横浜のみなとみらいの一角にあるパシフィコ横浜で、毎年5月に行われる「自動車技術展」は、素人には難しすぎて、大半が木を見て森を見ずの感じ。でも、なかにはがぜん興味を引く展示物にぶつかり、思わず立ち止まり話を聞いてみたくなる・・・・。
「ダッシュパッド」といってもピンとこないけど、要するにエンジンルームと車室の境にあるパッド。エンジンの音が車室に侵入しないように隔壁に張り付けてあるものだ。
「少し前まで吸音材がメインの考えだったんですが、電動化つまりモーターでクルマの動力をアシストしたり、モーターだけに頼るクルマだと、モーター音を車室に入りづらくする遮音材が再注目されていますね」というのは、岡山県総社市にある三乗(みのり)工業の眞田達也社長。
そこで、今後の提案製品として、こんなダッシュパッドがあるという。
上部が吸音タイプ、下部が遮音タイプ。面白いのは、使っている素材だ。吸音材には再生綿と呼ばれるリサイクル品を用いているのだが、具体的にはジーンズやジャージの端切れ。
実は、岡山は知る人ぞ知る! 日本ジーンズの発祥の地であり、ジーンズやジャージの生産量が高い地域なのである。遮音をになうのは再生オレフィンシート(ポリエチレン系)に炭酸カルシウムを混ぜ合わせたものだという。重量は従来品が3㎏で、今回のが2㎏弱なので、約35%も軽量化されたというから驚きだ。
CAE(コンピューター支援エンジニアリング)で解析してのモノ作りだけでなく、作り込みや擦り合わせ技術と呼ばれる作業者の経験則がまだまだものをいう世界だという。