ディーラー工場に出かけた経験のある人は、人的構成がセールスマン、整備士、フロントマンの3つで構成されていることが薄々感じているはず。ところが、もう一つパーツマンというのがいる。2万点ともいわれるクルマの部品を検索する専門職である。街の自動車部品商や整備工場からの問い合わせにスピーディに答えるプロフェッショナルだ。
でも、セールスマンやフロントマンなどとくらべると、一番地味な存在だ。整備士もいまどきは直接顧客と対話しなくてはいけないが、パーツマンはひたすら部品のことを考えればいいだけ! そんな職種だと思い込んでいたところ、「いやいやとんでもない! あなたの認識、間違ってます!」という答えが返ってきた。
先日、三菱ふそうトラック・バスのサービスマンコンテストを取材したら、そんな声が聞こえたのである。パーツマンの競技で、顧客に新商品の用品を説明しセールスする能力を競うプログラムが展開されていた。具体的には、先だって紹介した後付け可能な衝突安全装置「モービルアイ」を売り込むか? 接遇能力、商品知識が問われた。
競技を眺めていると、なかなか想定問答集のようにはうまくいかず、子供の学芸会ののどかな雰囲気を醸し出していたが、本人たちは必死である。
この競技とは別に、一昨年からできたパーツマンの認証資格をめぐる「3分間スピーチ」もあった。3分間は、意外と長い。アタマのなかで練り上げても、うまくゆかないものだ。ふだんの言葉遣いで、ジェスチャーを交えてしゃべるだけでいいのだ! と思うが、「それができればしゃべりの商売に鞍替えするよ!」といわれそう。外野席からは「接客能力が高い人はもともとパーツマンはやらないと思うし、そもそも、こんな場所に出てこないね」
う~ん・・・・困難を楽しめる気持ちで向き合う人でないと、いまの世間は渡れない! 若い人の苦労を垣間見た思いでした。