クルマの安全を高めていくには、複数のセンサーやカメラ、レーダーなどが必要だ。これが自動運転ともなるとさらにセンサーの数はうなぎのぼりの状態。
このままではクルマは、センサーという名の部品をあちこちにぶら下げた“お祭りクルマ”になりかねない(やや意味不明だが)。そこで、もっとスマートにまとめられないものか? センサーの数をできるだけ少なくすれば、コストも下がるし、生産性も上がり、軽量化にもつながる。
自動ブレーキ装置のモービルアイの発明からも類推できるが、このへんのテクノロジーは、どうもイスラエルあたりが一歩先進んでいるようだ。
イスラエルの「バイアー(vayyar)・イメージング」という企業が、このほど東京で、4Dセンサーというのを掲げて技術発表会をおこなった3Dは3次元だが、4Dとはあまり聞いたことがない。取材すると3Dプラス時間軸、ということのようだ。つまりこの3Dセンサーは、車内と車外でのモノの動き(人間も含め)をスキャンし画像を提供するというものだ。悪天候や暗闇などの環境要因にとらわれることなくセンシングする。
車内のルーフにセンサー(ベースはC-MOSプロセッサー:写真)を1個セットすれば、乳幼児の車内放置をアラートできるし、シートベルトのリマインダーもしてくれるし、ドライバーの呼吸や姿勢を把握し居眠り運転や健康状態の異変を検知してアラートする。座席位置と乗員の体格などに基づき適切なエアバックの展開もこれでおこなえるという。
「もちろん、車外の障害物をリアルタイムには検知します。ですから、車内に1個、車外では車両の前後、左右2個ずつ、1台の車に計5個のセンサーがあればOKなのです。現在は車外はクルマのまわり30mの範囲ですが、今後100m、300mとロングレンジ・バージョンも出していく予定です」と担当者は大きく胸を張る。
この企業、イスラエルの国防軍のチーフエンジニアが、創業したというから、てっきりこの技術は軍事用の発展版だ、と連想。「いや、よくそう言われるのですが、じつは2011年からスタートした乳がんの早期発見のマンモグラフィーの研究から生まれたものなんですよ」(担当者)とりあえず重層的意味を抱えるイスラエルに注目である。
「えっ! こんなこと、一昔前では考えられなかった!」
朝の新聞を開いて(写真は1月8日付の朝日新聞)、おじさんは思わずそう叫んだほどだ。開発中のテクノロジーを住民が実際使い、そのなかで暮らしてみることで実証する、そんな街づくりを、いち自動車メーカーがスタートさせるというのだ。トヨタ自動車の豊田章男社長が、ラスベガスで開かれたCES(電子機器の見本市)で発表した。
富士山のふもとにある工場の跡地約70万㎡(ポルテやJPNタクシーを組み立てていた東富士工場)で、広さは東京ドーム約15個分もある。ここを自動運転や人工知能(AI)などの先端技術とサービスの開発を目的とした実証実験都市「コネクティド・シティ」をつくるべく、世界中の企業や研究者などの参加を呼び掛けるというのだ。
この未来都市は別名「ウオブン・シティ(WOVEN CITY);網の目のような情報を張り巡らした都市のイメージ」とよばれ、街は3つの道路で構成されるという。
「クルマ専用』「歩行車専用」それに「低速者と歩行者共用」。スマートホーム技術、ロボット、モビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)などが投入され、自動運転のEVである「eパレット」をはじめとする近未来車がヒトやモノを運んだり、移動店舗として活躍……。
この未来都市、来年の2021年に着工し、5年以内に人が住みはじめ、整備が進めば2000人以上の住民が住む町になるという。この都市をゼロからデザインするのは、NYの第2ワールド・トレードセンタービルやグーグルの本社ビルを手掛けたデンマーク生まれの新鋭の建築家ビアルケ・インゲルス(45歳)だという。
それにしても、21世紀は家電メーカーがクルマ業界に乗り込んだり、自動車メーカーが都市づくりや家づくり(トヨタホームは昔からあるが)に手を伸ばす、そんな境目が見えずらい世の中なんだろうか?
何処の博物館に出かけても、多かれ少なかれ「ぼぉっと、生きてんじゃないよ!」そんな叱責のお言葉が頭上から聞こえる気分にさせられる。でも、昨年4月にトヨタ博物館に併設された「クルマ文化資料室」に足を運ぶと、そんな叱責のお言葉を聞くだけにとどまらず、尽きせぬクルマ・カルチャーにグイグイ好奇心が燃え上がる。
たとえば「自動車雑誌のコーナー」では、19世紀の末1894年にすでにフランスで「ラ・ロコモーション・オートモビル」が創刊されている。パリ・ルーアン間の自動車レースのニュース記事が載っている。その後アメリカとイギリスでクルマ雑誌が続々と創刊されている。なかでも、この博物館のすごいところは、英国の「THE AUTOCAR」を1985年の創刊からいまに至るまで、全巻保有しているという。そして、クルマ雑誌のなかの広告にも目をやる。自動車部品やタイヤだけではなく、手袋やコートといった衣料品までクルマ雑誌で見ることができる。
たとえば車のカタログは、12万点所有しているという。旧いクルマのカタログを眺めていると、当時の庶民がわくわくしながら次のクルマをどれにしようか? そんな気持ちが伝わってくる。たとえば「自動車切手」のコーナーもすごい。世界には1万5000種類もの自動車切手が存在し、うち1200種類をマジカにみることができる。ドイツの切手で、カール・ベンツの奥さんが息子のベルタと長距離ドライブをした際の有名なショットが切手になっている。当時ガソリンスタンドなどなく、途中の薬局でベンジンを手に入れる、そんな図柄だ。女性初の長距離ドライブ、である。
そのほか多色刷りの浮世絵版画「錦絵」で描かれる明治期の自動車、馬車の美しい姿を見ていると、どこからともなく走行音が聞こえてきそうだ。
このほか、カーバッチ、おもちゃ、プラモデル、小説、絵画、ポスター、ライセンスプレート、音楽などなどクルマそのものではなく、クルマに関わる文化物をここの博物館は開館30年間にわたり約22万点収集し、所有しており、そのうちの約4000点を展示しているという。
実車だけでは語りつくせない、クルマをめぐる物語。ここに来ればそのすべてが見渡せる気がする! 言葉を換えれば…・クルマそのものに関心の薄い来場者の受けがいいのも分かる気がする。
1908年デビューしたT型フォードは、その後19年間で1500万台以上を売り上げ、アメリカ合衆国という限られた地域ではあったが、この地球上にモータリゼーションを実現させた。モータリゼーションというのは、庶民が自分たちの暮らしの中に自動車を持ち込んだことを意味する。平たく言えば「自動車のある暮らし」をほとんどの人たちが満喫したことを意味する。
現在愛知県にあるトヨタ博物館では『100年前のイノベーション/T型フォードが変えたこと』という企画展が開かれている。この展示会を取材して一番驚いたのは、畳2枚ほどに引き伸ばされた大きなモノクロ写真2点だ。いずれもNYの街中なのだが、ひとつは1900年の街並みで映し出されているのは馬車ばかりである。それが20年後の1920年、つまりT型がデビューして12年後のNYの街中はT型フォードで埋め尽くされている。
「T型の登場で、人やモノの移動が劇的に活発になり、都市計画やライフスタイル、それに人々の意識ががらりと変わった! あるいは変わらざるを得なくなった!」ということが、この写真2枚が如実にモノ語っている。
朝しぼりたてのミルクや収穫されたばかりのリンゴがT型の荷台に乗せられ、街に運ばれた。農村では駆動輪のリアアクスルをジャッキアップして、そこに駆動ベルトを巻き付け脱穀機を動かしたり、汲み上げポンプを駆動させた。あるいは、休日にはT型は家族揃って郊外にキャンプに出かけさせもした。T型が人々の労苦を開放したり、楽しい時間を過ごせる手段だったのである。庶民の暮らしをがらりと変えさせた“革命的な存在”だった。
シンプルで、壊れにくいT型。T型を組み付けていた労働者も、少し仕事に励めば自分のものになった!
こうしてアメリカを走るクルマの2台のうち1台がT型という圧倒的人気を博した。
だが、T型の終焉の時を迎える。1927年5月26日である。ヘッドライトすら付いていなかったシンプルさで売ったT型は、装備類が豊富なシボレーに負けたのだ。ギアの低さで高速走行で不利だったT型はシボレーで負けたのだ。月賦販売や、下取り販売をちらつかせたシボレーにT型は破れたのである。かつてあれほど熱望されたT型だが、庶民は、ヘンリー・フォードの提唱した質実剛健で、シンプルなT型のコンセプトに、わずか20年もたたないうちに飽きたのだ。
T型を過去のものとしてしまったのだ。庶民の変わり身の早さを嘆くなかれ、商品は、その時代の人たちの嗅覚に応じて変化を遂げない限り、次の時代には過去の領域に追いやられる運命なのである。定番商品など、幻想なのかもしれない。
2年に一度の東京モーターショーを振り返ると、驚きの発見に出会う。
意外にスルーしそうになったのが三菱自動車である。長い販売上の低迷とルノー・日産の傘下に入ったことで、このところ元気のなかった三菱。ところが、アッと驚くSUVのコンセプトカーをお披露目していたのだ。
「三菱MI-TECHコンセプト」がそれ。
まるで大きな鑿(のみ)で外観を造形したような、見るからにざっくりした荒削りのデザイン。台形の4つのホイールを制御するのは、それぞれの4つのモーター。三菱がアウトランダーPHVで長年培ってきたハイテク技術と車輪制御技術を投入。光センサーを用いたセンシング技術で、フロントウインドウに情報を表示する近未来世界。ブレーキキャリパーを電動化することで、車両姿勢の安定化を高める・・・・。これだけでもハイテクのてんこ盛りだ。
このコンセプトカーのとりわけ大注目なのは、従来のレシプロエンジンを補助エンジンとして使うのではなく、タービンジェット・エンジンを採用している点だ。
タービンエンジンは、ヘリコプターをはじめ航空機では広く使われるエンジンだ。燃料を燃やして生み出す高温のガスでタービンを回転させる内燃機関。安い軽油だけでなく、燃料の自由度(雑食性)が高い。冷却水不要ということもあり軽量コンパクト。でも、耐熱性の優れた素材が必要なのでコスト高。しかも回転数を緻密に制御することが難しく、停止時と低速時に燃費が悪い。だから、低回転時はEVでまかなうというイメージかもしれない。
1960年ごろから各自動車メーカーはガスタービン車の研究をしてはいるが、量産車での成功例はゼロに等しい。クライスラー、ボルボ、GMなどがこれまで世界のモーターショーでコンセプトカーをお披露目している。70年代トヨタもガスタービン車を東京MSでお披露目してはいるが、量産化の気配はない。
となると、“窮鼠猫を噛む”はたまた“破れかぶれの新技術のパフォーマンス!?” そんな皮肉な見方をする向きもあるかもしれないが、三菱自動車の底力が垣間見える。近い将来の新型パジェロの原型かもしれない。そう好意的に受け取ったほうが、世の中面白いと思う。
今回の東京モーターショーは、クルマ自体が大きな曲がり角に来ているだけに、チャレンジングな試みが多かった。そのなかの一つが、「キッザニア」がお目見えしたことだ。キッザニアは、“子供向けの職業体験型テーマパーク”。世界19か国24カ所にあり、年間900万人以上の来訪がある人気のテーマパークだ。
そのキッザニアが、東京モーターショーにお目見えしたのだ。プレスデーにそのうちの何カ所かを取材した。
ひとつは、ダイハツが運営する『クルマの組み立て工程』を体験させるというもの。左右のフロントフェンダーとヘッドライト、それにフロントバンバー、計5つの自動車部品を車体にボルトで留める、というものだ。たとえばフロントフェンダーは、M6(6ミリ)のトルクスボルトだが、ここでは6角ボルトに変更していた。これを電動の工具で子供が操作して、取り付ける。ヘッドライトでは、コネクターをまず繋げないといけない……バンパーはクリップで留める・・・・自動車の部品を取り付けることで、クルマの部品がどんなふうに取り付いているか? どんなネジが使われているのか? 工具をどう使うのか? そうした学校の教室では、ありえない世界に足を踏み入れることを意味する。
もっとマニアックなのは、マツダのブース。ロードスターのフロントフェンダーの金型。これは3次元のプレス担当者泣かせの形状なのだが、これの金型を磨くという作業を子供に挑戦してもらうというもの。お土産として自分が磨いた金属の小片をいただける。
ホンダでは、リアリティ度120%のレーシング・シミュレーター(価格が200万円ほど!)を使い、鈴鹿のコースを走行するというものだ。排気音、タイヤの走行音、バックファイアー、それに風切り音、マシンの振動やステアリングのインフォメーションが実車さながらでワクワクのし通し! コース取り、アクセル操作、ブレーキングポイントのシビアさに目覚めるというのだ。このほか、「クレイモデルを作り上げるコーナー」「差動装置のトルセンを組み立てるコーナー」など計10数か所だった。なんだか、みんな子供だけでなく、大人もやりたくなるプログラムばかり!
後日取材したところ、希望者が多すぎてほとんどの子供が、けっきょく“ぬか喜び”で帰宅したようだ。実は、友人の孫もそうだった。高校生以下無料だったので、当然の成り行きとはいえ、次回は善後策をぜひ考えてもらいたい。
10月23日プレスデーを迎えた東京モーターショーは、新たなチャレンジをしていた
そのひとつの展示物は、ドアが上方に跳ね上がるガルウイングのスポーツカーだ。
「環境重視の世の中、いまどきスポーツカーとは解せない!」
そんな声が聞こえてきそうだが、実は、これ「可能な限りの植物由来のパーツで構成した未来のクルマ」だという。植物由来とは何だ? 早い話、これまで無駄に捨てられることが多い木材だという。木材なら、いまのところ無限にあるし、そもそもカーボンニュートラルである。加工時の熱源に目をつぶれば、CO2の排出はゼロだ。
ドアアウターパネル、ドアトリム、ルーフパネル、バックドアガラス、ボンネット、リアスポイラー、フロントアンダーカバー、ルーフサイドレール、バッテリーキャリア、フロア素材など計13の部品が、CNF(セルロース・ナノ・ファイバー)と呼ばれる次世代素材だという。
ところがよくよく調べると、13品目のうち100%CNFというのがボンネットとルーフサイドレールの2品目だけ。そのほかは10~15%に過ぎない。これでは環境重視、と言えそうもない。でも担当者は「近い将来クルマの重量を10%減らせます!」と胸を張る。
このプロジェクト、実は2016年から環境省の肝いりで、京都大学を軸に22の大学、研究機関、それに自動車部品メーカーが協力して動き出したという。「植物の骨格成分をナノレベル(1/10億ミリ!)で細かく解きほぐすことで、強度が鉄の5倍、熱膨張がガラスの1/50という魅力的な素材に変身する」というのだ。単にCO2の削減だけではないところに新味がある。しかも、従来こうした新素材は“走る・曲がる・止まる”のクルマの3要素と直接関係のないボディ部品だけだったが、エンジンのインテーク・マニホールドやエアコンの樹脂ハウジングにも、この新素材の取り組みを検証中だという。
このところの異常気象による被害を前に、差し迫る地球温暖化の危機にどれほど効果があるか不明だが、まじめ度はけっして低くないようだ。
すでにTVなどのメディアで伝えられるとおり、全国のガソリンスタンドの数がどんどん減っている。
1994年時点で6万店舗をピークにして、減少する一方でいまや3万店を割り込み2万9000店舗だという。燃費のいいハイブリッド車の増加、電気自動車の登場、若者のクルマ離れなどいろいろな原因が頭に浮かぶが、業界ツウに言わせると「ガソリンスタンドが激減したのは、8年前の消防法の改正が大きかった」という。
“40年をめどに地下のタンクの回収または交換をしなければ営業ができない”ということになった。
いっぽう昭和時代のビジネスがおしなべて高齢化に向っている。ガソリンスタンドの経営者も例外ではない。高齢化を迎え、多額の費用がかかる地下タンクの回収の前に、廃業という選択をするところが増えたという。
ところが、こうした逆風は、逆にビジネスチャンス! とばかり新規オープンしたガソリンスタンドもある。
たとえば、昭和メタル直営の越谷市花田(はなた)にある「エネオス花田SS」がそれ。いまや、セルフ式が主流なのだが、この「エネオス花田SS店」は、フルサービス店なのである。お客様みずから給油するセルフ店なら、スタッフが少なくて済むが、フルサービス店なら少なくても4~5人が常駐だ。人件費が高くなり、算盤に合わないのでは? と思いきや、昭和メタルの栗原社長は、「むしろビジネスチャンスだ」ととらえる。
「人がいるぶんたとえば手洗い洗車を売りにできるし、お客様にフルサービスの気持ちよさを再認識してもらえば、車検、点検、タイヤ交換、バッテリー交換などのサービス業務に結び付きます。カーオーナーにじかに接することで、ビジネスの広がりは拡大します。それに、もともとフルサービス店のSSをつくってほしいという声が少なくなかった。たとえば自分でガソリンのノズルを扱うのを怖いと感じる女性ドライバー、挨拶一つないセルフ店に対する違和感を抱いていた中年のベテランドライバーなど、聞いてみるとフルサービス店を望むオーナーさんがいるんですよ」
ちなみに、洗車を待つあいだ、お客さまには、淹れたてのコーヒーを楽しめる、そんなサービスもあるという。いずれにしろガソリンスタンドの在り方も、今後大きな変化が起きる、そんな予感がする。
かつての国民車の代名詞「カローラ」が、このほどフルモデルチェンジした。初代から数えて12代目である。
初代は、例の元航空機設計の長谷川龍雄(1916~2008年)のチーフデザイナー(当時は主査)で、1966年、昭和41年に発売されている。「隣のクルマが小さく見えま~す!」というライバルの日産サニーをうえから見下したCMが、なぜか今でも耳に残っている。“他人と比較したがる日本人のココロネ”をうまく掬(すく)い上げたキャッチコピーである。累計5000万台にならんとしているというからすごい!
でも……いまやその明確なライバルもいなくて、振りむけば同胞でもあるプリウスやアクアといった異母兄弟と実質的な戦い!?
というか、上級のコロナやマークⅡがいなくなったあと、かつての日本にあった家族の理想や夢を具現化するファミリーカーが、すでに遠い昔の幻想になっている。でも、カローラは、生き残りをかけ新たな魅力を見つけなくては!
そう考えると、今回のカローラは、頑張っているといえなくもない。リアサスペンションをウイッシュボーンにしたり、エンジンを1.8リッター(NAとハイブリッドの2本立て)と1.2リッター直噴ターボ(マニュアルだけ)とシンプル構成。
ボディも、思い切ってすべて3ナンバー(全幅がプラス50㎜の1745㎜)としている。だから、おじさんにはこれは抵抗があるかも。ホイールベースも40㎜伸ばし2640㎜としているのだ。スペックだけ見ると、かつてのカローラとは名乗れないほど大きく、立派なのである。細かい話では、スマホと連動して、地図アプリや音楽が楽しめる機能が付いた。
セダンのカローラ、ワゴンのカローラツーリング、それにカローラスポーツ、この3つのボディ構成だが、全体の予定販売数はトータル約1万台、うち主力の「カローラツーリング」は半分以上の5400台を見込んでいる。価格は消費税込みで、200万以上、上限300万円である。
前回の前代未聞の大失敗はこうだった・・・・。
「魔が差した!」というあいまいな原因とはいえ、ブレーキパットの交換で、よりにもよってピストンを完全に飛びださせた。クリアランスがギリなので、とりわけ“不器用大魔王”の筆者にはもとのシリンダーに収められない! そこで、レスキュー役の1級整備士君に来てもらい、なんとかピストンを戻してもらった。すごいぞ! 職人技!
アバウトなエア抜きをした後、翌日恐る恐るディーラー工場に自走し、エア抜きをしてもらった。
その修復には、約5000円かかった。部品代のブレーキ液910円と工賃約4000円。
この事件の後、仕切り直しの整備作業に取り掛かれなかった! 失敗を踏まえ、次は楽々できるはずなのに・・・・と振り返ると1週間以上がたっていた。
なんだか心のなかにトラウマが棲みついた感じで、やる気が起きなかった。ふたたび同じような失敗をしでかす! と悪魔がささやいているのである。そんな説明のつかない黒い気分を克服して、あらかじめ頭のなかでシミュレーションしたうえで、曇り空で風のない日を選び、作業を始めた。
今度は、失敗をすることなく、無事にパッド交換ができた。ただ、シエンタのブレーキパッドには、おそらく異音対策のための3つのシムが付いていて、これを慎重にはがし、新品のブレーキパットに付け替えた。エッジ部の摺動部には、ブレーキグリースをわずかだが塗布した。
うん、これで完璧とばかり試走し、ブレーキをかけたりした。とくに問題はなさそうだ。
とそのとき、「あっ!」と頭に豆ランプが点いた! エンジンルーム内にあるブレーキリザーバータンクの水位というか油位(レベル)が高くなっているはずなので、これをスポイドで吸い取り許容範囲内に収めないといけない。すり減ったパッドでレベルを合わせているので、新品パッドに交換するとそのぶん水位が持ち上がっているのだ。
ボンネットを開けて、リザーバータンクを見ると、やはり口元までブレーキフルードが入っていた。
でも、オーバーフローはしていない。ここがすごいと感じた! スポイドで余計なフルードを吸い上げながら、思ったのは、こうしたシチュエーションでもオーバーフローしないようにリザーバータンクに余裕を持たせている、そんなエンジニアの親切な顔がほのかに見えた気分がした。ちなみに、ブレーキパッド代(部品代)は1万円。ディーラーでお願いすると工賃0.8時間で8、424円だそうだ。
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