「これって、1400年の時空をこえて、古代の息吹と現代のテクノロジーのコラボレーション!?」
思わず、こうつぶやいてしまったのは、たまたま出かけた大阪市天王寺区にある四天王寺の境内での光景だ。
「大阪にも聖徳太子の遺訓が残されている!」と聞くと耳を疑う人もいるかもしれないが、推古天皇の御代、西暦593年に、聖徳太子が建てたとされているのが、大阪なんばから南東に1キロちょっと行ったところにある四天王寺だ。極楽浄土の庭に立つと、古人の息遣いが聞こえないわけではないが、昭和20年3月の大阪大空襲でほとんどの伽藍が灰となった。その後大部分がコンクリート製ではあるが、復興しつつある。松下幸之助も西重門を寄贈しているという。この寺院、中門、五重塔、金堂、講堂が一直線に並んでいる日本で最古の「四天王寺式伽藍」で、いまでも「太子信仰」の聖地という位置づけだ。
その四天王寺の五重塔が、7月8日、LEDランプでライトアップされた。
なんとその電源は、自転車のペダルをこいでつくった人力電源である。
子供の自転車、ママチャリ、それに普通の大人の自転車のリアタイヤに密着しているのがクルマのオルタネーターのプーリーだ。
「オルタネーターは、解体屋さんで手に入れました。えっ、つくるのに難しかった点ですか? やはり、プーリーと自転車のタイヤの密着度です。ゆるくすると発電できないし、強く密着させると人の足の力で回せない。具合よく、動かす力加減をスプリングの力で調整したところが大変でした」とNPO法人「チームエジソン」のスタッフ。あらかじめ、こうしてできた電気で小型ポンプを動かし、シャボン玉を周りに飛散させ子供の笑いを生み出し、夜間の五重塔のライトアップで、大人に達成感を感じさせたのだった。