みなさん!知ってますCAR?

2021年10 月 1日 (金曜日)

ネットで手に入れた中国製のラチェットドライバー!

デュラテク1

デュラテク2

デュラテク3

  ラチェットドライバーほど、使い勝手のいいものはない。でも実際、もろ手をあげて合格点をあげられるのは、あまり世の中には存在しない。……ということは十分承知していながら、先日スマホをいじっていて、たまたま発見したのが、この商品。
  MADE IN CHINAではあるが、DURATECH(耐久性のあるテクノロジーの意味合いか?)という何やら質実剛健そうな感じのブランド名。それと、グリップ内に両頭ビットを仕込んでいて、しかも、その数が6本、つまり合計12のネジに対応する! 渥美清演じるトラさんの「啖呵売(たんかばい)」の世界と同じで、人はときに怪しげなものに惹かれるもの。ついクリックしてしまい、購入してしまった。なんと価格は1880円(税込)! という廉価だったこともあります!
  いわばお化け屋敷に足を踏み込んだ感じ(オーバーですね)だが、読者を代表して購入した甲斐は十分あったといえる。
  ズバリ言えば、予想した通りガタがやや多い。これは厳しい言い方をすれば、手にじかに握るドライバーとしては、致命的な欠点だ。ラチェットのギアは、24と多くもなく少なくもないが、山を越えるときの作動力が軽すぎて、まるで昔の安っぽいラチェットドライバーを思い起こさせた。そこまで吟味して商品化していない証拠だ。
  でも、美点はそれなりに発見した。
  全長90㎜の両頭ビットがうまくグリップに収まっており、指で押すことで出し入れするシンプル構造。コンコンと叩いただけで飛び出すか、やってみたが、適度な摩擦抵抗があり、その心配はない。いわゆるチャックに両頭ビットを装着するには、ただ押し込めばいいだけ。取り外すときは、黒色のスライドカラーを手前に少しずらすだけ。この作動力が軽いのは、うれしい。
  このラチェットドライバーの美点は、なんといっても豊富なネジに対応できる点だ。プラス1番、2番、3番、それにマイナス4㎜、5㎜、トルクスの10,15,20,25、それにスクエア(SQ)1,2,3……合計12のネジに対応だ。スクエアというのは真四角の凹みのあるネジに対応するもので、家具などに使われているネジだ。ヘックスボルト向けのビットがないのは、不思議な感じがするが、手持ちの1/4インチ(6.35㎜)のビットが流用できるので、とりあえず良しとしよう。
  ちなみに、全長は215㎜で通常のドライバーとほぼ同じ。重量はビットの数が多い分242gと、手持ちのPBが208gにくらべて2割増しで重い。グリップの形状は、親指が収まる凹みがあり、悪くない感じだ。価格のわりには、よくできた製品と言えそうだ。

2021年9 月15日 (水曜日)

バイクのシートの表皮張替え作業から、家庭用椅子の表皮張替えまで!

タッカ―1

タッカ―2

タッカ―3

  10年ほど前、「お値段以上」というコピーでおなじみのニトリで購入した食卓の椅子の表皮が、いつのまにか傷んできた。
  よく見ると、太ももや膝頭の裏が当たる前側のヘリの表面が剥がれ落ち始めていた。一番負荷がかかる臀部の前方(太もも)が当たる表皮には、細かいひび割れが生じている。かつて数多くの解体屋さんで見かけた郵便局でフル活躍された軽トラックのドライビングシートが異様にボロボロになって、なかにはアンコ(ウレタン)が顔を出しているシートもあった。このことを思い出した。乗用車ではここまで使い込んだクルマなど見たことがない。郵便ポストにたまった郵便物を取り出す作業で運転手がその都度乗り降りする、その頻度の凄まじさを異様に傷んだシートがリアルに物語っていたのだ。・・・・ふと「お値段以上」というキャッチコピーをかみしめる!?
  今回は、食卓の椅子は表皮だけが経年劣化しただけで、なかのウレタン(硬いウレタンと柔らかめのウレタンが2種類はいっている)はとくに問題はないようだ。
  そこで、ネットで調べ椅子の表皮(合成皮革製)を手にいれた。135cm×100cmのサイズで3脚分採ることができた。価格は1400円ほどだった。
  これとは別に今回購入したのが、写真のタッカーだ。タッカー(TACKER)は、建築用のステープル(ホチキス)で、鋲打ち機、あるいはステープル・ガンとも呼ばれる工具。大型のホチキスと思えば間違いない。これもアマゾンで手に入れたのだが、意外と安いのに驚いた。1098円。もちろん台湾製だが、メタル製でいっけん頑丈そうに見える。ステープル、つまり替え芯は、付属品として200本入っていた。
  椅子の表皮の張替えは意外と簡単だ。ちなみにユーチューブでやり方を見つけたので、ざっと作業手順を頭に入れられた(便利な時代になったものだ!)。旧いステープルを取り除く作業では小さめのマイナスドライバーが活躍した。数が多いので、この作業が意外と手間取った。
  表皮の張り具合が難しいと思われたが、角部分をいかに美しく仕上げるかがポイント。タッカーは、本体を押し付けハンドルを握るとガチャンとばかりステープルが飛び出す。その音にやや驚くが、慣れれば誰にでもできる。調子に乗り、計4脚も修理してしまった。ちなみに、出来具合だが、角部の処理がプロ並みとはいかなかったが、そこまで調べる人はまずいないからOKとしよう。
  最近のバイクは、完成度が高くなったせいか、シートの張替え作業は、あまりしなくなったようだ。むかしは、女性ライダーなど足付き性を高めるため、なかのアンコ(ウレタン)を少し抜くのだが、そのとき活躍するのがタッカーである。
  ホチキスのように書類を綴じるときにも使える。メモ帳を作ろうと、不要な紙を半分に切り30枚ほどこのタッカーで綴じようとした。ところが、これがうまくいかない。針(ステープル)が途中で折れ曲がり、最後まで貫通しないのだ。表面に無様にグチャッとくだけた姿を見るばかり。3回ほど試してみたが、ダメだった。たぶん紙という素材は意外と硬い素材だということのようだ。通常のホチキスの針とくらべ幅12mm、高さ10mmの張りは、太いという点も貫通力を阻害しているのかもしれない。ノギスで測定すると0.5mmvs0.7mm(写真)。つまり0.2mm太い。作用する力はさほど変わらないから、紙とは言え突破力に差が出たようだ。

2021年9 月 1日 (水曜日)

スイスのPBだけど、いまのところ、これが普段使いのラチェットドライバー!

PB1

PB2

PB3

  個人的な話で恐縮だが、普段使いで、すぐ手にすることができるように、書斎の本棚の隅に2本のラチェットドライバーが置いてある。最近だと階段の手すりの取り付け、椅子の座面の張替えだとか、壁にハンガーをしつらえたりするとき活躍している。クルマやバイク以外でもっぱら使うドライバーである。
  ・・・・この2つは、これまで様々なメーカーのラチェットドライバーをテストしてきたなかで、一番と2番のお気に入りである。10数年前だったか、スナップオンのピストル型(グリップ可動式)をメインで使ってきたのだが、グランプリ出版の『作業工具のすべて』(2014年発売)を書くうえで、PBの6510R-30(写真)を手に入れた。価格はよく覚えていないが、6000円ほどだった。スナップオンの方は、スナップオン・ジャパンの前の社長ジョン・クリーチから頂いたと記憶している。いま価格を調べると1万4000円もする高価なものだ。
  PB,スナップオンともに、先端に1/4インチ(6.35㎜)のビットを取り付けることで、ドライバーとしての役目を果たすタイプ。スナップオンのほうは、グリップエンド部がねじ込み式で取り外せ、この中にビットを納める方式。PBの方は、黒のグリップ部の一部が半透明の赤色にできていて、ここを指でグイっと後方にスライドさせると、カチッとグリップエンド部が数ミリ後方に後退し、写真のようにビヨーンとビット格納部が顔を出す仕掛け。よく見ると10個のビット格納部には、プラスビット2個、ヘキサゴン3,4,5,6㎜と4個、いじり止めのトルクスビットT25,T27,T30の3個、それに差し込み角1/4インチのビット。これは1/4のソケットをつなげ、ラチェット式のソケットドライバーとして活躍できる仕組みだ。
  スナップオンに比べかなり小振りで軽い(PB208g:スナップオン289g)ので、いつの間にかPBばかり使うようになった。スナップオンは、グリップが稼働するので、いっけん斬新で使いやすいと思われるかもしれないが。ドライバーのグリップをピストル形状にする必要はあまり見当たらない。スナップオンは可動部が多いせいか、やや軸がずれた感じのフニャフニャ感がある。
  やはり、ドライバーに限らず道具というものは、剛性感を高め、使い勝手の良いデザインが好ましい。この点PBは、よくできている。価格もPBは手に入れやすい6000円台。8年近く使ってきたが、リーズナブルなドライバーだと思う。全長はPB170㎜、スナップオン210㎜だ。奥まったところのボルトなどアクセスしづらいときは、ベッセルのエクステンション(価格500円)を継ぎ足して使っている。

2021年8 月15日 (日曜日)

台湾製の「なめたネジ外しドライバーセット」は使えそうか?

なめたネジ外し1

なめネジを外す2

なめたネジ外し3

  ここ数年、ホームセンターの工具コーナーで見かける工具に『なめたネジを緩めて取り外します』という製品が顔を出している。ペンチもしくはプライヤー型の、いわゆる掴んで回す、というやり方の工具。もう一つは、グジャグチャになった頭部に特殊形状の鏨(たがね)をハンマーで叩きこみ、新しい溝を作り、この溝をテコにネジを回し抜き取る! この2つの手法のどちらかだ。
  今回近所のホームセンターで見つけてきた道具は、後者のタイプ。ドライバーなどの工具ではどうにも回らなくなったネジの頭に、新しい溝を設けて強引に回すというやり方。
  M8以上の比較的大きなネジならドリルでもんで、ネジ自体を抜き取るというかなり野蛮な(?)手法もとれるが、小さいとメスネジ(母材)を傷つける恐れがあるため、ドリルでもむというやり方は取れない。先端部を見てほしい。ドリルの先端部と似た形状にとがらせてあり、頭部に食い込むようにしてある。軸部に指を添える樹脂製の保護パッドを設けているので、比較的らくに作業がおこなえそうだ。
  このセットには、最近とみに増えているうち6角ボルトのトラブル向けのビットも備わっている。
  ヘキサゴンボルトは、従来の外6角ボルトにくらべ、2面幅が小さいので、たとえば斜めに工具を入れて無理やりトルクをかけようとすると、頭部が舐める恐れがある。そこで、もし不具合が起きたら、この工具が活躍するというのだ。先端部をよく見ると、同じ6角部だが、微妙にスクリュー形状というかひねり形状。ハンマーで軽く叩きこみ、付属のラチェットハンドルで回す。
  このラチェットハンドル、ギア数が20度で、やや粗いのが気になるが、価格(セットで1790円)から見て贅沢は言えない。軸とのホールド部もややガタが多い感じがするが、価格的には、こんなものだろう?
  ちなみに、ヘキサゴンボルトは、2,2.5,3,4mmの計ビットホルダー付きなので、4サイズに対応する。この4つのビットは、ふだんは付属のビットホルダーに管理できるので、便利だ。ただ、本体のラチェットハンドルとこのビットを一緒に管理するとなると、百円ショップかどこかで、適当な収納袋を手に入れることになる。
  ともあれ、このセット、困ったときの道具としては、有効性が高い。発売元は、兵庫県三木市の藤原産業〈TEL 0794-86-8200〉だ。

2021年8 月 1日 (日曜日)

1/4インチのL型“マスターハンドル”は使えるか?

マスターハンドル  いまから4半世紀前になるが、イタリアのベータ、フランスのファコムから、カド部におしゃれな樹脂グリップでまとめられたL字型レンチがあり、実にまばゆい存在だった。手に持つ部分を樹脂にすることで、エルゴノミックというか、人にやさしい工具として鮮烈に登場したのだ。こうした樹脂を使った癒し系の工具は、アメリカにも日本にもなかったと思う。(ラチェットハンドル自体も樹脂グリップタイプは少数派だった)
  今回ホームセンターで見つけたのは、台湾製工具である。ただ、企画して販売しているのは、大阪の商社・三共コーポレーション(℡06-6252-1712)である。樹脂グリップは、PP(ポリプロピレン:硬め)とTPR(エラストマー樹脂:柔らか目)のハイブリッド構造。ベータもファコムも、当時はソリッドの表面つるつるの樹脂だったことを思えば、進化したといえなくもない。
  手に持つとたしかに、グリップフィールは意図通り硬めと柔らかめを感じる。
  でも、全体としては、中指と薬指の一部が沿う形状としてはいるが、気持ちの良いピタリ感を抱けない。意外と、このへんの詰めは、人間のフィール(肌感覚)に左右されるので難しい世界。それと落下防止紐が付けられる穴が設けられている(ベータなどにもあった!)が、このおかげで、グリップが過剰にデカくなり、重さにも悪影響を及ぼしている。ちなみに重量は、106g、寸法は長手が160㎜、短手が95㎜だ。
  次に軸はどうか?
  ファコムやベータが、鏡面加工のピカピカだったのに比べ、こちらは細やかな梨地加工だ。このへんは好みかもしれないが、ピカピカの方がテンションが高まることは間違いない。
  差し込み角度1/4インチ(6.35㎜)の、いわゆるドライブ側(オス側)の寸法精度はどうか? 手持ちのKO-KENの1/4インチソケットをつなげてみたが、ふつう程度のガタがある。大き過ぎるとガタが多くなるし、少なすぎると取り外すとき厄介となるので、まぁ、標準寸法だと思う。
  驚くべきは、価格。504円+税だった。やはり台湾ツール、恐るべし、なのだ。

2021年7 月15日 (木曜日)

1/4⇔3/8⇔1/2のソケットアダプター4個で800円弱は使えるか?

ソケットアダプター  今回も近くのホームセンターで手に入れた工具をリポートする。
  三木市の藤原産業扱いブランドSK11の「ソケットアダプターセット」である。ブリスターパックの台紙には小さくMADE IN TAIWAN(台湾製)とある。購入価格は、なんと767円。
  そもそもソケットアダプターというのは、あまり行き渡っていないことから使った経験のある人は、ごくまれだと思う。どんなとき使うのかというと、たとえば差し込み角1/4のハンドルしかなく、しかもソケットそのものが3/8インチだというケースだ。「ソケットアダプター」という工具を使うことで、1/4インチのハンドルで3/8のソケットを使うことができるようになるということだ。つまり「差し込み角の異なるソケットとハンドルを接続する」役目だ。
  これだけ聞いていると、たしかに便利だ。これなら、1/4のハンドルで、たとえば1/4インチにはない22ミリのでかいソケットを付けホイールナットを脱着できちゃう! そんな間違ったメッセージとして受け取るユーザーがいるとも限らない。
  やってみるとわかるが、たとえば1/4のハンドルでは22ミリのホイールナットを回すことはできない。無理やりやろうとするとケガをしたり、工具自体を痛めてしまう。3/8インチでもやや心もとない。やはり1/2インチのハンドルがふさわしい。逆にエンジンルーム内だとネジ径が5,6,8㎜程度なので1/4が使いやすい。
  つまりソケットツールは、差し込み角のサイズごとに守備範囲(ネジの大きさなど)が、あるのだ。「ソケットアダプター」は、緊急事態で仕方なく起用する“ピンチヒッター”みたいな工具で、メインストリームの工具ではないということだ。
  このことを承知して、使うことがとても大切。で、この4個800円弱のお財布にやさしいセット。TONE,KO-KEN,KTCあたりだとだいたい3/8→1/2が1個で1000円前後もする。使えればお買い得だ。はたして使えるか?
  実際あれこれ差し込み、使ってみたが、「心地よくは使えなかった!」というのが結論。どういうことかというと、各部の寸法精度がアバウトであるためか、組み合わせるとかなりきつい感じ。とくに1/2⇔3/8は一度つなげると、取り外しが、大変。隙間に細めのドライバーを差し込んでようやく引きはがしたほどだ。これが油が付着した状態だとお手上げだ。
  工具は、「気持ちよく使えるかどうか」が評価の上位にくる製品だ。だとすれば、ブランド品を選択したほうがクレバーだといえる。(機会があれば、全員集合して比較テストをしてみたい!)

2021年7 月 1日 (木曜日)

877円のベッセルの「パワーラチェットドライバー」は使えるか?

ベッセルPラチェットドライバーr  ホームセンターの工具売り場をうろついていると、商品にことさらMADE IN JAPANと明記しているモノに行き当たる。5年前、いや10年前まではそんな明記はなかった。
  食品も衣料品もそうだが、“MADE IN (発展途上国)”(台湾や中国がもはや発展途上国ではないかもしれないが)とあると、やはり躊躇したり買い控える客があるから!?
  MADE IN JAPANなら、とりあえず安心材料の一つとして顧客は見ているからだ。ありていに言えば、いまやMADE IN JAPANという文字自体が、“水戸の黄門さんの印籠”みたいなものなのかもしれない。極太文字のメッセージ!
  MADE IN JAPANなら、レイバーレイトが高いぶん、少しお高くなりますが、よろしいですね、みたいなエクスキューズがともなうこともある。
  でも、工具のドライバーに関しては、よほど付加価値(あるいはブランド力)がない限り、MADE IN JAPANであろうが低価格でないと売れない。ドライバーは数が多く出るのと競争が激しいので、1000円以下でないと売れないからだ。
  ということは逆に言えば、ユーザーサイドから見て、MADE IN JAPANのドライバーはお買い得ともいえる。
  今回取り上げる『パワーラチェットドライバーTD-81R』は、ベッセル製だ。
  ベッセルは、間違いなく老舗工具メーカーだが、KTCやKO-KENほどのブランド力は、認められてはいない。ベッセルは、なぜか、この2社のようなプレミアムブランドを出していないことが、大きいようだ。ベッセルは微妙な立ち位置なのだ。
  そこで、ホームセンターで勝負する場合は、価格を抑えざるを得ないということらしい。これ、なんと877円だ。スタビタイプで、しかもラチェット機構を組み込み、ハンドル部に装着するビット2個付きだ。ビットは、両頭タイプで、プラス1番とマイナス4㎜、それにプラス2番とマイナス6㎜(マイナスのmmは刃の長さを指す)。ギア数は、20ギアで多くはないが、本締めできる。左右に切り換えは、黒いリングを左右に動かすことで変えられる。重量100g。
  先端ビットは、1/4インチなので、手持ちのビットが使えるのも便利だ。で、結論は? 買って後悔しない商品といえる。

2021年6 月15日 (火曜日)

マグネタイザーは意外と便利。 使うべし!

マグネタイザー  マグネタイザーという商品をご存じだろうか?
  工具の先端部をあっという間に、磁力を帯びさせる小道具である。写真にあるように手のひらサイズの製品である。プラス側の穴に工具の先端を差し込む。説明書には数回とあるが、1回2回の往復で、先端部に磁力を帯び、取り付けようとするビスが工具の先端からポロリと落下するなんて厄介な事態を避けることができる。とても便利だ。
  逆に、磁力を消すこともできる。
  マイナス側の穴に、工具の先端部を差し込目が、あら不思議さっきまでの磁力がなくなり、あっけなく普通の状態となる。
  これって、何度やっても、同じように効果が現れる。ただ、期待するほどの強力な磁力ではない。写真のヘキサゴンレンチはサイズ6㎜だが、相手のM8ボルトになるとやや重いので、かろうじてくっついている感じ。M5とかM6ボルトならもっと安心してくっついてくれる感じである。簡単にマグネット式のドライバーやヘキサゴンレンチに変えられるところがミソだ。
  磁力を得ることを「着磁」とか「帯磁」といい、逆に磁力をなくすことを「消磁」とか「脱磁」というそうだ。
  原理は、小学校の理科の時間にやった実験と同じだ。つまり磁石にくぎをこすりつけると、釘自体にも磁力を帯び、まわりの安全ピンなどをくっつけた経験があると思う。あれと全く同じだ。難しい理屈は、理科の教科書にまかせるとして、わずか数百円で手に入る。写真の製品は、品番SMT01B。台湾製で藤原産業株式会社〈℡0794-86-8200〉扱い。ホームセンターで690円+税だった。
  長さ50㎜×幅20㎜×奥行き12㎜と極めてコンパクト。工具箱に入れておいて邪魔にならない。お勧めだ。

2021年6 月 1日 (火曜日)

洗練されたハンドルフォルム」は本当か? 中国製ドライバー!

格安ドライバー2本1

格安ドライバー2本2

  いまや工具業界は、戦国時代たけなわである。
  国産のブランドを誇る工具、輸入ブランドの工具、それに台湾製もしくは中国製の工具。この3つがしのぎを削る状態が、ここ数年続いている。なかでも台湾製の工具が、低価格を維持しながら、ぐんぐんクオリティを高めていっている。これは、日本の商社などの厳しい要求とモノづくりの注文が功を奏しているからだと思われる。
  とりわけ、ドライバーの世界が煮えたぎっているように見える。
  今回近くのホームセンターで、手に入れたプラス2番とマイナス6㎜、2丁セットで価格437円というのは中国製とはいえ、正直たまげた。百均で手に入れたのではなく、正真正銘ホームセンターである。この値段でよくエンドユーザーに販売できるのが不思議だ、という印象だ。しかも、キャッチコピーには「洗練されたハンドルフォルムでねじを回す」とあり、いかにも自信ありげ。
  ここでふと、こんなことを考える。…‥なんだか、安くて低価格を続ける食品の優等生アイテムが卵(スーパーでは10個200円台!)だとすると、ネジ回し、もといドライバー(正確にはスクリュードライバーというのだが)は、工具界の“卵10個売り”に近いのではないだろうか?
  さっそく使ってみた。手に持ちあれこれいじってみる。
  ひとことで言えば、死角がないかに見える。全長は200㎜でごく標準。非貫通ドライバーをこれまで30ブランドほど試してみたが、遜色なしだ。重量はたいてい90~115gに入っているが、これは87gと軽い部類で好ましい印象。そして何よりいいのは、グリップの出来だ。硬い樹脂をコアに配し、外皮には手になじみやすいやや柔らかめの樹脂を組み合わせたハイブリッドタイプ。丸型は、個人的にはあまり好きではないが、手にするとよくできている。指に収まるレイアウトがこころにくいほどによくデザインされているのだ。見た目のデザイン性と機能上のデザインがバッティングしない。軸の根元にスパナがかませるようなデザインもある。
  丸型ドライバーは作業台のうえで転がる恐れがある。という反論にも丸部分を一部そぎ落とし、ソフトグリップとハードグリップとの距離をとるなどでぎりぎり対応している。
  …‥それにしても、何度も言うようだが、これで2本セットで500円足らずで販売できる、というのは、相当数が出る製品だからだ。食品の“卵10個”なみに販売する!? ドライバーは、メガネレンチやソケットツールにくらべ、一桁販売数が多いからだと思う。金型でグリップを成形し、軸部の加工も大量生産システムが構築されている。このドライバーを眺めていると、そんな舞台裏までもが見えてくる。
  発売元は兵庫県三木市の藤原産業(株) ℡0794-86-8200。商品名は「ガルボールグリップドライバー2本組み」。

2021年5 月15日 (土曜日)

「多機能ホームペンチ」って使えるの!?

ホームペンチ1

ホームペンチ2

  人は自分の欠点は棚に上げ、ついつい身近な人には過大な要求を求めがちになるものだ。
  「この道一筋の職人肌をリスペクトする」その舌の根も乾かぬ間に、「作詞して謳って、踊れて演技までするマルチなタレント」にあこがれる。人間とは、そんな矛盾した存在が人なのかもしれない。
  これって「マルチ工具」を求める気持ちとどこか似ていなくもない。単能工具にひたむきさを見るか、マルチツールに見果てぬ万能感を宿すか? 
  今回取り上げる工具は、後者である。
  「多機能ホームペンチ」である。家庭内で活躍をになう(・・・・ことを目指す!)万能ペンチ。つかむ・切る・皮むき・かしめる、この4役を一つの工具でやってしまおうというのがこの工具。
  まず、じっくり眺めてもらいたい。先端部はたしかにペンチである。ところが、通常のペンチの上下のあご(ジョー)の隣には配線の端子をかしめられるようにウエーブ状に加工してある。そしてピポッド部(上下のあごが交差するところ)をよく見ると、意味ありげな小さな穴が4つか5つある。4㎜までの小さなボルトを切断することもでき、φ3㎜までの針金を切断するための穴がしつらえているのだ。
  その下のハンドル部にズームインしてみよう。
  上下のあごにスラント状に小穴の半円が向き合っている。配線の被覆を剥くとき使うワイヤーストリッパーである。径が1㎜、1.5㎜、3㎜、5㎜、そして7㎜の配線の被覆を除去する機能だ。
  そして最後に、ハンドル部の内側が円弧状になっていて、ジャムの瓶を開けるときに重宝する役割となっている。
  なるほど、これは使える感じがしてくる。一家に1丁! と言いたくなりそうだが、待てよ! このペンチ、やや重すぎないか?! 実測すると、122gもある。全長は200㎜。男性はともかく女性(主婦)が使うには、やや重い感じがする。しかも色が黒づくめ。クルマだって、自分好みのカラーがないと買いたくない女性ドライバーがいるのだから、黒づくめはいかがなものか?
  この工具、ひとつ不明な箇所があった。ハンドル根元に小さなレバーがあり、これを動かすことで、先端部のあご幅に1㎜ほどの隙間を生じさせる。針金をねじるときに、使う! とあるが、その意図がよくわからない。アゴ幅にある一定のクリアランスが必要なのだろうか? ちなみに、ホームセンター価格は1813円だった。

« | »

▲ページの先頭に戻る

Copyright © 2006-2010 showa-metal .co.,Ltd All Rights Reserved.