ついに電気小型トラックが姿を現した。
三菱ふそうのeキャンターである。すでに、ハイブリッドキャンターは世に出ているが、オール電化の小型トラックのCO2を出さないゼロ・エミッションカーは世界初である。セブンイレブンに25台、ヤマト運輸に25台、計50台が日本の道路を走り始める。欧州とアメリカでも各50台ずつ、グローバルで計150台が今年中に走り始めるとのことだ。
気になるのは性能だ。一充電での走行キロ数と、充電時間。それぞれ100㎞と11時間(単相200V、直流急速充電なら1.5時間)。物流センターから、近在のお店や顧客を回るのだから、100㎞の航続距離で十分。夜間充電するので充電時間も、ユーザーから見て不満はないという。運転したドライバーに聞くと、加速も申し分なく、なによりも静かなのがいい、とのことだ。車両総重量7.5トンクラスだ。
このeキャンター、開発スタ-トからわずか7年で出来上がったという。こんなに速くできた背景は、三菱ふそうがダイムラーグループの一員であり、共同での開発ができた点。それにベンツのPHEV(プラグイン・ハイブリッド)のバッテリーやインバーターと互換性を持たせたことのようだ。バッテリーは、高電流のリチウムイオン電池パック6個(重量は720㎏)をフレームの側面と内側などに積んでいる。
今後、トラックの電動化が進むか否かは、このeキャンターの将来にかかっている。三菱ふそうの開発者は、「年間10万キロを走るトラックはディーゼルに道を譲るが、ダンプカーや塵芥車、高所作業車などの走行キロ数が1日50~100㎞未満の大型車もEVできる」と意気込んでいた。