そもそもバイスグリップというツールは、プロの板金さんが溶接などをおこなう前工程で、2つのモノをがっちりジョイントするときに使う道具。そんなふうにとらえていたのだが、実は数年前から小ねじをがっちりとらえる道具としても、使えるということに気付いていた。
ところがである。これまで市場に出ているバイスグリップでは、その「困ったときのねじ回し」としても役割は十分ではなかった。
咥えるあごの形状が、少しばかりアバウトだからだ。小さなネジを咥えるデザインではなかったのだ。もう一つの不満は、グリップの表面がざらざらした板金肌なので、どう考えても人間工学的な作り込みをしていないのである。
「ネジザウルスシリーズ」でヒットを飛ばしてきた大阪のエンジニア(電話 06-6974-0028)という企業は、このへんをよく研究したらしく、とりあえず、満足いく製品を送り出してきた。横溝のほかに縦溝を持ついわゆるネジザウルス先端部(顎部の)を持つのである。本体自体は従来通りの梨地肌の板金製だが、樹脂グリップをかぶせているのである。緑色のベース樹脂は硬めで、指に触れる部分は柔らかめの樹脂を使うというハイブリッド構造である。このへんがこころにくいデザインである。適用ネジサイズはφ3ミリから9.5ミリだという。
全長145ミリのわりに重量が205グラムとやや重く、手に持つとずんぐりしてはいるが、使ってみるとなかなか頼もしい工具である。ホームセンターでの購入価格は2180円だった。バイスグリップとしてはやや高めだが、価値はあると見た。