ラチェットドライバーがいつの間にか、プロが使う道具の一つにのし上がっている。この背景にはスナップオンが切り開いた、質のいいラチェットドライバーの登場がある。
工具業界というのは、クルマ以上に真似をされる(あるいはする)世界であるが、単なる真似だけでは語り足りない面白みがある。「どれだけ従来品より安く、より使いやすく、さらには付加価値を付けるか?」が競われる。ごく最近登場したSEKのプロオートシリーズの「伸縮式ラチェットドライバーSED-1V」は、価格が2500円前後のわりにはよくできた製品だといえる。
さっそく、安売り家具店ニトリで購入した組み立て式BOX棚を組み付けるのに使ってみた。プラス1番を16本ほど締めこんだ。手持ちのPBにくらべても軸のガタが比較的少なく、悪くない。伸縮機能については、220ミリから300ミリに伸びて、いっけんライバルを蹴落とす勢いを感じるかもしれない。操作もハンドルのプッシュボタンを押せば手で伸縮できる。でも、これはあまり付加価値にはならない。逆に330ミリも伸ばすためグリップが150ミリもあるのは厄介。この伸縮機能のおかげで、付属のビットをハンドル内に収容できないデメリットが生じている。
ビット数は最近増加の一途であるが、プラス1,2,3番、マイナス5.5ミリ、ヘキサゴンビット4,5,6ミリの3本、それに1/4インチのソケットアダプター1個、計8本で、必要にしてほぼ充分。左右の切替えのハンドル側に印がないので、カチカチといちいち手で確かめる必要がある。いろいろと○と×をあげつらうことができるが、ギア数が30でわりと滑らかだし、コスパから見ると上出来の一本であることは疑えない。