昭和40年に花開いた市場がある。
業界用語でいうところのアルファベット3文字“TBA”である。タイヤ、バッテリー、アクセサリーの頭文字をとったものだ。この3つの部品・用品が飛ぶように売れたのである。当時はいまでいう大型自動車部品商はおろか、カーショップなどはほとんど存在しなかった。ユーザーにいわゆるTBAをユーザーに販売する窓口はSS(ガソリンスタンド)だった。ここ10数年レンタカーに衣替えしたり、なかにはカラオケ・ショップに変身したりの超低空飛行のガソリンスタンドであるが、幹線道路から離れていない限り、当時はあきれるほど儲かった業種だったようだ。
このガソリンスタンドに、タイヤ・バッテリー、それにアクセサリーの3商品を置いてもらい、売り上げを伸ばしたのである。「アクセサリーの世界では、現在では想像もつかないもの、たとえばルームミラーにぶら下げる人形が大人気で、いまでいうフィギュアは誰のクルマにも付いていたものです。当時はマイカーというのは動く応接間的存在で、シートカバーも飛ぶように売れました。レース仕様、カラフルな色物など・・・とにかく自分のクルマを飾りたい、差別化したいというユーザーの要望を満たす商品でした」。
そういえばそのころ土足厳禁とか、高級車でもないのに毛バタキを新車購入時に必ず付けるという、いまから思えば笑いを誘いそうな奇妙な“習慣”もあった。
(写真はファンベルトの在庫。ファンベルトも当時から、よく売れた部品だ)