『最新の自動車セキュリティへの企業の取り組みの調査結果の記者会見!』
タイトルだけ見るとやや意味不明な、筆者には手に余る感のある都内での記者会見に先日、恐る恐る首を突っ込んでみた。要するに、来るべき自動運転、コネクティドカーのクルマ社会に対して、サイバー攻撃(ハッカー)が予想される。いまどきのクルマは、人やモノを運ぶ単なる箱ではなく、安全性や効率を高めるべく、多くのセンサーが組み込まれている。通信網を介してデータのやり取りをおこなう。それだけにサーバー攻撃の対象となる。すでに2015年7月にクライスラーのジープが、サイバー攻撃を受け140万台のリコールに追い込まれている事例からもわかるとおり、危機が足元にまで迫っている!
だからこそ、その脅威に向けて、現時点の自動車メーカーや自動車部品メーカーが、どのくらい真剣に取り組んでいるか? これをリサーチしたというのだ。
「万全ではないにしろ、モノづくりの世界の人は、ある程度進めているんじゃない!」
門外漢には、ノー天気にそんな風にとらえていたが、わずか60分の講演を聴くと、見事にドンデン返しを食らった。ちなみに講演者は、岡デニス健五(写真:Dennis Kengo Oka)。この道13年の超ベテランである。
講演のキモは・・・・「約3割の企業が確固たるサイバーセキュリティ対策をとる部署を持っていないばかりか、6割強の関係技術者がセキュリティの脆弱性、つまりいつ攻撃されヤバいことになか! そんな危機感を抱いている!」。
かなりの衝撃的データだ。だれがいつ、どんな風にリサーチしたかというと、昨年の8月、SAE(自動車技術協会)とシノプシスという世界15位のソフトウエア企業が共同で、関連の企業人593名にアンケートして判明したのだ。
この結果を踏まえて、「やっぱり自動運転車はしばらく様子を見てから…購入するか」と疑心暗鬼に陥ったり「電子制御ではない昔のクルマに乗ろう!」と後ろ向きにも考えがち。でも、待てよ! 50年前のクルマは、“シートベルトなし”が当たり前だった!? シートにヘッドレストが付いたのもその前後だ。「技術はいつもある程度のリスクを伴い進化する」…‥とは分かってはいるが、う~ん、なかなかに現実のチョイスは複雑で難儀である。