いわゆる工具の目利きに言わせると“箸(はし)にも棒にもかからない製品”が意外とヒットとなることがある。
トリッキーな工具といえば、万能ソケットがすぐ思い浮かぶ。ソケットの内部にたくさんの金属製ピン(数えると54本!)が入っていて、限界こそあるがサイズを問わず、頭の形状を問わずたいていのボルトなら回してしまうというあれだ。いかにも怪しげで、昔なら薄暗い夜店で販売していた風情の製品。万能を謳ったものほど、ダメなものはない、ということを経験的に知っている目利きははじめから歯牙にもかけない。かくゆう筆者もしかりだった。
ところが、一度使うと意外と使える。いやいやなかなかどうして・・・荷物が限られる林道ツーリングのお供にいいかもしれないと思い始めた。頭のなめたボルト、インチボルトは言うにおよばず、樹脂ボルトもカドを痛めないで回せる! 手にしたのは7~19ミリまでの二面幅のボルトに対応するGP1000という品番。差し込み角3/8インチ。価格は2900円。輸入元(ノガ・ジャパンhttp://www.noga.co.jp)も当初「商品性がDIY過ぎてどうも?」と疑問符を付けて半年ほど見捨てていた。ところが、この製品を紹介した色褪せたポスターを見たユーザーから熱烈に購入したというと注文が入り、直感で即座に代理店権(アメリカで生まれドイツで販売)を取得。日本で販売したところ、あれよあれよ、という間にわずか3ヶ月で5000セットを売り上げてしまったという。累計で3万個以上の売り上げだという。ちなみに重量はやや重く137グラム。差し込み角1/2インチの上のサイズは11~32ミリのボルトに対応し、価格は6400円とやや高い。なお、コピー商品を台湾かどこかで見かけたが、こちらは使えないそうだ。