大手自動車機器の商社を取材したところ、全自動のタイヤチェンジャーを間近に見てたまげてしまった。洗濯機でもあるまいし、全自動って本当かな? と思う読者もいるかもしれない。昔のタイヤチェンジャーと似て非なる性能なのである。
近頃の乗用車タイヤは大型トラックほどではないが、超扁平タイヤゆえかなり重い。転がせてもタイヤチェンジャーの台上に持ち上げるのはよほどの力持ちでないと駄目じゃない!? ところが、機械が手元に近づくがごとく、タイヤのセット位置(正確にはスピンドル部)が90度傾くので、タイヤを転がす感じでセットできるのである。なるほど、これなら「よいしょっ!」と持ち上げる必要なしだ。
ホイールアライメント・テスターで有名な、アメリカのハンター社の「レボリューション・タイヤチェンジャー」だ。じつは驚くのはこれだけではなかった。スイッチを入れると、タイヤの空気充填口(バルブ位置)とホイールの位置をセンサーで記憶させ、あとは自動で作業が進むのである。作業者は近くで、フットスイッチを踏み続けるだけ。5つのアームがまるでハリウッド近未来映画で出てくるロボットのように動き、ものの数分でタイヤとホイールを別々にしてしまった。タイヤとホイールの合体作業も、同じように全自動で、あっという間にやってしまった。ビードの硬いランフラットタイヤにも対応しているという。これなら「非力な女性でも楽に作業がこなせる」というのも、まんざらウソではない。
それにしても・・・18インチのバイクのタイヤの入れ替えでいつもフウフウいっている筆者には、なんとも魔法を見せられている気分だった。このマシン、自重だけでも816kgと軽自動車並み。価格も300万円はくだらないようだ。