人間、きちんと制服を着た、“プロと思しき人物の言葉”には、弱いものだ。
昨年の暮れ、名古屋から東名で横浜に向かっていたところ、岡崎近くのサービスエリアで給油することにした。エネオス系列の地元のガソリンスタンドが経営しているSSだ。給油も終わり、タイヤの空気圧を自分で確認していたところ、SSのスタッフが近づいてきた。ひと目見て「お客さん、前輪の外側が摩耗限界に来ていますね。どこまで帰られるのか知りませんが、このままでは危険ですよ」「よく見ると、縁石に乗り上げた際にできるピンチカットといって側面のコードが切れて、そのまま走り続けるとバーストの危険がありますよ」
でも写真で分かるように、100歩譲っても“さほど重症ではない!”。
明らかに、こちらがクルマのことなど何も知らないお客と見て、脅しにかかってタイヤを売りつけようとしているのである。こんないい機会はない。こちらも商売柄、どんなふうにセールストークを展開するのか知りたくて、しばらく聞いてみることにした。
すると、不思議なことに、いつしか「これだけ熱弁をふるってタイヤ交換を進めるスタッフがなんだか他人に思えなくなってきて(広い意味で同業者である!)、ほかにくらべて(通常のタイヤショップとかネット価格にくらべ)確実に高いのは承知で頼むことにした。とにかくどんな風に、仕事を進めるかも、見たかった。
で結論的に言えば、タイヤサイズ185/60R15で、BSの最下級ブランドのネクストリーが2本で2万6000円。バランス取り、古タイヤ処分量など含めコミコミ値段だ。販売窓口が増えたことにより、世はタイヤ価格戦争の様相ではあるが、後で調べてみると、トータルで2~3割ほど高かった印象である。