水素社会に向けて政府などが音頭取りで、水素ステーションの建設がただいま展開中だが、当初1昨年中に全国に100軒のはずが、1年遅れで100軒に達したという。これはあくまでも東京、名古屋、大阪、福岡など4大都市を中心。地方都市は今のところ対応なし。地方都市など全国ほぼくまなく、となるには1000軒を構築しなくてはいけない。そうなるのは平成30年がメドだというから、まだまだ先の話。
足踏みしている背景は、膨大な建設費。一般的なガソリンスタンドが7000~8000万円に対し、水素ステーションは5~6億円もかかるのだ。いくら補助金ができるといっても、民間事業主から見ればリスキーな高い投資だ。
そんななか比較的格安なホンダのコンパクト水素ステーションが注目を集めている。
太陽光やバイオ発電で電気をつくり、この電気で水素をつくる、という小さなプラント。岩谷産業と数年前から共同で開発したもので、すでに官公庁や大手企業などで、徐々に増えている。寸法は3.1×3.2×3.1(高さ)メートル。こちらは、総建設費1億3000万円程度。2/3補助金が出るので、8600万円ほどで設置できるという(それでも高い!)。しかもユニットタイプなので、設置が容易だけでなく工期もごく短い。ただ、これまで70MPaの半分の圧力だったので、燃料電池車には、十二分に対応できずにいた。これが、70MPaの圧力タイプを目指して、現在東京の江東区青梅で実証実験中だという。
ただ、このコンパクト水素ステーションも、取材すると大きなネックがあった。内部にある電解幕の交換を定期的におこなう必要があり、その費用が数千万円もするというから驚く(だからいまのところ公官庁中心だ!)。こう考えると、水素社会が実現するにはまだまだ大きな壁が立ちはだかっているというのが現状のようだ。