1台のバスで2台分の乗員を載せて運ぶことができる「連節バス」が、いま熱い注目を集めている。
いすゞあたりが2020年を期して開発中だと聞くが、いまのところ、日本製は存在しない。でも、三菱ふそう経由で、メルセデスベンツの「シターロ」号が、すでに日本の路線バスとして数十台も活躍している。そのうちの4台を保有し、運行している関西にある神姫バスにうかがった。
平成25年から2台、今年の4月からさらに2台追加し、兵庫県の三田(さんだ)駅周辺を毎日27便。なにしろ全長が18メートルと通常の路線バスに比べ1.8倍の長さ。実際走行前に何度もシミュレーションをしたところ、20カ所ほどに課題が見つかった。右左折で曲がり切れないとか……。もちろん警察など関係部署などへの事前の根回しも必要。
担当者の不安のなか、実際走らせてみると、意外に小回りがきき、大半の課題はクリア。それでも、左折時に反対車線にはみ出すため、反対車線の停止線を少し下げたのが2カ所。交差点で右折するところで、右折だまりが短いので、長くするところが1カ所あったという。
1年目の運転手に聞くと死角をモニターする画面を見るなどで、かなり運転に疲れを覚えるというが、5年のベテラン運転手に言わせると「高速バスに比べ小回りが利くし、低床でワンステップなのでベビーカーの乗客もらくらく乗れていいですよ」とのことだ。筆者も実際乗ってみると、やや足回りが硬く跳ねる傾向にあるが、床がフラットで、見晴らしがいいので、乗っていて気持ちいい。ちなみに、メンテナンスは、定期的に連結部のボルトを30本ほどトルク管理することだという。