あまり人には知られたくないが、「自分は頭が悪いな~っ!」と思い知らされることが、ときどきある。
たとえば、スマホにややこしいアプリを入れた時などがそうだが、工具の世界でも、正直あります。
横浜から見ると、神戸の先の三木市に本社があるスエカゲツール(SEK)の工具のなかにもそれがある。
たとえば「カップリング・ラチェット・セット」がその代表格。私の所有しているのは、かなり以前発売されたものだが、基本的にいま販売されているモノとあまり変わらないようなので、話は通じると思う…‥。
そもそもカップリングというのは、カップルという言葉から分かるように「2つのモノ(あるいはそれ以上)を組み合わせる」という意味である。
だから、ソケットツールは、基本的にラチェットハンドルにソケット、あるいはその間にエクステンションバー(延長棒)を介在させるので、カップリング・ツールといえる。でも、SEKのカップリングは、それをこえて「2つ以上のものを組み合わせる工具」という意味合いである。
付属の「カップリングエクス」と呼ばれるグニュッと中ごろでオフセット(クランク)した部品をハンドルとラチェットハンドルのヘッド部分(ラチェットヘッド)のあいだに介入させることで、“(通常の工具ではとてもアクセスできない)奥まったところにあるボルトやナットを脱着できます!”という触れ込みの工具なのである。
ここまでは判ります。工具の意図することがわかります。ところが、これを机上で組み立て、あれこれやってみると、どうも具体的なシチュエーションが頭に浮かんでこない。「もちろん、工具は現場で困ったときに使う道具。だから困ったシチュエーションで使わないとリアリティが出ないよ」そんなごく当たり前のことを再認識させられた。
だから、これまで「困ったぞ」という状況で、この工具のことを思い浮かばなかったのは、いいことなのか、悪いことなのかわからなくなる。写真の6個の部品を見て、頭のなかで使う状況が浮かぶ人はすごいと思う!
リチウムイオンの開発でノーベル賞を受賞した吉野彰(よしの・あきら)さんのおかげかどうか知りませんが、リチウムイオン関連商品が、ここまで及んでいるとは知りませんでした。
たかがタイヤに空気を入れるのに、リチウムイオンでおこなう装置があるのだ。
中国製だけど「リチャージャブル・インフレーター」という商品がそれ。倉庫型スーパーマーケットのCOSTCOで3898円で手に入れたものだ。
本体は、外皮がステンレス製である。長さ200ミリ、45×55㎜の断面は楕円形のずしりと重い魔法瓶状のものだ。この中に、タンクとポンプ(モーター)、それにリチウムイオン電池が内蔵されているらしく、あらかじめ充電しておくと、いつでも空気が入れられるというわけだ。充電時間の目安は約1時間30分。作動させると、ガガガっと意外とうるさい。
充電は、AC100Vでも12Vのシガーライターソケットからもできる。乗用車のタイヤなら、ゼロからスタートして約10分で240kpa(2.4㎏/c㎡)まで充填できる。やや小さいがLEDの表示で、空気圧の表示を見ることができる。DC12VとAC100Vの充電器も付属しているので、過不足なく使える。あらかじめ設定した空気圧になると自動的に停止する機能もある。
重量が約460gと意外と軽く、コンパクトなので、エマージェンシー用としても使える。なお、本体には2つのLEDランプがついているが、あまり役に立ちそうもない。自転車用、レジャーボール用、浮袋用などのアダプターも付いている。ただし、すべてを入れる袋がないので、百均で適当な収納袋を探すしかない。輸入元は、福岡市の徳士ジャパン(株)。
工具の世界は、人の英知とモノづくりの融合である。あるいは、「必要は発明の母」という言葉もそこには生きているし、困ったら自作工具をつくればいいわけだ。
だから、地球上の言葉をすべて話せる人が存在しないのと同じように、世界中の工具を持つ人はいない。いっきに買い揃えるのではなく、その都度、必要に応じて手に入れればいい。
今回紹介するのは、上のコラムに影響されたわけではないが、6角レンチである。
ボールポイントタイプのドライバー型6角工具とT型6角レンチの2タイプだ。前者は、クリスタルの樹脂グリップで、サイズが2,2.5,3,4,5,6㎜の5サイズ。かなり長めである。写真の6㎜で235mmもある。でも、重量は、79gと軽い。軸はφ6㎜。バランスのいい工具だ。
T型6角棒レンチのほうは、2.5,3,4,5,6,8,10mmの7サイズがある。写真の4㎜で全長が256㎜とかなり長め。重量は183gとやや重い。ハンドル部の幅は、120㎜。軸のほうは、φ6→φ10→φ14mmと徐々に太くなっているのは、手で回した時のバランスを考えてのことか?
いずれも大は小を兼ねるので、奥にあるネジを脱着するだけでなく、近くのネジにも対応できる。念のために付け加えると、いずれも日本製である。
星の数ほどある! というと大げさだが、世の中にプラスドライバーは、実に多数存在する。
わたしのコレクションにも、プラスの2番が、実は100本近くスタンバイしている。そもそもドライバーには、貫通タイプと非貫通の2カテゴリーあり、それぞれグリップだけでも、木柄、樹脂、エルゴノミック。軸も丸軸が多数だが、なかには角軸もある。グリップの根元にレンチがかけられるタイプ(ボルスターとも呼ばれる)など、たかがドライバーでも驚くほど、いろいろある。
今回手に取ったのは、新潟のWISEの樹脂グリップの貫通タイプ(品番:KD-6100P)である。
一見何の変哲もない印象だが、これが意外と特殊なのである。
どこが特殊だというと、とにかく最軽量でコンパクトなのだ。ライバルが120~130gであるのに、これは100gを切り96gしかない。6ミリ格の角軸で、ハンマーがヒットする座金の径が18㎜もある(16.5㎜が多い)にもかかわらずである。軽い理由は、長さが195㎜しかないためだと思われる。ライバルは、205㎜というのもあるがたいていは210㎜、なかには225㎜という長いタイプもある。
グリップの太さもライバルが32㎜を超えているところ、24㎜とかなり細身だ。これでは滑りやすいのでは? と心配する向きもあるが、3角断面基本で、各頂点から凹みを設けているので、意外とグリップしやすい。
そして、MADE IN JAPANと誇らしく刻まれた透明の紫色グリップ。実勢価格が800円で、手に入るこのドライバー、悪くない選択だと思う。ちなみに、同じ銘柄でマイナスの貫通は軸が丸型である。
このほど、小説『クルマとバイク、そして僕』(筆者・広田民郎)ができました。
内容は、70~80年代の自動車雑誌編集部員の青春迷走物語で個性あふれる男たちが登場します。文庫本、311ページ、価格800円(税別)です。AMAZONなどのサイトでも購入可能です。クルマやバイクに興味のない方にも面白く読める本にしています。
この小説を5名様にプレゼントします。①お名前、②ご住所、③ブログ記事の感想などを添えて、下記のアドレスに応募ください!! 締め切りは、すこし延長して12月末とします。発表は発送をもって代えさせてもらいます。
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エンジンルーム内での作業で、取り外した、あるいはこれから取り付けようとするボルトやナットが、工具の先端からポロリと外れ、落下する・・・・そんな体験はできるだけ避けたいものだ。とくに下向きになると、当然ながら落下の危険が伴う。
そこで、この工具が重宝する。「ナットグリップ・ソケットドライバー」である。6角の開口部に、2つのスチールボールとスプリングが仕込まれていて、ボルトやナットの6角部をカチッとホールドしてくれる。軸自体が差替え可能なので、サイズにより取り換えができる。差替え式ドライバーにありがちな軸度グリップのガタはほとんど感じない。グリップのホールド感もすでに定番になった。
サイズは7,8,10,12ミリの4サイズ。6ミリではなく、7ミリというあまり見かけないサイズが気に入らないが、使い勝手は悪くない。せっかくなら、ヘキサゴンレンチでも作ってもらいたいものだが、いまのところない。
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「こういう補助工具って、たぶんじわじわと売れるんだろうな? それとも良さが浸透せず消えちゃうのかな?」
そんな印象を受けたのが、新潟燕市のWISEの「リターンハンドルSP」である。
WISEは知る人ぞ知るヘキサゴンレンチの専門工具メーカー。創業者がアイディアマンだったせいか、いろいろなヘキサゴンレンチがあり、そのいくつかはこのサイトでも紹介してきた。今回のは、そのヘキサゴンレンチの補助工具である。補助工具、と言って軽く見ちゃいけない。そもそも、たとえば壁に接したところにあるヘックスボルトをL字型のヘキサゴンボルトで締めたり緩めたりすると、クルクル工具自体を回せない。壁にぶつかるたびに、工具を一度ネジから外し、差し込み直す・・・・。う~ん、これじゃとてもじゃないが作業効率が悪い!
と、そこで、この補助工具「リターンハンドルSP」の出番。先端部が水道管のツナギ部のような形をしていて、レンチの先端部をこの補助工具の穴に繋げ、回す。次にクルっと向きを変えることができるので、ちくいち工具を離れ離れにさせることなく、クルクルとごく自然に回せる。相撲の決まり手の「かいなひねり」のような・・・・言葉でいうと、わかりづらいが、とにかく手に取り使うと、「な~んだ!」というふうに合点がいくはず。延長工具なので、樹脂製の延長グリップ(プラス35㎜)で締め付けトルクが4倍近くになるのも利点といえば利点。ヘキサゴンレンチが小さいとカタが大きく、スムーズに回せないので、樹脂製の小パーツが準備されている。それが「マジカアダプター」と呼ぶ早回しアダプター。“マジカ”は、この場合、“マジか?”ではなく、MAJICの意味らしい。使うと、なるほどね! という思い。価格は1919円(マジカアダプタは200円)。http://www.niigata-honmono.jp/wise/
このほど、半自伝的小説『クルマとバイク、そして僕』(写真)ができました。
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ソケットツール専門の工具メーカーKO-KENが、ドライバー部門に進出してかれこれ10年以上になる。
この差し替え式のナットグリップ・ソケットドライバーは、新製品ではないが、なかなかよくできているので、紹介したい。
全長が235㎜ということは普通のプラス2番ドライバーに比べ少し長め。重量は130gと軽い部類だ。
手に持つとバランスも悪くはない。この工具の面白いところは、軸が差替え式で、7,8,10,12㎜の4つのサイズが準備されている点だ。写真は10㎜だが、10㎜単品だと2680円。4本の長い軸セットだとメーカー小売価格6170円だという。国産にしてはリーズナブルなプライスだ。
差し込み式ドライバーにありがちなのは、軸とグリップの穴に遊びが多く、剛性感が小さいという点。ところはこれは、名うてのモノづくりメーカーであるKO-KENだけあり、遊びはほとんど感じない。ソケット部は、KO-KEN得意の内側の2個の鋼球(ボール)を忍ばせ、外からスナップリングで押さえている構造。これにより、ついうっかりすると落下しがちなナットやボルトをしっかりホールドして、シュアの作業ができる。
グリップは、KO-KENドライバー共通のデザインで、乾いているときは手のひらにフィットする形状である。ただ、いじわるで石鹸を付けた状態でグイっと握ってトルクを掛けると、スルスルと空転しなんとも頼りない。こうしたシチュエーションは稀とはいえ、ないわけではない!? いささか興覚めするのである。
このほど、半自伝的小説『クルマとバイク、そして僕』(写真)ができました。内容は、70~80年代の自動車雑誌編集部員の青春迷走小説で個性あふれる男たちが登場します。文庫本、311ページ、価格800円(税別)です。AMAZONなどのサイトでも購入可能です。クルマやバイクに興味のない方にも面白く読める本にしています。
この小説を5名様にプレゼントします。①お名前、②ご住所、③ブログ記事の感想などを添えて、下記のアドレスに応募ください!! 締め切りは、11月末。発表は発送をもって代えさせてもらいます。
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6角レンチが活躍するところは、バイクが多いのだが、4輪の整備にも最近はヘキサゴンボルトが少なからず使われている。だから、いまさら言うのは変だが、6角レンチセットは、いまやメカニックの必需品である。
ところが、6角レンチにもいろいろある。ソケットツールタイプ、ナイフタイプ、ドライバータイプ、T型レンチタイプなどなど。たぶん、多数派は、L字型タイプではなかろうか?
ところが、このL字型は、振り角、つまり反復角度が60度である。6角レンチだから、当たり前だ。360÷6=60度である。この60度というのが曲者で、まわりの邪魔な部品があり、うまく使えないことがあるからだ。そこで、考え付いたというのが、この「反復30度レンチ」である。
卍の片一方の形状である。ついスルーしがちだが、このレンチよ~くよ~く見ると、軸の中央が、少しひねってある。ツイストされている。どのくらいひねっているかというと、30度である。だから、先端部のかどの位置が、30度ずれている…‥‥。と言葉で書けば書くほど、たぶん頭が混乱する……と思う。書いているほうも、混乱する。
試しに使ってみるのが一番だ。振り幅が、半分になり、タイトな場所にある6角ボルトが楽々脱着できるのである。思わず“えらい!”と言いたくなる。
それにしても、よくこんな考えが商品に反映されたものだ。見れば見るほど奇妙なツールである(写真を見てもゆがんで見える!!)が、アイディア・ツールに終わる恐れもある。ねじってあるところに、サイズと素材のSNCM20V(特殊合金クロームバナジウム鋼)とあるのは、いかにも“品質に自信あり!”と誇っているようだ。
製造元は、新潟のWISE http://www.niigata-honmono.jp/wise/
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“チタン・コーティングのドリルセットが、オシャレで重厚な樹脂製プラスチックボックスに入って、なんと977円!”(注:9770円ではなく977円。1000円で23円のお釣り!)
毎日、どこかのTVのチャンネルをのぞくと、通信販売の甲高いセールストークが聞こえてくる。独特の構文で、視聴者を引き付ける。「何かを買わないと時代に遅れる!」とでも思わせるのかしら・・・・。
今回取り上げる「チタン・コーティングのドリルセット」は、いっけん魅力あふれるTVの通販を連想させる。
なにしろ1.5㎜から始まって、2.0,2.5,3.0,3.2,3.5,4.0,5.5,6.0,6.5,7.0,7.5,8.0,9.0,10,11,12(単位:㎜)と21サイズのドリルビットが複数セットされている。合計131ピース(本)。使用頻度の高いサイズ、たとえば1.5㎜は22本、2.0,2.5㎜はそれぞれ18本もある。サンデーメカニックならざっくり30年分ほど? 11㎜以上のサイズは咥えるチャックは、細く仕上げているので9.5㎜でOKだという。ブランド名はMASTER GRIP という中国製だ。
それにしても価格が、間違いではないかと思うほど、とんでもなく安い。税込みで977円だ(消費税8%の時期に購入)。COSTCOでの購入品だ。しかも、オシャレだというのは、ケースである。360×250mm厚さ90㎜のゴールドに淵取りされた黒色の樹脂ケース。重量1.9㎏。穴をあける相手は「鉄、樹脂、木」のどれでもOKとあるが、今後使っていくうちに真価が判明すると思う。穴あけ作業は、あまりないけど……。
いっけん、何の変哲もないボックスレンチだとみられそうだ……。
8㎜と10㎜この2つしかない。でも使用頻度がかなり高い。エンジンルームのボルトの半分は対応している、そんな感じ。しかも、貫通しているので、ボルトが長く出ている、たとえばバッテリーのステーのナットなどには最適ツールといえる。
ただし、スイングハンドル付きとはいえ、大きなトルクを掛けられない。となるとあまり頼りにならない工具とも思える!? 延長ハンドルもどうかと思うし……。つまり早締め&仮締め専用のレンチである。
手に取ると、表面が実になめらかで、すぐ愛着がもてるツールだとわかる。キーホルダー代わりにするのもこの工具の活用法だと気づいた。重量46g、ソケット部の長さ55㎜だ。大きさといい、重さといい、キーホルダーとして使えそうだ。工具の「色物」という位置づけにしては、魅力ある。
価格は、ホームセンターで429円だった。中国製だが、発売元は、新潟県三条市にあるベストツール(株)である。
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