ドライバーメーカーの老舗であるベッセルは、家庭向けのときどき疑問を付けたくなる製品を世に出すものの、プロ向けの製品には、他メーカーの追従を許さない製品をリリースして、筆者をうならせる。
貫通ドライバー「S-930」も、そのひとつ。
まず、手に持った時の剛性感が高く、ずしりと重い。一番使用頻度の高いプラス2番だが、全長216ミリは、ごくごく標準的だが、重量が160グラムは、重い部類。かつて、内外のプラス2番の貫通タイプのドライバー10数本をそろえ横一列に、比較したことがあるが、その時のデータを横に置いてくらべてみると、このS-930が一番重いのだ。軽いのになると110グラム台で、多くても150グラムどまりだった。これよりも10グラムも重い計算だ。
S-930のアドバンテージは、先端部に「ジョーズフィット」(サメの歯のように食いつく、意味だろうか)と呼ばれるギザギザが施されていることだ。カムアウトと呼ばれる、相手のネジ山から外れ、ねじをダメにすることを防ぐ狙いである。グリップは6角断面で、作業台から転がり落ちる心配のない形状。しかも2種類の樹脂を使い分けることで、グリップ感を高めている。
これで価格は、990円(ホームセンターでの購入価格)というから、日本のモノづくりも頑張っている感じである。