みなさん!知ってますCAR?

2008年6 月 1日 (日曜日)

スバルがトヨタの軍門に下った! ということ

260_60681  富士重工業が、トヨタ自動車傘下の自動車メーカーとして生きることになった。
 日野自動車、ダイハツように、役員がトヨタから送り込まれ、経営の立て直しが今後展開されおそらく経営体質が改善され、儲かる企業にシフトされる、というのがもっぱらの観測。
 社員や株主は、とりあえず安心だとはいえ、スバルという日本のクルマ社会での存在意義が大きく変化せざるを得ない。
 サンバーは赤帽などの需要があるため当分ひき続き生産されるものの、不採算部門だった軽乗用車はダイハツに統合され、トヨタ流の小型車生産が導入されるのは必至。
 トヨタ流でもスバル流でも、車はクルマで同じではないか! と考えるとそうではない。ジャーナリストとして日ごろの付き合いから言うのだが、スバルの開発者は実験担当者とほぼ同一人物の場合が多い。細分化され、クルマづくりノウハウがどんどんマニュアル化されるなかで、スバルのクルマ造りはある種、孤高を保っていた!? クルマが好きな人、ハンドルを握りクルマの挙動を確かめられる人が多くクルマづくりに携わっていたとみている。だが、一方では高みからモノを見られるプロジェクトリーダーがいなかった。あるいは、開発陣の中が均一化してしまい、異端的な考えをするスタッフを取り込めなかった。
 ちょうど50年を迎えることしにスバルの大変化が起きたことは何か因縁めくが、いずれにしろスバル360を作った百瀬晋六(ももせ・しんろく)的人物がここ50年間に出なかったということなのかもしれない。スバルといえばロビンエンジン(芝刈り機などで使われる汎用エンジンで、強制空冷2ストロークエンジン)を使ったポケバイ(ポケット・バイク)しか所有したことのないので、いくらか後ろめたい気もするが…。

2008年5 月15日 (木曜日)

Uターンしたトゥクトゥクが突きつけるもの!

258_58051  「便利は不便。不便は便利」という言葉をご存知だろうか?
 このいっけん矛盾する言葉の裏に、実は人の世のややこしい現実が隠されている!?
 トゥクトゥクのリアシートに座り、新宿から神宮外苑をぐるっと約30分かけて走らせてみた。
 トゥクトゥクとは、バンコクはじめ東南アジア各地で庶民の足(タクシー)として大活躍している3輪車である。買い物をした女性が乗っている姿。観光客が名所旧跡めぐりで利用している姿を思い出す人も少なくないと思う。
 もともとトゥクトゥクというのは、車両が発進する際に発する擬音から誕生した愛称で、本来はサムローと呼ばれるのだが、そのルーツはよく知られるように昭和30年代の前半に大阪発動機(現ダイハツ)のミゼット。東南アジア各地に輸出し、これを現地でモディファイしたりして発展したもの。日本でトゥクトゥクの販売をするのはいわばUターン販売と考えられるが、実は、エンジンは中国製の2気筒4サイクルOHC。タイのモニカモータースという自動車製造業社製だ。フロントホイールにはブレーキが付かず(一部車種には付くが)、リアはリーフスプリングで、乗り心地も制動力もなんとも昭和30年代をしてはいるが、100年前につくったT型フォードよりもはるかに居心地がいいし、乗っていて楽しい。360度パノラマビューで、注目度ががぜん高いのである。エアコン、パワステ、パワーウインドウなどモダンな装備はいっさいなしのこのシンプルな3輪車がいやに新鮮に感じられた。
 ちなみに、この3輪車は、日本の法律では「側車」扱い。つまりバイクの扱いだという。
問い合わせ先はイワモトモータース(℡0120-414951)。

2008年5 月 1日 (木曜日)

GT-Rのメンテナンス費用は、ハウマッチ?

254_54861  800万円前後で、スーパーカーが手に入るということは、ある意味すばらしいことだが、そのメンテナンスフィーを知るにつけ「う~ん!!」と思わず唸っています。
 昨年秋にデビューした日産GT-Rのメンテナンス費用のことである。
 GT-Rのメンテは、ふつうのクルマにはない整備メニューがある。特別点検と呼ばれるもので、新車時、12ヶ月、24ヶ月、36ヶ月ごとでおこなわれる。メニューは、ホイールアライメント、エンジンのセッティング、トランスミッションのセッティング・・・の3つである。
 きわめて剛性の高いゴムブッシュ類と反力の大きなスプリングやダンパーを採用しているため、走行が延びるにしたがい部品がなじみ、アライメントに狂いが生じるのだという。エンジンは、左右バンクが別々に制御されているので、経年劣化で左右の空気量に変化が生じる。トランスミッションは、湿式多板クラッチとシンクロシステムに狂いが生じ、定期的な調整が必要だという。幸いにも、3年間の特別点検は無料だが、その後は有料(概算で3年間で22万5000円以上)となる。
 補修部品の価格もかなり高価だ。たとえばブレーキパッドとブレーキローターが一台分で46万4800円プラス技術料、ブレーキキャリパーが左右で27万円、タイヤはフロント9万7000円、リアが11万6000円。ダンパーが1本12万3000円、リアのデュフューザーパネルが38万5000円だという。
 GT-Rはすでに5000台以上が世に出ているので、どうやら投機目的での購入は意味をなさない。後のメンテナンスのことを考えたら、かなり気合を入れたユーザーでないと買えない!?

2008年4 月15日 (火曜日)

グローバル部品メーカーのテクニカルセンターとは?

253_53251  ジャーナリストを生業としていて、なにが嬉しいというと「まず見ることができない現場」に足を踏み入れるチャンスが少なくないことだ。前号のGT-Rの組み立て現場もそうだが、今号は、アメリカ系の自動車部品メーカーであるTRWの横浜にあるテクニカルセンターに潜入できた。
 TRWと聞いても具体的なイメージが湧かないが、T型フォード時代(20世紀初頭)からエンジンバルブを製造から始まった部品メーカーで、TRWの言われは、トムソン、ローマン、ウールドリッチという当時の企業家3名の頭文字を取ったものだという。アメリカの企業ではよくあるのだが、M&A(企業買収)で大きくなり、現在ブレーキ部品、エアバック、ステアリング、シートベルトなど自動車にまつわるパーツやシステムを供給する企業。世界27カ国に200以上の拠点を持ち、総従業員数が6万6000人だという。
 横浜・新山下にあるテクニカルセンターには、スレッド装置(写真)と呼ばれるシートベルトの性能試験装置、エアバック展開試験室、ブレーキのキャリパーの耐久試験装置、マスターバックの性能確認試験機など各種テスト機や実験設備を持つほか、エアバックの試作品を作る設備などを備える。
 日本の自動車メーカーに新製品を提案したり、アプリケーションといって車種ごとの適合業務などがおもな仕事だという。

2008年4 月 1日 (火曜日)

日産GT-Rのエンジン組み立て現場に潜入!

411_2  日産のスーパーカーとして話題を集めているGT-Rのエンジン組み立て現場を見ることができた。VR38エンジンは、Y30セドリックで1983年にV型6気筒エンジンを国内初投入した威信にかけて、日産のエンジンテクノロジーの粋を投入したエンジン。
 超軽量のプラズマ・コーティングを施したシリンダーボア、IHI製のステンレス鋳造のツイン・ターボチャージャー、左右バンクが独立した吸排気システム、全域をフィードバックすることで燃料冷却の必要をなくし燃費に貢献するテクノロジーなど先進技術がてんこ盛りエンジン。
 このエンジン組み付け現場は、予想外にこじんまりしたところ。量産エンジンの工場内にあるが、完全にホコリやチリを排除したクリーンルーム内。
 匠(たくみ)と呼ばれる作業員が手組みで1基につき100分間で作業をしていた。5人が同時に作業をしているので、一日の約20数基だ。2軸のナットライナー(ボルト・ナットを締める工具)と電動ツール、ハンドツールでの組み付けである。オイルが使われるエアツールだとオイルミストが拡散するので、電動式工具をあえて使っていた。意外だったのは、ハンドツールが意外としょぼいTONEブランドだった点。せめてKTCのネプロスを使ってもらいたいところ!?
 クリーンルーム内では吸排気などの補器部品取り付くまでのベアエンジンまでを組み付け、完成したエンジンは気筒圧、カム中心角のズレ、起動トルク、定常トルクなど10数項目を測定(写真)。さらに、補器類を付けたあとはエンジンベンチに運ばれ、全基全開テストで性能確認されていた。一基ずつ責任を持って組み立てるセル生産。量産とは異なるスキルの養成も、狙いだという。

2008年3 月15日 (土曜日)

フォレスターに採用のスバルのアクティブトルクスプリット式AWDとは?

I07pi62s いまどきの4WDシステムは、電子制御で複雑化、ということもあるが、構成部品が多いためひと言で了解しました! というわけにはいかないところが辛い。でも、できるだけやさしく説明してみると・・・
 たとえばスバルのフォレスターのAT車の4駆システム(AWD:オールホイールドライブ)は、「アクティブトルクスプリット方式」というタイプ。
 構造は、油圧の多板クラッチ方式の電子制御のLSD(リミティドスリップデフ)がトランスミッションの背後トランスファーと呼ばれるユニットに付いている。基本の前後トルク配分を車両の前後輪軸重に近い60:40に設定。4輪の駆動状況とエンジントルクをいつもモニタリングし、通常走行では駆動ロスの少ないようにコントロール。雪道やコーナーなどでの突然の路面変化に素早く対応して、路面状況に適した駆動配分をおこなうのである。
 前後輪をほぼ直結状態から、ほぼ前輪駆動状態のあいだまで、駆動配分をフレキシブルに変化させ、AWDの持つ高い走行安定性を最大限に発揮させる。
 少しややこしいのだが、こうしたメカを裏で支えているのが、VDC(ビークルダイナミック・コントロール)。VDCは、舵角センサー、ブレーキ圧センサー、ヨーレートセンサー、横Gセンサー、前後Gセンサー、車輪速度センサーといった信号とエンジン制御ユニット、トランスミッション電子制御ユニットから得た情報をもとに演算し、ブレーキ油圧制御信号、エンジン出力制御信号を発し、ABS(アンチロックブレーキシステム)TCS(トラクション制御システム)を統合制御するのである。簡単に言うと車両がスリップしそうになると、安全方向にシフトしてくれるシステムなのである。

2008年3 月 1日 (土曜日)

氷上でスバルのシンメトリカルAWDを試す!

195_9563_2  鏡のようにツルツルになった氷上。時速40キロで走行する!
 長野県佐久平からクルマで約1時間走った標高1500メートルの八千穂レイク。発売したばかりのフォレスターをはじめ、レガシー、インプレッサなどが集結、心置きなくハンドルを握ることができた。氷上、あまり速度は出せないながらも、徐々に滑る感覚を学習し、逆ハンドルを切りながら楽しく走ることができた。ふだん乗っているコンパクトFF車ではとても10メートルも走れないところを、比較的スイスイ走行できるスバル車に感激だ。
 もちろん、この背景には優れたスバルの4WD(AWD:オールホイールドライブ)の仕組みがあるが、ベースは、シンメトリカルと呼ばれる、水平対向エンジン+左右対称の縦置きトランスミッションである。しかも、このパワーユニットが低位置にセットされているので、通常の横置きパワーユニットに比べ、車両重心が低く、マスがクルマのセンター寄りにあるため、旋回方向の慣性モーメントが小さくできる。つまり、スバルのクルマは、安定性(スタビリティ)、駆動力(トラクション)それに俊敏性(アジリティ)の3要素が、高い次元で融合しているのである。コントロールのしやすさ、危険回避性にもつながる。
 スバルの4WDシステムには、長い歴史と大きく分けて4つ(ATとMTで各2タイプ)の種類がある。これについては機会を設けて説明していきたい・・・。

2008年2 月15日 (金曜日)

ダミーは温度20~21℃、湿度60~65%で管理!

247_4798 ダミー(DUMMY)は、替え玉という意味もあるため、悪いケースで使うことが多いが、自動車の安全実験での世界では、実際のヒトに替わって大活躍する貴重な存在。
 昨年の交通事故の死亡者数は6000人弱と、7年連続の減少だが、負傷者数は9年連続で100万人を超えるなど楽観視できない深刻さ。日本が、未曾有の高齢化社会に突入するなかで、60歳以上の高齢者の事故が増えている。負傷者のうち8割が鞭打ちのダメージを受け、医療費の高騰を底上げしている面もあるという。
 より安全・安心できるクルマ作りを支えるのがダミーなのである。
 公的機関である筑波の「日本自動車研究所」には、50体ほどのダミーが活躍している。ダミーは大人、子供、女性という性別だけでなく正面衝突用、側面衝突用と種類がある。交通事故時での人の身体にどんなダメージが加わるかを研究するうえで欠かせないダミーは、もともとジェット機のイジェクターからスタートしている。事故時に上にポンと乗員が飛び出すシステムである。
 この人の替わりをしてくれるダミーは、すべて欧州製で、一体なんと1200~1300万円もするという。胴はフランス製、お腹はオランダ製、腕はドイツ製というケースもあるという。しかもテスト終了後、すべてを分解し、規定値を外れたものはすべて交換する。ちなみに肋骨1本20万だという。
 保管場所も厳しく管理されている。温度20~21℃、湿度が60~65度のお部屋に寝かされているのだという。

2008年2 月 1日 (金曜日)

新型インスパイアに採用されたより高度な気筒休止システム

246_4691 新型インスパイアに登場した新開発V6・3.5リッターⅰ-VTECは、レギュラーガソリンで通常なら240PSあたりなのだが、なんと280PSを発生する。
 その秘密は、吸気バルブの大径化、リフト量増加、それにエキパイと大径化とサイレンサーの内部構造を見直すなどで排気流量を約35%向上。さらにディーゼルのようにオイルジェットを追加して、ピストンの裏側にオイルを吹き付け冷却させるなどの合わせワザのおかげ。
 燃費(9.8㎞/l)と出力特性を高めたもうひとつの主役は、気筒休止システムの高度化だ。
 これまでの6気筒燃焼、3気筒燃焼に加え、4気筒での燃焼もできるようになった。つまり高出力のときは6気筒すべてを働かせ、クルーズ時には3気筒を休ませ、3気筒分(1.75リッター)状態。さらにこれまで気筒休止状態にはならなかった比較的高い速度域での緩やかな加速時に4気筒(2.33リッター)状態で走行することで、高速走行時の燃費性能を向上させている。
 この技術の裏には、緻密な制御技術もあるが、油路通路であるロッカーシャフト内を4室にするなどミクロの決死圏をホーフツとさせるモノづくり技術が潜んでいる。
 ちなみに、このインスパイアは、「若い頃スポーティカーを楽しんでいた団塊世代が、家族のために一時SUVに走ったが、いままた走りの質の高いクルマを求める」そんなユーザー像だという。価格は330万円からだ。

2008年1 月15日 (火曜日)

中古部品を使うとポイントがつく時代!?

Imgp2766 環境問題、とりわけCO2の排出量をめぐる話題で沸騰しているなか、自動車中古部品の団体が、「グリーンポイントクラブ」なるものを立ち上げた。≪リサイクル部品を使いことは地球環境にやさしく、CO2排出減にもつながる≫という趣旨なのである。
 「グリーンポイントクラブ」という聞きなれない団体を立ち上げたのは、日本の自動車中古部品を扱う12の団体が加盟している「日本自動車リサイクル部品販売団体協議会」というところ。舌を噛みそうな長い名称を持つ団体は昨年5月から早稲田大学の環境総合研究センターと共同研究してきた「自動車リサイクル部品活用によるCO2排出減効果」について、その成果と今後の取り組みを発表した。
 それによると2007年3月から11月の9ヶ月間で231万9427点もの中古部品を販売したという。これはCO2に換算すると10万6491トンの削減効果になったという計算だという。さらにこれを森林面積に直すと北海道の30年杉林で1万7614ヘクタールに相当。これだけ聞いても「へ~っ!」というだけに終わるものだが、今後これをグリーンポイントシステムという名称で、「環境ラベル」を商品に添付してユーザーにアピール、納品書や請求書に、そのCO2削減量を明示することで≪CO2削減効果≫を実感し、環境意識の高まりをアシストしていきたいという。
 現在日本のリサイクル部品市場はおおよそ1000億円(年間)といわれ、その半分近くがこの協議会が携わるため、今後グリーンポイントクラブの影響力が少なくない。
 ちなみに、早稲田大学との共同作業による中古部品のCO2排出減計測を初めて3年たつという。いわゆる産学協同作業で、携わる学生のあいだでは社会とのつながりを実感することで学問の深度がはかれ、業者側としてはアカデミックな空気の中でみずからが扱う商品が数値化できる新鮮な驚きとそれがビジネスに結びつくダイナミズムを感じているという。
 (写真はドアミラーを分解し、樹脂、金属、ガラスなどに分別して計測するところ:写真提供Uパーツ)

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