天井裏の点検といえば、5年前の中央高速笹子トンネル崩落事故を思い出す。
のぼり車線のトンネルが突然崩壊して、9名の死者をだし、長いあいだ通行止めとなり物流に多大な影響をおよぼした。この背景には、杜撰(ずさん)な天井裏の点検作業があったといわれる。
東日本大震災のときに、九段会館の天井が崩落し死者を出していることからも、大地震でも崩落しやすいのは天井でもある。天井は建造物のウイークポイントなのかもしれない。
天井裏の事前の点検は、6年ごとに義務化されているといわれるが、これまで機器の不足で、十分に行われてこなかったという。このほど千葉工業大学が試作し、大成建設が実証実験などで協力して作り上げた「天井裏点検ロボット」は、見たところなかなかに完成度が高く、従来より小型軽量を追求した頼れるロボットの印象だった。
千葉工業大学は、スカイツリーのビル8階に特別なキャンパスを持っていて、そこでの発表だ。写真で見るように、女性でも楽に抱えられるほどの大きさと4.5kgの軽量だ。少しでかいラジコンカーぐらいである。
ボディ両サイド、ボディのコーナー4ヶ所、計6個のクローラー(CRAWLER)が付いていて回転前進、後進を無線でコントロールする。パソコン画面を見ながらジョイスティックで遠隔操作。記者の携帯電話の電波に邪魔され、始めうまく動かなかったが,邪魔な電波を取り除くと,150ミリの段差もものともせずにスイスイとロボットは進んだ。聞けば100ミリの隙間があればそこもすり抜けられるという。原発の処理段階でも活躍が期待されそうだ。