旧いクルマ、それも歴史的に意味があり、いまでも金銭的価値のあるクルマ、そんなクラシックカーがパレードする明治神宮絵画館での「クラシックカー・フェスティバル」は、なんとなく気になるイベントだ。面白いのは、そうしたオーナーさんに立ち話ながら、直接話が聞ける点だ。
インタビューという作業は、相手が口を開いてもらわないと成り立たない。クラシックカーのオーナーは、例外的に話が聞きやすい。イチを聞くと拾(じゅう)を語りだす感じ。たぶん、自分のクルマを自慢したくて仕方がない、あるいはそのクルマの所有するエピソードを人に聞いてもらいたい。そんな気分が頭の中に充満しているからだと思う。だから、ふだんよりもかなり饒舌になり、こちらもつられて、とても気分が高揚する。
今回、静岡から〈自走で走ってきた〉というロータス・イレブンMKⅡのオーナーさんもそんな感じだった。クルマを取り巻く10人以上がじっとクルマを見つめ、口々に質問を浴びせる……。
1956年製というから、すでに還暦を越えている。アルミフレームに鋼管フレーム。コンベントリー・クライマックス水冷4気筒排気量1098㏄。車重は412㎏と軽自動車の半分ほど。200㎞/hを超え、ルマン24時間などで大活躍したレーシングカー。古いクルマは排ガス装置もエアコンなどの快適装置など付かないから、ひどくシンプル。「メンテナンスはとても楽です」というオーナーさんの言葉を待つまでもなく、納得。ふだんはフランス車に乗っているというオーナーさん、たまに奥様とこのクルマで静岡の郊外を走るそうだ。なるほどね……。