乗用車の世界では、いまや自動ブレーキ装置付きがごく当たり前になりつつある。
トラック・バスにも、もちろん新型車は自動ブレーキ付きが登場しているが、大多数の現役でいま活躍しているトラック・バスは、いまのところそうした手段がない。
そこで、登場したのが、「モービルアイ」という商品。イスラエルにあるインテル・モービルアイ社製だ。
フロントガラスに小型カメラを取り付け、インパネ上にコンパクトな表示部を付ける。小型カメラが、前方の障害物を感知すると、3秒前に衝突の危機を音とLED表示で教えてくれる。居眠りやよそ見していて車線を逸脱しそうになった場合も警告を発してドライバーに注意を喚起する。前方の歩行者が近づいても同じように警告を与え、危険を避けることができる。
この装置を取り付けたトラックやバス業者によると、劇的に追突事故や接触事故が減ったという。取り付け装置、1基20万円弱だが、十分ペイできるという。面白いことに、なかには自動ブレーキ装置が付いているトラックにも、この「モービルアイ」を付けたケースがある。自動ブレーキの場合ではガクッと急ブレーキがかかるが、「モービルアイ」だと、ドライバーが危険を察知してブレーキを踏むので、ソフトブレーキで、荷崩れがなく都合いいというのだ。
それに、ぶつかる前にブレーキを踏むという「瞬間効果」のほかに、警報音を出さない運転をやがて心がけることで、ヒヤリ・ハットのない安全運転の「学習効果」もあるという。いわば“安全運転養成ギブス”みたい?
すでに日本でも約6万台の販売実績を持つ。ちなみに、このほど三菱ふそうトラック・バスでは、この「モービルアイ」を純正アクセサリーとして各ディーラーで販売と取り付けサービスを展開し始めている。