新潟県三条市にあるスリーピークス技研は、プライヤーとかニッパーの専門ツールメーカーであるが、使う立場で考えた優れた製品を出している。地場の同業他社の刺激を受けて、つねに世に問う価値のある工具を作り出そうという意欲があるからかもしれない。そもそも工具とは人の手の延長であるので、飛びぬけて突飛なものは、市場が受け付けないが、独自の角度でアバンギャルド性を見いだせる工具は、認められる、そんな世界である。
今回紹介するのは、ウォーターポンプ・プライヤーだ。水回りのメンテナンスでもっぱら使うツールだが、自動車やバイクの世界でも、通常のプライヤーでは具合悪いシチュエーションで、がぜん活躍する工具。工具箱に250ミリのウォーターポンプ・プライヤー1本は必需品である。
正式名称は「くちプラ・ウォーターポンプ・プライヤー」とやや長い。台紙には「くちプラ」がでかい文字にしてある。そのココロは“口元が樹脂、つまりプラスチックにして咥える相手を傷つけない”そんな「おもてなし精神」旺盛なウォーターポンプ・プライヤーなのである。樹脂部は摩耗したら交換可能だ。
しかも、3枚合わせ、といって下アゴ部を上アゴ部が挟み込んだ構造。いわばサンドイッチ構造である。通常の2枚合わせと何が違うかというと、使ってみると一目瞭然で、咥えたときのチカラが横滑りしない。ググッと相手を咥え込むのである。昔から3枚合わせのWポンププライヤーはそれだけで、コストアップするので、一目置かれているのである。
手持ちの同じ3枚合わせのクニペックスとスタビレーを取り出し比較してみた。クニペックスは296gと軽く、スタビレーは465gとかなり重すぎ。スリーピークス製は、その真ん中の367g。できれば、柄のかどを落とし、肉抜きして50g減量するとベターだ。8段階で口幅が変えられ、どの位置にしても柄がくっつかないので、指を挟むことがない。価格は3200円だった。http://www.3peaks.co.jp