クルマにまつわるトラブルもいろいろある。インテリア、つまり室内のトラブル専門の職人さんにインタビューする機会に恵まれた。
脱サラして5年、横浜に店を持つ50歳代のインテリア職人の一匹狼である。「お客はおもに輸入車&国産車に限らず、いわゆる高級車に乗っているユーザーです。たとえば、運転席のシートの表皮が伸び切った状態になってしまったとかというトラブル」という。聞けばこれは皮シートに起きがちな不具合だという。一見表皮の皮が伸びてしまった印象だが、実は、クッション材のウレタンが使うに従い、劣化して、へしゃげてしまったのが原因だという。「そこで、解決法は表皮をはがし、新たにウレタンを追加してあげる」という。煙草の穴開きやシート破れといったトラブルは、専用パテで埋めたり、縫い合わせ、その上にパテを少し盛り、削る……といった手法をとるという。見た目だけでなく強度と耐久性を確保するというのが、彼のスキルである。
「輸入車で、よくあるトラブルは天井が7年目あたりで垂れてくる」というものだ。表皮とルーフのあいだに挿入された薄手のウレタンがやはり経年劣化で指で触るとボコボコになるのが原因だ。国産車は、構造が異なるので、こうしたトラブルはない。輸入車の場合、ウレタン付きの専用表皮を張り替えることになる。
この作業も、いっけんDIYでできそうな感じだが、専用の接着剤と工具、それにノウハウとスキルが要求される。自動車のトラブル解決にも“餅屋は餅屋”の領域があるようだ。ちなみに、修理費が、ディーラー価格より2~3割安いというのが受けているようだ。