長引きそうなアメリカと中国の貿易戦争の心配をよそに、衣料品から日用品まで中国製品なくしては日本での暮らしが立ち行かなくなった。いまやそんな感がある。少し前まで、「チャイナフリー」(中国製品を使わない、という意味)という言葉が限定的には有効ではあったが、知らないうちに愛用していることも。
気にはしているがここまで浸透した背景は、ひと頃にくらべると、中国製品は、安くて品質もそこそこのものが増えているからだ。日本人の低コストライフは中国製品が担っている! そういえなくもない。
ところが、アフターマーケットの中国製自動車部品はどうだろうか?
先日、コンパクトカーのフロント・ディスクブレーキをネットで検索していたら、格安のブレーキパッドを見つけた。通常1セットで7000円が当たり前だったブレーキパッドが、なんと1700円なのである。ネットでは、純正同等品も自動車部品商で買うよりも安く、5500円である。「好奇心から、両方購入し、この際だから比較してみよう!」という気分になった。5500円の方は、これまで使ってきたものだ。(写真:左が中国製、右が純正同等品)
興味深いのは、1700円のブレーキパッド。さっそく梱包を解いてみたら、異様なにおいが鼻を突く。しかも、純正同等品にくらべると、なんだかグロテスクだ。裏金(ベース部分)と摩擦材が明白に分かれていないのだ。いかにもヤバい感じ。心配が先に立ち、友人の1級整備士に聞いてみた。「うちのお客さんのクルマにも、中国製の無印ブレーキパッドを付けて入庫してくる方がいますよ。ブレーキを踏むたびに鳴きが激しく、しかもブレーキローターへの攻撃性が高く、結局いいところ何もないですよ」とのこと。しかも「製品によっては加工しないとキャリパーに収まらないケースもありますよ」。
これを聞いて取り付け走らせようとした気分は途端に萎えてきた。やはり命を預かるブレーキパッドは、信頼性の高いものを選ぶのが基本だと再認識しました。こうなると、日本もますます自己責任の世の中となりつつあるようだ。