21世紀の産業革命を一堂に見ることができる、という触れ込みの見本市CEATEC(コンバインド・イグジビション・オブ・アドバーンスド・テクノロジー)2016が幕張で開かれた。さっそく覗いてみた。
注目はモノのインターネット(IoT:インターネット・オブ・シングズ)だが、オット足を止めさせたのは、いっけん何の変哲のない1台のフォークリフト。燃料電池式のフォークリフトだという。
つくったのは、乗用車のエンジンのシリンダーブロックなどを製造している豊田自動織機。豊田佐吉ゆかりのモノづくりメーカーだ。近くにいた開発に携わった女性をつかまえ聞いてみると、「トヨタ・ミライの燃料電池のシステムを参考にさせてもらいつくりました」とのことだが、あちらは確か70MPaと高圧だが、こちらはその半分の35MPaで、独自に開発した部分も少なくないという。
水素の充填時間は約3分で、稼働時間は8時間というから、ライバルのバッテリー方式やディーゼル方式のフォークリフトなどと十分戦えるという。倉庫の一角を占める充電機やスペアのバッテリーが不要となることも、このフォークリフトの優位性だという。ちなみに、車両重量は、3920kgと乗用車の約2倍なのは、フォークリフトの常識。だが、コストが、いまのところバッテリー式フォークリフトの3~4倍というのでは、いくら環境に優しいといっても誰も見向きもしない。今後、素材やデザインの見直しなどで、1.5倍近くにまで下げられるかどうかが注目だ。