「水兵リーベ、バックの船、な~に間があるシップはすぐくらぁ!」
ん!? 新年早々気がふれた? じつは、これ「元素の周期表」の上部3段、計14個の元素を語呂合わせしたフレーズ。H(水素),He(ヘリウム)、L(リチウム)、Be(ベリリウム)、B(ホウ素)、C(炭素)、N(窒素)、O(酸素)、F(フッ素)、Ne(ネオン)、Na(ナトリウム)、Mg(マグネシウム)、Al(アルミニウム)、Si(シリコン、ケイ素)、P(燐)、S(硫黄)、Cl(塩素)、Ar(アルゴン)……。
工業高校に入ったころ、何しろ工業化学科だったものだから、なかば強制的にこの周期表に付き合わされたものだ。リーベとはドイツ語で、「恋人」の意味である。不思議と半世紀以上たったいまもすぐ口について出てくる!
自動車は約3万個の部品でできていて、その元をたどれば元素に行きつく。上の14個のほかに、すぐ思い浮かぶのは、鉄を強くするCr(クロム)、Mn(マンガン)、Mo(モリブデン)、スパークプラグなどに使われるPt(プラチナ、白金)、Cu(金)、Ir(イリジウム)、バッテリーに構成物質であるPb(鉛)、Sb(アンチモン)、ランプで使われるXe(キセノン)、W(タングステン)。そのほかCu(銅)、Ti(チタン)などがすぐ浮かぶ。そういえば数年前、原子番号113の「ニホンニウム」という日本ゆかりの元素が、登録されたのを新聞で読んだことがある。
クルマの素材を調べる機会などに、年に数回は、いまでも、この「周期表」を眺める時間がある。もちろん、このなかに原発問題で登場するストロンチウム(Sr)、セシウム(Cs)、ウラン(U)なども目に入る。
この「元素の周期表」が誕生したのが1879年、指折り数えて今年で150年なのである。ロシアの化学者ドミトリー・メンデレーエフ(1834~1907年)が、炭素や酸素や水素などの原子を質量順に並べると、似た性質の元素が周期的に表れることに気付いたのがきっかけだ。ただ気づいただけでなく、「当時空白になった元素を予言、予測したこと」だ。その後、どんどんその予測した元素が発見された。その功績で1906年ノーベル化学賞候補になるが、一票の差でフランスのアンリ・モアッサンという化学者に敗れたとされる。モアッサンは、クルマなどの合成樹脂部品で使われるフッ素の研究者だったのだ。