1980円! という価格からして、「フン! 台湾製だろ!」と一瞥(いちべつ)だにくれない読者がいるかもしれない。ちょっと待ってもらいたい。
実はこれ、バリバリの日本製、メイド・イン・ジャパンなのだ。
よく見ると柄のところにFLAGの文字が刻まれている。その横にはCr-Vの文字、つまりクローム・バナジウム鋼だということらしい。格安の台湾製のツールで、日本市場でここ10年以上大活躍しているストレート・ブランドの工具である。≪ストレート=台湾ツール≫という図式で観られがちだが、いつの間にか、スペードのエース並みの日本製ツールを製品群に忍ばせていたのである。FLAGは旗のことで大阪の㈱秦製作所製とのこと。
それにしても差し込み角1/4インチの日本製プッシュ式ラチェットハンドルが2000円切るとは信じられない。どこかに落とし穴でもあるのでは? そんな疑いの目で見て弄繰り回してみたが、使えば使うほど、触れれば触れるほどに魅力的な工具だと思えてきた。ヘッドが実にコンパクトで、しかもギア数が60ギア、つまり歯送りわずか6度。持ったときのバランスが悪くないのは、柄の内部を中空にしているからだろう。全長115ミリは手のひらサイズで、機動力の高さを裏付けるコンパクトさ。担当者いわく「台湾製にくらべ、オーバートルクによるヘッド内の修理も確実、かつスピーディですから長い目でみればお買い得です」。まんざらウソではないようだ。3/8インチもスタンバイしていて、こちらは2800円だという。