ヘキサゴンレンチは、いまや数多くあるが、注目すべきはベッセルだ。「レインボールL型レンチ9本組み」である。通常の6角鋼材ではなく、特注の引き抜き材を採用している点が他メーカーのヘキサゴンレンチと一線を画している。カラーがレインボーカラーなので、いっけん同じように見える鋼材だが、サイズ1.5を除き、よく見ると6面のうち3面が直線ではなくウエーブ面としている。フラット面が6角穴の変形を防ぎ、ネジと工具へのダメージを抑制。ウエーブ面が駆動角を小さくし、駆動効率を高めるという。コンピューター解析とトルク伝達の測定、実荷重試験を繰り返し求めた形状という。
このあたりの理屈は正直分かりづらいが、要は、応力の集中を分散すること、つまり一点に力を集中させないことで、トータルとして伝達トルクを高め、工具やネジのダメージを劇的に小さくできる。ベッセルでは、このカタチを「ウルトラヘックス」と呼んでいる。断面形状でヘックスにまつわるトラブルを小さくしただけでなく、ボールポイント部もほかと異なる形状をしている。先端が尖った槍形だ。これは、クビレ部の断面積を小さくすることなく、倒れ角度を高めるためにデザインで、通常のボールポイントにくらべ、キャップスクリューの穴の少し上部に工具が当たる。
ということは頭部が薄いボタンキャップや化粧ネジには使えないということだ。通常のヘキサゴンボルトには、塗装した地をメッキから黒染め仕上げにしたことで、そのぶんメッキ厚みがなく大きな角度を得られた。なんと最大傾き角度38度で、つねにボール部が回転の中心となりスムーズに動かせる。首部強度を保ちながら本締めができるのが、最大のアドバンテージ。樹脂製ホルダーには、マグネタイザーと呼ぶ磁石を付属していて、スライド式で簡単に取り外しができ、レンチに近づけ励磁、または取り付けることで、ボルトのキャッチ機能を持たせることができる。http://www.vessel.co.jp/