「吸入ガス発動機」というのは、ガス発動機とガス発生装置で構成され、発生装置は、発生器と清浄機がセットになる。燃料は無煙炭、ガスコークス、木炭などで、明治41年から大正末まで、発動機製造㈱の屋台骨を支え、累計で約1000台生産している。
輸入品である現物のお手本はあるものの、設計図や文献資料がないため、開発には困難を極めたという。
ダイハツの社史には、そのへんの話が略されているが、おそらく「現物を分解し、部品一つ一つを絵に描き、寸法を測るなど、気の遠くなる努力でサンプルを作り、組み付け、何度も実験を繰り返し、失敗を重ねて作り上げていった」といった、当たらずとも遠くない物語が展開された。
工場が稼働してわずか5か月でプロトタイプを完成させたというからすごい。このプロトタイプは完成度が高く、試運転を軽くこなしたという。
翌年には、6馬力、8馬力、10馬力、20馬力、30馬力などの標準型を量産している。京都や大阪であった博覧会や品評会に出品し、それぞれ金賞や1等賞を受賞、早くも産業界から注目を浴びたという。