人はときどき「意固地」になりたい動物だと思うが、自動車メーカーも、意固地になることがあるようだ。
先日、新型小型SUVの「クロスビー」の記者会見を取材したところ、「このクルマは軽自動車のハスラーの兄貴分ではありません。まったくゼロから造り上げた新ジャンルの小型車です」と担当者が力を込めて説明するのである。
背景には、「単にハスラーをデカくしただけ」とは見られたくはないのだと思う。
でも、誰が見ても、スズキのベストセラー軽自動車ハスラーを大きくしたとしか見えない。
この事の成否は、実はどうでもいいことかもしれない。
市場が受け入れて、市場が決めればいいことなのかもしれない!?
そんなモヤモヤした思いで、眺めていると、いくらか魅力的なクルマに見えてきた。とても割り切りのいいスペックなのである。
排気量1リッター3気筒の直噴にマイルドハイブリッドを採用したエンジンに、16インチのタイヤを履かせ、ワゴンだけどなかなかにスタイリッシュなのだ。停まっていても、なんだか動き出す雰囲気がある。
運転席に座ると、とくに豪華なつくりではないが、シンプル・イズ・ベスト的な世界が広がる。ワクワク感を醸し出しているところは、一昔前の本田流のクルマづくりである。鈴木流の泥臭さがあまり見えない。車両重量が、1000㎏以下に抑えている点も好感が持てる。
ただし、燃費はマイルドハイブリッド、つまりいわゆる「な~んちゃってハイブリッド」なので、あまりよくない。JC08モードで、22㎞/Lである。ストロング・ハイブリッドに比べモーターのアシスト領域がごくごく限られているからだ。
スタイルからしてすべて4WD仕様と思いきや、2WD仕様もあり、価格は、176万円台から。4WD仕様は190万円台から。