かつては隅のほうに位置していた『福祉車両』と呼ばれる車両も、少子高齢化というか、シニア世代の比率が高くなったことから、その需要が無視できなくなったとみえ、カタログの一角に堂々と掲載される時代となった。
ところが、従来の福祉車両はたとえば車椅子を積み込むために、ノーマルの車両をベースに切ったり貼ったりのかなりの大掛かりな変更をする必要があった。別工程のラインを設けて作り込んでいた。メーカーとしては社会的使命があるものの、けっして儲かるビジネスとはいえなかったようだ。
新型フリードは、ここに抜本的に切り込んだ記念すべきクルマといえるかもしれない。
新型フリードには、6人~7人の多人数乗車のフリードと、かつてのフリードスパイクを受け継ぐフリード・プラスの2タイプ。5名乗車のフリード・プラスをベースに車椅子仕様の福祉車両を設定しているのだが、「開発当初から、福祉車両を視野に入れた全体のクルマづくりを目指しました」(担当者)というだけに、たとえば車椅子仕様は写真にあるように、福祉車両仕様専用のブラケットやトリム類をボルトオンで車体に固定するという、実に合理的なクルマづくり。具体的な金額こそ公表していないが、着実にコストダウンしている。
車椅子仕様車の価格はガソリンエンジン仕様で244万円。ちなみに、ノーマルの売れ筋、7人乗り2WDホンダセンシング付きハイブリッド仕様で、251万円台。