3週間ほど前、マツダから奇妙な封書が届いた。
「広島中央郵便局」の美しい消印が押されたその封書を開けてみると、黒い一枚のカードと真っ赤な6角形をした風車をイメージする「折り紙」がでてきた。英語で、「マツダワールド・プレミアム」とあり、「ニューヨーク国際オートショーで新型車をお披露目するのは、喜びとするところです」とある。裏側には折り紙の開け方が、これまた英語で記してあり「花紋折り」という折り紙であることがわかる。その真っ赤な折り紙をおそるおそる開けてみると、「ニューヨーク・オートショーで“フタ”を吹き飛ばす手伝いをしてください」と英語で書いてある。
何だろう、このナゾめいた封書は? 当初は何のことかさっぱり推測できずモヤモヤが続き、思い切ってマツダ広報のIさんに電話した。でも、電話の向こうで笑っているだけ・・・(そりゃそうだ、言うわけない)翌朝、ふとひとつの考えが浮かんだ。赤い6角の折り紙が、まるでロータリーエンジンのように見えなくもない。そこで、東京モーターショーに展示していた新型ロータリーエンジン・スポーツカーがNYでデビューする!? うん、そうに違いない。
そしてこの原稿を書いている数日前、くだんのショーがはじまるや、その全貌が明らかになった。推理は大外れ。「ロードスターMX-5 RF」のことだったのだ。リトラクタブル・ハードトップ。直訳すると「引っ込めることができるハードトップ」、つまりソフトトップではなくハードトップ(たぶん樹脂か軽いアルミ合金、はたまたスチールか、素材は不明)をトランクに収められ、屋根付きだとファーストバックスタイルになる。RFは、リトラクタブル・ファーストバックの略だ。車速10km/h以下なら開閉でき、しかもソフトトップモデルと同じ容積のトランクルームを確保するという。それにしても、ナゾの封書は3週間ほど、ぼくを楽しませる結果となった。