クルマやバイクの世界ではずいぶんむかしから製品の色が、売り上げに大きく響く、といわれてきたが、工具の世界でも底流には、むろん色の良し悪しはあったとしても、あくまでも二儀的だった。機能性がまずトップにきて、見た目がその次、3番目に価格、4番手にカラーリングではないだろうか?そう考えると、≪漆黒ギアレンチ≫は、ある意味、野心的!?
漆黒(しっこく)とは、辞書を引くと「漆を塗ったような光沢のある黒色」のことで、よく推理小説などに出てくる『漆黒の闇(やみ)』とは、黒色を塗りこめたような濃密な闇。目の前に人が近づいてきて鼻をつままれるまでわからないような暗闇を指す。
この『漆黒ギアレンチ』の漆黒度は≪つや黒≫という程度。渋い黒味、と言い換えられる。つや黒は、海外でも実は人気となっていて、ヤマハの海外向け大型バイクにつや黒仕様がラインナップしているほど。どこか不確実性を感じる時代にあって、懐かしさと威厳を感じさせるにふさわしい≪ツヤ黒≫が受けるのだろうか。
工具にツヤ黒を使っても悪くない感覚だ。ぴかぴかツールにいささか飽きている向きには新鮮な印象だし、工具箱にこれが入ると、どことなく大人びた感じがしないでもない。この製品、メイド・イン・台湾なのだが、面白いのは、保証トルクが明記している点。ギア数72(送り角度5度)のめがね部のラチェット部分は91Nm(ニュートン・メーター)で、スパナ部が49Nmだという。自信があるのだろうか? でも、こう言われても他のデータがないので比較のしようがない!? サイズ12ミリで、全長は170ミリと標準で、重量は81グラムとやや重い部類。発売は、大丸興業㈱。ホームセンターでの購入価格は849円。