このところ、トラックの本を作るべく、架装メーカーを取材している。
トラックのボディは、いすゞとか三菱ふそう、日野自動車、UDトラックスといった自動車メーカー(シャシーメーカー)が作るのではなく、全国におそらく50近くはある「架装メーカー」の手でつくられる。パネルバン、ウイング、冷凍車、コンクリートミキサー車、塵芥車、クレーン車、ダンプカー、タンクローリー車など多彩だ。
その時代によって、運ぶものが変化し、七変化も十四変化もするのである。
でも、基本は、「平ボディトラック」である。
後ろと左右に「アオリ(煽り)」と呼ばれる荷物が落ちるのを防ぐ敷居がある。昔はこのアオリは、木と板金でつくられていたが、いまの主流はアルミブロックと呼ぶアルミ製で女性でも扱える。
キャブと呼ばれる運転席と荷台のあいだにある少し背の高い塀のことをなんと「鳥居」と呼んでいるのである。神社の鳥居をイメージするので、そう呼ばれるのだが、なんだかスピリチュアルな呼び名。目的は後ろの荷物が、キャブに侵入するのを防ぐためのもの。いまではロープやフックなどいろいろな道具を入れる箱も付いているようだ。地方によっては、この鳥居のことを「バックネット」とも呼ぶそうだ。たぶん野球小僧が命名したのかもしれない。
働くクルマを覗いてみると、なんともドメスチックなモノづくり世界でもあり、職人の世界でもある。