このところ、台湾製のラチェットドライバーが続々上陸している模様である。
工具の市場は、自動車同様に成熟市場。いかに目先を変え、より便利なような工具をより安く市場に提供できるかが、ここ数年のトレンドになっている。もともと、家庭用でしかなかった「ラチェットドライバー」をプロが使って不満のないところまで商品性を高めたのはスナップオン。いわば先鞭をつけたのがスナップオン。これをテコに台湾工具メーカーが、こぞってラチェットドライバーの新作を登場させているのが、ここ数年のトレンドだといえる。
今回取り上げる三木市の藤原産業(電話0794-86-8200)が発売元とする「伸縮式ラチェットドライバー」もこうした流れの製品のひとつといえる。台湾製の工具のすごみは、徐々に、品質が高まっている点だ。スナップオンのラチェットドライバーの弱点は、ビット数が少ないことだったが、これはプラス・マイナスのほかにヘックスビット2.5~6ミリまで5個、トルクスビットがT10,15,20と3個、合計12個がハンドル内に納まっている。
しかもハンドルは一部シースルーにしてあり、ビットが透けて見える。グリップの表面仕上げも好感が持てる。さらに軸が80ミリから150ミリに伸縮できるというオマケまで付いている。価格も1680円と実にリーズナブル。ガタも比較的小さく抑えているし、これ以上何を求める? と言いたくなるが、大きな不満がある。左右の切り換え時のフィールが悪いばかりでなく、目で左右どちら回しなのか、確実に確かめられないのである。ギア数も20とやや物足りない。工具というのは人の手で持つだけに、何かとシビアな評価になるが、それだけに大多数に満足を与えるのは至難の業だということがこの工具を触ってみるとわかる。