おじさんという存在は、「いまどきの学生は勉強していない」とか「本を読まない!」と自分のことを棚に上げ、ついつぶやくものだ。かくゆう私も、おじさんの仲間。たぶん、軽々しく“断を下す”のは、若者とふだん接していないからだ。
先日の取材は、このことが目から鱗が落ちるように合点した!
都内で開かれた、自動車技術会主催「学生による安全技術デザインコンペ」である。
大学生による、次世代のクルマの安全性をデザインするというもの。予選を勝ち進んだ4つの大学が、決勝に進んだ。東京都市大学、東京大学、広島市立大学、日本大学の4校。優勝チームは、6月にオランダで開かれる国際大会に参加できるという。
……でも、待てよ、いまさらクルマの安全性のデザイン?死者数はすでに激減しているし、今後自動運転になれば、事故自体が少なくなり、死傷者数も激減するはず。安全性を議論する意味が、あるのかしら?
そうノー天気にとらえていたら、ガツンとやられた。
「自動運転になると車内はサロン化し、ゲームをしたり、おしゃべりに興じる。となると、シートバックが寝かされ、万が一ほかのクルマがぶつかったとき、エアバックはきちんと機能しない!」なるほど、もぐら叩きではないが、別の問題が起きて、新たな安全性が脅かされるわけだ。
そこでド~するか? たとえば、それに合わせたダミーを考えるとか、衝突時の乗員へのダメージを根本から見直す……はたまた、シート自体が水平に移動し、むち打ち障害をやわらげる、などなどいろいろなアイディアが提案されていた。
写真は、優勝した日大チームの新型ダミーの開発。腰椎や腹部損傷を評価するもので、バイクや自転車のチューブを活用したり、Tシャツに内蔵をプリントし、デモンストレーションしたりして、会場を沸かせていた。