少子化時代を反映して、きらきらネームはいまや不思議でも何でもない。
これまで何の変哲もないと思われてきた車の部品。しかもエアクリーナーエレメントは消耗部品である。台所で活躍する2月毎に換えている“浄水器の濾紙”みたいなもの。これに、わざわざきらきらネームに近いブランド名を付けるとはね? 平成も30年近くなると、昭和の自動車部品ではなかった現象が現れる。これもその一つなのかしら。
トヨタ紡織で造ったという「美濾(みろ)」というエアエレメントは、高級車レクサス専用だという。不織布を使った濾紙ということには従来と何ら変わりがない。が、担当者に言わせると「山折りの数を20%減らしたり、とにかく細かなところを見直し、1ミクロン以下の微粒子をキャッチできました。しかも10%ほど軽量化も実現しました」と胸を張る。
でも寿命は同じで、交換は5万キロだそうだ。ぎゃくに価格は1.2倍と高くなったという。
ひところ流行した湿式のフィルターはどうか? と質問すると「湿式は微粒子をキャッチしづらいことは10年ほど前から判明して下火になった」という。
この「美濾」というエレメント、開発に3年もかかったという。開発に携わった担当者としては、世間からは無味乾燥とおもわれる濾紙に愛情を込め、ついペットのようにかわいい名前を付けたくなったのだろうか? “美しい濾紙”とは見れば見るほど、考えれば考えるほどに変だ。