「3月発売予定のエクリプスクロスは、純三菱自動車最後のクルマなのです。このクルマにかける社員の意気込みが違いますよ。次のクルマからはカルロスゴーンの日産のテイストに染められることになるのですから……」
エクリプスクロスは、すでに東京モーターショーのときにお披露目していたので、ある程度、認識はしていたが、三菱自動車の古参社員のこの説明にはどきりとした。三菱としても久々のニューモデルである。全長4405ミリ、全幅1805ミリ、全高1685ミリ、ホイールベース2670ミリ。兄貴分のアウトランダーとホイールベースは同じで、全長で290ミリ短く、全幅で5ミリ長く、全高で25ミリ低い。
思えば、すでにカルロス・ゴーン日産の軍門に降(くだ)った三菱自動車は、いわばルノー+日産ファミリーの一員に属したわけなので、これまでのような独自色を出したクルマづくりは困難になる、と考えるのは順当だ。
そう考えると先の古参社員の言葉が一段と重く響く。「しかも、初の三菱ブランドの乗用車である“三菱A型(エンジンは2765㏄直4気筒サイドバルブ式)”がデビューしてから、今年はちょうど100年という我々から見ると記念すべき年なのです」ますます、エクリプスクロスへの熱い思いが理解できるというものだ。
ちなみに、このエクリプスクロスは、現在の大きなトレンドの一つであるSUVカテゴリーで、1.5リッターの直噴ターボエンジンを載せるエクステリアがマッチョな味付けの売れ筋スタイル。ダウンサイジングエンジンを載せたおしゃれなSUVなのである。最大の魅力はパリダカやWRCで培ってきた4WDテクノロジーが盛り込まれているところだ。価格も、250万円台から309万円台とコンペティターに比べややお買い得感がある。「競合車は少なくはないが、いわば今の時代には、そこそこ売れるクルマ」といえそうだ。それにしても・・・GDIで躓いた三菱自動車。あれから20数年ぶりの直噴エンジンである。