前回に引き続き、またまたVWの問題がトップニュースだ。
他でもない、VWのディーゼルターボ車(1.6リッターから2リッターをカバーするEA189という4気筒ターボDEエンジン搭載車)がアメリカの市場で、不正なコンピューターソフトを組み込み、アメリカの厳しい排ガス規制を逃れていた、というものだ。
報道によると、不正が発覚したキッカケは、アメリカのウエストバージニア大学傘下の研究機関が欧州のNPOの依頼で、2年前から欧州DE乗用車を実走テストしていたなかでのこと。何百キロを走りNOⅹなどの汚染物質を測定したところ、複数のVW車(ゴルフやVW系列ののアウディ)が、基準の40倍という異常に高いNOⅹを発生したという。これをEPA(アメリカ環境保護局)に報告したところ、VW社は組織ぐるみで『不正ソフト』を組み込んでいたことを明るみに出した。この不正ソフトというのは、ハンドルの切れ角やアクセルペダルの踏み込み量、速度などで、≪排ガス試験モード≫と≪実走行≫を判別し、前者のときだと排ガス低減装置がフルに働き、NOⅹを抑制し、排ガス規制をパスするが、後者、つまり街中走行や高速走行などでは、排ガス装置をあまり効かせず、燃費悪化を抑制し、結果としてNOⅹの排出を劇的に増やしていたというのだ。コンピューター制御を悪用した新手のインチキともいえる。
背景には、トヨタとのグローバルでの熾烈な販売合戦、手薄だった北米市場への売り込みなど、VWの焦りがあったというが、EA189エンジンの搭載車が膨大なだけに、VWの今後の地盤沈下は避けられない。いっぽう、この事件でクリーンディーゼル車の日本での浸透速度とハイブリッドカーのシェア増加など、自動車業界全体を大きく揺さぶるキッカケになることは間違いない。