「あんな危ないドライバーを紹介するのはどうかと思うね? しかもメジャーな工具と比較するなんて・・・」
そんな良識派の声が聞こえてきそうだが、面白いから、近所の(といってもクルマで30分ほど)のホームセンターで見つけたユニークなドライバーをあえて検証してみたい。
商品名は『伸縮式差替えドライバー』とある。輸入販売元は、大阪府堺市にある「コーナン商事」である。軸に小さなドット(へこみ)を設けてあり、グリップ内部でこのドットをくわえ込み、ホールドする機構。グリップ根元のリリースリングを手前に引いて、軸を好みの長さにすることができる。軸自体の先端部はプラス2番と、逆側にマイナスの6ミリがあり、使い分けができる。グリップは硬い樹脂の上に比較的ソフトフィールの赤い樹脂がかぶせてあり、親指があたる部分はえぐり形状で、グリップフィールは悪くない。
実は、これドイツの「WIHA(ビーハ)のソフトフィニッシュ・テレスコピック」(写真後方)を大いに参考にしたと思われる。
ところがノギスで身体検査してみると、細かいところで大いに異なる。たとえば軸の6角部の二面幅が、本家本元は6ミリだが、こちらは、6.4ミリと太い。ドットの間隔は本家本元が3.5ミリのところ、5.6ミリとかなり広い。一番気になる軸のガタは、本家本元とさほど変わりがなく、いずれも“やや多し“の感覚。もうひとつのポイントは、伸縮のしやすさだが、ドイツの方はプッシュボタンがやや小ぶりで軍手だと難しい。しかも軸の動きが渋いのに対し、台湾は至極スムーズに出し入れできる。最少長さ・最大長さを比較すると、台湾が180-270ミリ、ドイツが160-230ミリ。より短くして使いたい場合はドイツが一枚上手だ。
価格はどうか?台湾が578円に対し、ドイツは、その6倍の3520円。先端部の精度はむろんドイツが二重丸になるだろうが、これってどうみる? だから、工具は面白い!