自動車のブレーキのメンテナンスといえば、たいていはブレーキパッドの交換とブレーキ液量の点検、あるいは交換で間に合う。
ところが、リアにドラム式ブレーキを採用している場合、走行距離が10万キロも超えると、駐車ブレーキの引き代が大きくなる。足踏み式の駐車ブレーキなら、床が踏み抜けるほど踏まないと制動力が確保できない。原因は、ブレーキドラムの内壁とリアブレーキのシューとの距離が過大になったためだ。ドラム内壁とシューの摩擦材(ライニング)との距離を適切に保つ機械式の自動調整装置が付いてはいるが、その領域を超えて摩擦材であるライニングがすり減ったからだ。メインのフットブレーキの方も、同じ理由で、踏み込んでから奥のほうでようやく制動がかかる感じとなる。こうなると、すぐ制動をかけられないことになり、はなはだ危ない。
そこで、ブレーキの調整だ。
ドラムブレーキのドラムを取り外すと、アジャスティング・ボルトと呼ばれるネジ部が顔を出す。このねじをマイナスドライバーで回すとシューが拡大したり、縮んだりする。ドラムとのクリアランスをスレスレのところに調整すればいいだけだ。やり方は、整備マニュアルなどに出ているのだが、バックプレートのサービスホールからドライバーを突き刺し、アジャスティング・ボルトを回す方法が一つ。
もう一つは、ドラムを外して適当に回し、ふたたびドラムを取り付けシャカシャカ、あるいはスレスレの感じでドラム内壁とこすれる程度まで詰めればいい。意外と簡単だ。もし、ドラムがはがれないときは、プラスチックハンマーで衝撃を加えてみる。