フランス生まれのファコムのラチェットハンドルのなかには、最近実にユニークなものがある。「ファースト・アクション・ツイスト・ハンドルラチェット」(別名:ドライブ・ロータリーラチェット)。長ったらしい製品名がまず気に入らない。不満はそれだけではない。3/8インチ差し込み角なのだが、一見するとだれしもが1/2インチに見間違うほどデカイ。筆者も、3ヶ月以上触れずにいたら完全に1/2インチだと思い込んだ。インポーターに電話して不明に気づき、冷や汗をかいたエピソードが生まれたほど。全長が232ミリ、重量がなんと465グラム。長さは80ギアのスナップオンFHR80とほぼ同じで、重量は通常の約2倍。価格はさほど高くはないので、重さあたりの価格ならだんぜんお買い得!(冗談だけど)。
ギア数は、60ギアで、丸型である。一見な~んだ、と思うなかれ。ハンドル部をクルクル回すことができ、そのクルクル回すだけで、ボルトを脱着できてしまうのだ。一周グルグルでなく、手首でハンドル部をクルクルと往復させることで、締め込んだり、逆に緩めることもできる。「ファースト・アクション・ツイスト・ハンドラチェット」の面目躍如なところは、ここなのである。インポーターが説明する、これこそが航空機業界に食い込んでいるメーカーの真骨頂なのかしら!? 15年ほど前遠い記憶を手繰ると、台湾製で同じようなものが存在していた記憶があるが、FACOMというロゴだとなんだか、後光がさしてマドモアゼルにみまがう!? ただ、左右の切り換えは両手を使わざるを得ないのが不便。プッシュボタンもやや重い。ヘッド部も付加機構が組み込まれているせいか、通常のものよりひときわ大きい。ちなみに、1/4インチも1/2インチも揃っていて、1/4インチの方は141グラム、全長120ミリで実に具合がいい。大きいだの重いだのは欧米人の手との違いで評価が分かれるが、我が邦としては、1/4インチボディに3/8インチ角のモノを発売してくれるといいのに・・・と心から思うのである。