだからこそやりがいのある仕事。
マツダ・アテンザの売れ筋のクルマのひとつがクリーン・ディーゼル車。かつてのディーゼル車がうるさく振動が大きな乗り物だったのが、圧縮比の低減や燃焼の緻密化で、ガソリンエンジンに迫る見違えるほど静粛性の高いクルマに変身している。さらにここに「1/fゆらぎ」という新しい魅力が付加できれば、マツダのクルマはまた新しい伝説を生み出せるかもしれない。担当エンジニアの目は輝きを増していた。
2013年1 月15日 (火曜日)
ピンクの新型クラウンの意味とは?
このほどクラウンが新型となった。昭和30年1月にデビューした初代のクラウンから数えて14代目。ドライバーズカーに生まれ変わったゼロクラウンが12代目だから、そこから数えて3世代目となる。いわゆる土台となるプラットフォーム自体は、ゼロクラウンと同じだが、顔つきがアウディ風にがらりと変貌を遂げ、各部を見直したという。
良きにつけ悪しきにつけ、ジャパニーズカーの代表選手クラウンはどう変わったか?
これまでV6エンジンのハイブリッド版が、直列4気筒エンジン、それも直噴ガソリンエンジンとの組み合わせのハイブリッド版に変更、さらに燃費を高めたことが注目点。基本的には既存のカリーナハイブリッドとシステムはさほど変わりないが、燃費がJC08モードで、コンパクトカー並みの23.2km/ⅼというのは圧倒的な魅力だ。それでいて、静粛性と走りのパフォーマンスは、従来のV6とほぼ互角だという。サスペンションは、フロントがウイッシュボーンで、リアがマルチリンク方式は従来どおりだが、リアのサスペンションアームを開断面化するなどの細やかなチューニングで、「張り」と「いなし」の特性を充分の発揮し、高級車でありながら走る喜びを楽しめるという。重量配分がフロント51対リア49というのも走りを確かにする要素だ。ハイブリッドバージョンの価格は、ハイブリッドでないタイプにくらべ約57万円高の410万円から。
現在日本では約5800万台(トラックなどを含めると7500万台)の自動車が走っているが、高級乗用車市場は約200万台で、その半分の100万台をクラウンが占めるといわれる。熾烈な競争のなかで、トヨタの屋台骨のひとつであるクラウンは生き残れるか? ≪再生≫の意味である[RE:BORN](リ・ボーン)を標榜するクラウンは、ボディカラーになんとピンクを設定している。クラウンとピンク。いわばレディガガとジャパニーズ高級乗用車の組み合わせに近い!? 保守的なクルマの中にいかにアバンギャルド(先進)さを組み込み、再生を果たすか? ピンクカラーはそんな狙いのようだ。
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