「ハイブリッドカーはエンジン稼動割合が激減したぶん、冬場ヒーターが効かず足元ブルブル!」
そんなハイブリッドカーのウイークポイントをまるで鬼の首を取ったかのような前回の記事。その筆が乾ききらないうちに、解決策ともいえる新技術がトヨタ車からデビューした。正直、オドロキだ。
新型プリウスPHVの「ガスインジェクション機能付きのヒートポンプエアコン」である。
ヒートポンプとは、少ない投入エネルギーで、空気中などから熱をかき集めて、大きなエネルギーとして利用する技術のことで、すでに身の回りのエアコンや冷蔵庫、最近ではエコキュート(給湯機)などにも利用されている省エネ技術。
冷房の時は、ふつうのクルマと同じ理屈なのだが、暖房時には電磁弁で、配管経路を変更し、電動インバーターコンプレッサーで圧縮された高温の冷媒を、室内コンデンサーを介して車室内で放出。ガスインジェクションは、冷媒の流量を飛躍的に増やすことで、暖房性能をさらに高める役目だという。
「この仕掛けは、実は世界初です!」とエンジニアは胸を張る。「レスポンスも素早いですよ。すぐ足元が暖かくなります。それにシエンタHVではメーカーオプションだった前席シートヒーターも標準装備し、このヒートポンプ式エアコンも標準で付きます、ハイ」とニヤリと微笑んだ。ちなみに、新型プリウスPHVのリアに載る大容量リチウムイオン電池にもヒーターを付け、低温時の出力低下を防いでいる。・・・まるでクルマ全体が湯たんぽを抱えて走っている!? そんな妄想をしたくなる。